激戦
どこまで具体的に描写するか、難しかったです。まだ納得出来ていない部分は多いですが、今の作者の表現力じゃ変わらない気もしたので、投稿。
今回はホワイトとの対決メインですが、次回からは少し時間を遡って戦闘の余波で破壊された街での様子も並行して書いていくつもりです。ギルドで話をしていた2人のモブも出てくるかも?(覚えてない方は4話へ)
「私はホワイト。魔王様にお仕えする、忠実なしもべよ。」
2人の前に現れた女、ホワイトは言う。
「あと少しで計画も完了だったのに、まさかこんなイレギュラーが発生するとはね。けど面白いわ。ふふふ。殺すのが楽しみ!」
「ふふ、計画?貴女、何言ってるの?まぁそんなのどうでも良いわ。」
セラは恍惚とした笑みを浮かべると、ホワイトに殴りかかり言った。
「殺してあげる」
その威力は常人なら当たるだけでシャーベットになる程、だがホワイトは片手でそれを受け止める。
「やはりあなた達は危険ね、排除させて貰うわ」
だがホワイトはそのままつかんだ手でセラを投げ飛ばす。
「セラ!お前...殺す!」
『Walgher kilk teghr!!』
トールの放った大量の水魔法は音速を超えてホワイトに切りかかる。だがホワイトはよけようともせず、服に多少の切れ目が入るだけでホワイトの体には傷一つない。ホワイトに当たらなかった水魔法は数百メートル離れた建物の残骸に直撃し、その建物すら切り刻んでいた。
一方、投げ飛ばされたセラの下には十メートルものクレーターができていて、その衝撃を物語っている。だがセラはすぐに起き上がり人間ではありえない速さ、まさに音速を超え衝撃波を生み出しながらホワイトに突進していく。
ドゴォォォン!!!!
セラの頭突きとホワイトの体がぶつかって発生した衝撃波は付近の人よりも大きい瓦礫など簡単に吹き飛ばして広がる。
「ぶはッ!」
想像以上の威力と速度に思わずホワイトも空気を吐き出して少し飛ばされてしまう。そこに蹴りかかるのはトール。巨大な岩をも砕くであろうその蹴りはホワイトの顔面に直撃し、今度こそ吹き飛ばされてその勢いは数百メートル移動しても収まらず、残った旧住宅街に差し掛かると建物をいくつも壊しながらさらに500メートルも進んだところでようやく停止した。
「くっふふふふ、ふははははは!まさかここまでとはね。面白い、粉々にしてやるわ!!!」
ホワイトは起き上がると大きくジャンプし、空中でとどまる。そして一気に加速し1kmは離れていたであろう兄妹の元まで一秒足らずで到達し、トールの胴体を殴り飛ばす。そんなトールの胴体は抉れ、血が出ていた。
だがトールの体はすぐに回復していき、十秒もたたずに傷は塞がる。
「へぇ、やっぱりね。不死属性もあるの...仕方ないわね、再生する前に蒸発させてあげるわ!」
ホワイトはそういうと手を兄妹に向けて魔法を放つ。無詠唱で兄妹を襲ったその魔法は意表を突き、二人は正面から直撃してしまうのだった。
人の身長よりも太いその魔法の威力は強烈で、地面は抉れるを通り越して蒸発する。
「ふん、所詮は劣等種族、雑魚もいいところね。」
ホワイトはつぶやく。そこにできていたのは半円を描いて地面が消え、どこまでも続く溝。否、それは兄妹がいた場所までしか続いておらず、そこには100メートルものクレーターができている。
「!?どういうこと!?」
「ねぇ、お姉さん。あんた、やっちゃったね。完全に僕らを怒らせちゃったよ。」
トールは言う。そう、そこには二人の人影があった。そして...
