魔界
一か月前、帝国とは世界の理を超えて遠く離れたある場所にて...
「諸君。太古の昔、我ら魔族は強力な魔力で栄華を極めていた。だが知っての通り、あの忌々しい人神によってこの魔界へと追放された。しかし長い時を経て今、我々は再び世界の全てを手中に入れようとしている。いよいよもって計画も大詰めだ。これも諸君の日々の献身によるものである。諸君の働きに感謝するとともに、より一層の奮迅を期待する!」
「「「「「Floroit martat Satan!」」」」」(我らが魔王様、万歳!)
「さて、ノキア。報告を。」
きらびやかで会議室のようなその部屋には、魔王の側近や重役、各組織の幹部が集まっていた。
「は。25000年前にこの地、魔界へと封印された我々魔族が封印を破り現界へと変えるための計画、リバイバル計画は計画通り進み、二十年前にはこの魔界に設置された古代封印遺跡の魔術を長年の研究によりとうとう打ち破ることに成功。これにより多大な魔力を犠牲にすることで現界へスパイを送り込むことが可能となりました。以来、二十年間の現界での活動により、とうとう現界の古代封印遺跡も残すところ一つ。現地へ潜入したホワイト以下十名の同胞の活躍は大きいものであります。」
「ご苦労。そして今、最後の封印遺跡も破壊工作に入った。バレル。魔王軍の編成は整っておろうな?」
「は。我らが異界へ渡る際、より魔力の強いものほど世界への順応に時間がかかることが知られています。そこで第一軍は下級魔族による侵攻を開始、橋頭保を築いたのち第二軍の現地派遣をはじめ、そこで順応を促進させ、より上位の編成軍による蹂躙を開始します。」
「うむ。第一次遠征軍における犠牲は大きなものとなるだろうな。移民の問題もある。官民問わず早期段階から可能な限り多くの同胞を順応させよ。特に上級魔族はな。さらに食料の問題もある。分かっているであろうが現界の物は基本的に毒ばかりだが魔界の植物や動物は現界では育たず枯れる。補給の準備も万全にせよ。」
「はっ!」
「現地潜入員が次に報告に魔界へ戻ってくるのはいつだ。」
「一週間後です。」
「その時にいろいろ聞いておくんだな。現地のことは現地の者に聞け。いいか!我が魔王軍に失敗の二文字はないぞ。心してかかれ。」
というわけで、ホワイトは魔界からの潜入員でした。そして今まさに魔界の魔王軍が人間世界(=現界)に攻め込もうとしているわけです。ホワイトは過去二十年で現世にていろいろやってますが、今のところ関係ないので書きません。(そのいろいろがライたち現世の裏の人間の間で伝説になっているわけです)
ちなみに今のところホワイトたち現地潜入員はずっと現界にいるわけではありません。今回の話にもありますが、魔界の食料と現界の食料は性質が異なるため互いの世界で育たず、また互いの世界の者にとって毒なのです。補給もかねてたまに報告に戻っているわけです。
現世界側と魔界側、双方に封印遺跡があるわけですが、魔界側の物しか完全撤去されていない状態では多大な魔力を犠牲にしても少数、少量の物が世界の壁を越えられるだけです。なので食糧問題と順応問題もあって現地潜入員は基本増やせません。
ちなみにホワイトが現界に来たのは二十年前なので、順応が終わっていますが、例えば上級魔族が現世界に転移しても順応するまで一年ほどは下級魔族程度の力しかありません。あと今の魔族にとって現界の物は毒ですが、長い年月をかければ代を重ねるごとに変質し、空気や魔力だけでなく食料にも順応できますが、こちらはより長い期間がかかります。
以上、一応本文でも書いたつもりなのですが本文が説明ったらしくなるのは嫌なので少しわかりにくいであろう所を補足しました。ていうかやっつけ工事満載の設定だなぁおい(笑)プロットの重要性を知った作者であった。正直兄妹を強く設定しすぎたから強い敵が欲しかった、っていうのもあります。
よかったら次話も見ていってください。