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庇護欲をそそる王子様と庇護欲をそそらないお姫様  作者: まくのゆうき


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お土産の使いどころ

エレナにお菓子のお礼を伝えて部屋に戻るように言い、自分は執務室に戻ると伝えて、クリスはこの場を解散することにした。

ブレンダは騎士団の方に顔を出して寮に戻ると同意し、エレナも自分の行動について反省したいから一人になって考えると言って素直にうなずいた。

エレナの場合一人といっても護衛はつく。

幸い今ついている護衛の中にケインがいるので、何かあれば対処してくれるだろう。

同時にこの件に関して、二人で話し合う時間を作るいい口実になるかもしれない。

エレナの事に関しては、ケインに甘え過ぎている気もするが、これは二人にも関係する問題だ。

そしてその問題を最良の解決に導くためには、目の前の障害物をどうにかする必要がある。



そんなことを考えながら、途中で別の方向へ向かうエレナを見送ったクリスは、無言で執務室に入っていった。

そして再び考える。

あの時クリスがエレナと話をさせたくなさそうにしていたのを察した皇太子は、エレナと部下の話している部屋に乗りこんだ。

お菓子がおいしかったと伝えるのが目的というのは嘘ではないだろう。

けれど、あの言葉を聞いた後では白々しいとしか思えない。

彼はきっとこのようなタイミングを見計らっていたのだろう。

しかし会話を誘導された感じではなかったので、偶然という可能性もある。

現在、一旦引き揚げた彼の皇太子たちは、一つの部屋に集まっているらしい。

きっと今後どうアプローチを仕掛けるかを相談しているに違いない。

幸い、今回はエレナが大きな失敗をしていないので、リカバリーから行う必要はない。

むしろ、エレナが相手に拒否の意思を伝えてくれているので、こちらとしてはエレナではなく、代わりにお土産を渡すだけ済ませられる。

そしてお土産に拒否権がないことを示せば、向こうは受け取らざるを得ないし、こちらが有利になるように話を進めることができる。



ただ、向こうも借りばかりを作るわけにはいかないから、何か交換条件を提示してくるだろう。

間違いなく最初に提示してくるのは軍事力の提供。

けれど直近でその力を借りる予定はない。

しかしそれを断ったとしたら相手は何をしてくるのか。

おそらく、今回の事件の解決だ。

彼の国は戦をしかけた国を負かし、周囲の国をどんどん吸収し大きくなった大国だ。

そしてその統治は基本、武力で行っているに等しい。

それもあって一部の国からあの国は暴力的な人種の集う国のように言われているが、実際に話してみればそれだけではないことは分かる。

ただ、武力という目に見えて分かりやすい、命に関わる絶対的な強さを認めさせることで従わせている部分が大きいのは間違いない。

その為政者と側近たちが賢いため、力だけの人間が上に立つことがなく、国が崩壊しないのだ。



そうなると、彼の国がこの国に恩を売るためにしでかすであろうことは一つ。

今回の襲撃事件、誘拐事件の首謀者であるも目される国を押さえることだ。

その後どう処理するかは分からないが、彼らからすれば、敵の残党など残すべきではないという発想になるだろうから、こちらに届くのは首謀者の首か、情報だけかもしれない。

戦で抑えた国は自国の属国とするだろう。

そうすることで、彼らは新たな国と領地を得、さらには自国の民という名目で彼らを罰することができるようになる。

そして事後処理についても彼らに主導権が渡ってしまう。

当然彼らは、ここぞとばかりにこの国のためと称して派手に処分を下す、もしくは下した後に恩を着せてくるだろう。

そうなればこちらも彼らに何かしなければならない。

しかしそれでは、この事件解決のために彼の国が動いたことになってしまう。

さらに言うなら、自国が彼らの戦争の名目に使われるのは好ましくない。

食糧支援は彼の国そのものの役には立つし、それによってある程度周囲から注目されることもあるが、戦を仕掛けてまで相手を押さえて恩に報いたとなれば、あちらからすればたいしたことではなくとも、周囲の国から見たこの国は、大国の傘下にあると思われてしまう。

傘下にあるからこそ、属国だからこそ、戦争をしているような国に食糧支援などしたのだと思われかねない。

恩を売られた上、国の評価が下げられるなど、はっきり言って迷惑であり、邪魔でしかない。

この事件については自国の力だけで解決したいのだから、彼らにはできれば動かないでもらいたい。

方針が違うのだから、引っ掻きまわされたらやりにくくなってしまう。

正直にいえば事件についてこれからどうするか決まっていない。

ようやくお披露目に招いた客人の大半を送り出したばかりで、騎士たちが落ち着いたところなのだ。

これから国内の貴族を押さえて話を聞くところだし、その話の内容によって対処を決めるつもりでいる。



さらに厄介なのはこの事件の一番の被害者がエレナとされているところだ。

すでに貴族たちの口から、エレナが孤児院で女性を助けた際に敵対した相手から、今回の襲撃を受けたという話が各国に漏れている。

そこに他国が絡んでいるということをそれぞれの国がどこまで調べているかは不明だが、彼らが派手に動けばそのことは確実に広まる。

そしてお披露目での彼国の皇太子によるパフォーマンスで、彼がエレナを気にかけていることが周知の事実になっているのだ。

そんな彼の国がエレナのために動いたとなれば、周辺国の牽制にはなっても、国内からは彼の国に守られた方が自国が安全、繋がりを持つべき、エレナを彼の国へという働きかけが出てくる可能性がある。

国内の世論がそうなってしまったら、エレナもそれに答えなければならなくなる。

散々重鎮たちによってエレナは自由を奪われてきたのだ。

エレナに他国への輿入れを強いるのは避けたい。



とりあえず相手が何をしかけてくるつもりなのか。

出方が分からない以上、状況を探る必要がある。

とりあえずお土産の話を出して落とし所を伺うしかない。

今度はクリスから彼の皇太子に面会の申し出を打診することに決めたのだった。

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