「...ぉ...お、お兄ちゃんを...傷つけた!!!よくもよくもよくもよくも!!!あああああああああああ!!!!!!!殺す!!!!!」
セラは怒りに震え、もはや全世界の誰も手が付けられないほどになっている。
「セラ、僕は平気だ!そんなことよりお礼をしなくちゃ!」
「あ、ぁあ!お兄ちゃん...」
「まさかあれでも消えてなくならないとはね。こうなれば...我が君、お力をお借りします。『魂の契約』、発動!」
するとホワイトを光が包んでいく。
「は、はぁぁあ!!力が、魔力がみなぎっていく!感謝します、我が君!」
そして三人はぶつかり合う。怒りに燃える二人と魔王からの加護を得たホワイトが全力でぶつかる威力はすさまじく、ついに王城が衝撃で残っていた部分すら崩れる。
「あっはははははは!」
ホワイトの高笑いが響く。トールが殴り掛かるがホワイトはトールの拳を拳で受け、だがトールも続いて至近距離からの水魔法を放つ。ダムをも壊すほどの水量が一気にホワイトめがけて噴き出る。ホワイトはそれをよけると大きくジャンプし、さらに空中でもう一度空を蹴るとトールめがけて猛スピードで落ちていく。一方セラは横から飛び出すとホワイトを蹴り飛ばす。ホワイトは空中で姿勢を変えると足で受けた。さらにトールは思いっきり地面を蹴るとホワイトを空中で殴り飛ばそうとする。
こうして戦いの舞台は地上から空中へと移っていった。
セラは炎を、トールは水を自らの体から噴き出すと反作用で音速を超え、空中で大きく弧を描きながら三人はぶつかる。極太の魔法がいくつも空に走る。戦闘のスピード激化はエスカレートしていき、空気との摩擦やセラの魔法の熱で付近の温度は急上昇していた。やがてセラとトールはホワイトにつかみかかり、そのまま魔法で加速して地面に急降下する。直前でホワイトを思いっきり蹴飛ばして地面にたたきつけると二人は急上昇で速度を殺した。
バァーーーン!!!!!!!!!!
一方すさまじい運動エネルギーをもって地表に衝突したホワイトは地面に半径500メートルもの穴をうがち、中心部の深さは100メートルを超す。押しのけられ、吹き上げられた土砂は音速を超えて広がっていき、とうとうまだ人のたくさんいる帝都商業街を吹き飛ばしながらもなお勢いは衰えない。そこにいた人々は何が起こったのかわかる時間も与えられず土砂にバラバラにされ、シャーベットのようになりながらその残骸もまた土砂の一部となって逃げ遅れた人々に襲い掛かるのだった。
流石の兄妹も手ごたえを感じ、その中心に目を向ける。だが...
「それだけ?」
だが奇しくも、二時間前兄妹が帝国兵に向けて放った言葉が二人に向けてかけられる。
「「!?!?!?」」
「まさかいい勝負してた、なんて思わないでよ。私は魔王軍の幹部。魔王様の加護をもらった私を倒せるのは魔王様だけ。あんたたちなんて塵芥でしかないのよ。」
次の瞬間、トールが液体のように弾け、さらに誰もいなかった場所から魔法が放たれると、そこにトールは居なくなっていた。
以下、お目汚しな内容ですが、
ご容赦ぉぉ!m(_ _)m
現在作者は並行してもう一個小説を書いています。そちらと交互に更新しているつもりでしたが今後今回のように作者の気分でどちらかが連続になる事もあると思います。
なので宣伝します(ごめんなさい許してください)。
もう一個の方は、スチームパンク(19世紀ロンドン)な並行世界のお嬢様に転生した現代の天才理系が自身の研究欲を満たしたり、前世の趣味だったゲームをする為にネットを作ろうとしていく過程でいろんな人と知り合ったり、事件に巻き込まれたりして行く話です。ちょっと群像劇っぽくなる予定です(必ずしもalways主人公中心とは限らない)。
良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
「天才理系お嬢様の暴走が止まらない」
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