星座早見表は、缶コーヒーの空き缶と色えんぴつで作ろう!
挿絵の画像を作成する際には、「AIイラストくん」を使用させて頂きました。
小学三年生の娘を持つ母親としては、夏休みの宿題の進捗状況が気になって来るのは人情だろうね。
「何か一つ位は宿題を仕上げときなさいよ、千里。でないと白浜旅行に連れて行かないから。」
ほら、こんな風に発破をかけるんだから。
「分かってるよ、お母さん…手厳しいなぁ…」
脅し文句にボヤく私だけど、状況は何も変わらなかった。
要するに、私が吹田家の家族旅行に参加出来るか否かは宿題の進捗状況に委ねられたって事だね。
そこで私は工作の宿題を片付けるべく、空き缶を利用した星座早見表作りに取り掛かったんだ。
今月号の「小学三年の友」に作り方が載っていたからね。
学習雑誌を定期購読していて良かったよ。
「缶に星図を貼れば良いんだから、楽勝だね!」
雑誌で作り方を確認した私は、完全に舐めて掛かっていたの。
だけど、甘かったね。
「あれ?」
雑誌から切り取った星図を貼ろうとしても、サイズが合わないんだ。
よく見たら、星図は350ml缶に合わせたサイズになっていたの。
私の用意した缶コーヒーのショート缶には大き過ぎたみたい。
仕方なく縮小コピーしたけど、今度は星座名の字まで縮んで潰れちゃったんだ。
「これじゃ読みにくいよ…」
流石に星座名まで書き足すのは面倒だから、色鉛筆で夜空と星を塗り分けて誤魔化したんだ。
トラブル続きで予想外に手間が掛かったけど、星図さえ出来れば一安心。
上部を缶切りで切り取ったスチール缶に星図と時刻表を両面テープで貼り付ければ、後はラミネートフィルムで見栄えを良くするだけ。
雑誌の記事通りにやれば、簡単に出来たよ。
「よし、完成!空き缶を使ったリサイクル工作だから、先生の受けも良いはずだよ!」
家族旅行にも行けるし、先生の高評価は間違い無し。
この時の私は、完全に有頂天になっていたんだ。
そんな私が現実を知ったのは、始業式の日だったの。
教室後方の棚には、空き缶を使った星座早見表がずらりと並んでいたんだ。
どうやら他の友達も、同じ雑誌の工作記事を参考にしたんだね。
「今年は星座早見表を作った子が多いわね…だけど吹田さんは、小さいコーヒーの缶を使うなんて工夫してるじゃない。」
「アハハ、どうも…」
素材選びのミスが原因で先生に褒められるなんて、なんか複雑だなぁ。
来年の工作の宿題は、他の子と被らないようにテーマをしっかり選ぼうっと!
そうだ!
仲良しの同級生と共同戦線を張るのも、悪くないアイデアだね。
来年の夏休みが、今から楽しみだよ。




