34.キャラクターメイク
先日配信でみんなに相談したところ、投稿者や配信者の利用しているキャラクターの作り方にも二種類あるというのがわかった。
1つ目は、俺が想像していたように完全にイラストレーターやデザイナーに依頼して一からキャラクターや衣装を作るという方法。
2つ目は、そこそこの値段のキャラクターデザインソフトを購入して、用意されているパターンを選択してキャラクターを自分の手で作成する方法だ。
個人的にはこの際後者でも良い気はするのだが、せっかくなのでもう少し考えてみることにする。そのために今回は、配信の中でそのキャラクターデザインソフトを使って遊んでみることにした。
俺がMMO以外を配信でプレイするのは初めてであり、それをMonologerで伝えた際にはどんな批判を受けるかと思ったが特に問題なく受け入れられた。ノノやサーヤなどの配信を見たところ、特に配信を生業としている人は一つのことに固執すること無くいろいろなことをしているようで、俺が今回しているのも普通のことのようだ。
「言っとくけど今日はお試しだからな? 別に今回で完成させるわけじゃないし外部にお願いするかもしれないからな。そこは覚えておいてくれよ」
せっかくなので視聴者の言葉を聞きながら作ってみるのだが、そのため事前に今回の協力は残らない可能性が高いことを伝えておく必要がある。
「すごい数のプリセットだな……。そりゃ高くもなるか」
早速キャラクターメイクを始めると、眉の形や目の形に様々なタイプがある上に組み立てるのが大変にならないようにか初めから組まれたキャラクターが相当数存在する。
「まあせっかく時間もあるし、全部一から作ってみよう」
選択したパーツは、目の前に立っている半透明のマネキンの上に反映されていくようだ。そこにどんどん自分の選んだパーツを載せていくことで、最終的に完全なキャラクターが完成するようである。
「うーん、まあまずはイメージだよな。俺のイメージってどんな感じ? あ、声は一応これが標準のつもりだぞ」
今までは、それぞれのキャラクターごとに設定した声を使っていた。そのため動画によっては落ち着いた低い声だったり野太い声だったり、そこそこ陽気な声だったりしたはずだ。
だが自分の固定キャラを作るなら特定の声を使った方が良いだろう。そこで、とりあえず現実での自分の声を使うことにした。
「『その声の感じだと、かっこいい感じではないかな』。やかましいわ。まあそんな感じで、普段の俺の話し方とかそういうのから想像して色々イメージを言ってくれると助かる」
俺の声はどちらかと言えば低め、程度で特徴はそれほどない。話し方は非常に陽気というよりは、ある程度親しみやすい程度の軽さだと自分では思っている。サーヤのように陽気には話すことは出来ないが、聞いていて楽しくなる程度には明るくスラスラと話せていると思う。
「『イケメンキャラにするよりは冴えないおっさんキャラのイメージかな』。『ガッチガチにいかついキャラっていう感じじゃないな』『オンナノコ』。いやオンナノコはおかしいだろ。まあそうだな、中身も普通のおっさんだしな。あんま爽やかなキャラになっても困るな。いかつい方はまあ、体格がゴツくても陽気、みたいな感じにもできそうだな」
視聴者と相談しながらとりあえず何パターンかキャラクターを作ることにする。いかついけど陽気なキャラクター、爽やか系ではないおっさんキャラなどだ。
数十とある選択肢の中からそれぞれのパーツを選び、更にその位置や大きさを細かく調整していく。大体の作業は俺が行っていくが、明らかにバランスが悪いところや、原因はわからないが違和感がある部分は絵心やバランス感覚の優れた視聴者からアドバイスを貰いながら調整してみる。眉毛の位置がミリ単位で違ったり、目の間がほんの少し広がるだけで違和感が出てしまうので難しい。
全身が出来上がったら今度はいろいろな衣装を着せていく。衣装の方も相当数存在し、更に裾の長さや幅などを素人にわかりやすい形で自由に調整できるようになっている。更には特殊効果も存在し、帯を風にはためいているようにデザインしたり、オーラのようなものを表したりもできるようになっている。
新しいキャラクターを作る合間に、今まで使ってきたキャラクターを実験台として作ってみた。色々と再現していると、視聴者の人たちも懐かしそうにコメントをしてくれた。
この配信の仕方を始めてから常々思うが、俺が今までしてきたことによって『俺そのもの』を気に入ってくれている人は相当に多いようだ。今まで動画のスタイルを変えると見てくれる人は減ってしまうのではないかと思っていた俺にとっては、それが心地よく、また嬉しく思えた。