3章
「ではこちらで旅の疲れを癒してください」
館に着いてすぐ、エルさんがメイドさんに私をお風呂に連れて行くように指示をしていた。
メイドさんだメイドさん。「いらっしゃいませご主人様~」って言ってる人たちとはやっぱ全然雰囲気もオーラも違うなぁ。
ともあれ案内されたお風呂は、かなりの広さの場所だった。
適当に身体を洗い、湯船に浸かりながらこれまでを振り返る。
森でまず最初に確認したのはスキル。字面から想像できないのもあるので色々試してみよう。
まず世界の加護。これは自身のステータスを閾値~99999まで自由に設定できるものだった。便利かと思ったが
おそらく公開用の値を弄るだけで本質は弄れないみたいだ。閾値は、年齢相応の値らしく、4歳の頃は20台だったが、12歳の今は50台までしか下げれなかった。
けれど、普通に暮らす分には別に99999あっても支障はなかった。
そりゃそうだ、STRからして筋力だろう値が99999あっても、意識しない限り岩を砕く(当時4歳)ことは出来なかったからだ。
次いで気配操作。コレは字面通り気配を操作できた。自身の気配を遮断して空気となれたり、遠くの動物や魔物の気配を辿ることができた。有効範囲は大体5kmぐらいだった。
感覚操作は自身の感覚を鋭敏にしたり、逆に何も感じなくすることが出来た。良くある痛覚無効もこの感覚操作で出来た。
痛いと判断や動作が鈍ることがあったりするから痛覚操作メインで使っていこう。
魔力操作は文字通りだった。魔力を手足の感覚の延長で操作して、色々な物質に干渉できる・魔力をイメージ通りの形に出来る。が単体ではそれだけしか出来なかった。
が、全魔法親和と組み合わせるとえげつなかった。例えば火魔法。魔法の知識なんて無かったが、魔力操作で魔力をガスとするイメージに着火のイメージをするとすんなり火が起こせた。
さらに色々研究し、魔力操作で地面や岩などに干渉し、練成魔法で構成成分に分解、任意の物質のみ抽出してインゴットや武器を作ることに成功した。
1回、両手を合わせてから地面に手をついて練成もしてみたが、気恥ずかしくなったので2度とやらないと誓った。
地水火風の各属性魔法を一通り試した後、影が使えれば便利だなーと思っていたらあっさり使えたのでそれも研究してみた。
プラス、空間魔法と組み合わせて研究し、影を槍状にして相手を貫く魔法を開発、さらにソレを訓練して気配感知の範囲内ならドコでも攻撃できるようになった。
ついでに影魔法と空間魔法の複合魔術で影収納も覚えた。(てか創った)
この影収納、先の影攻撃魔法とも連動でき、例えば3km先で倒した獲物も、影収納に瞬時に収納でき、手元に出すことが出来るようになった。うれしい誤算は収納したモノの時間が止まることだった。
新鮮なもの、出来立てのものを賞味期限なくいつでも食べれるようになったのが一番嬉しかったからだ。
全武器対応も文字通り、短剣・片手剣・両手剣・弓などありとあらゆる武器を手足のように使えた。
練成魔法で武器を作ったけど使えない。なんてことはなかったわけだ。
完全耐性も文字通りだった。毒から麻痺からありとあらゆる状態異常にかからない。風邪も引かない病気もしないのもこのスキルのおかげか、8年間森の中なのに病気知らずですごせたのは感謝。
最後に神眼。これは異常の一言だった。何せ神眼を意識してから対象を見るとそのステータスが見えたり、ソレが何なのかを鑑定できたりした。
さらには気配感知と組み合わせると効果範囲内の任意地点を遠見でき、別々の地点の状況をまるでパソコンのマルチウィンドウのように視野内に表示できたからだ。
色々思い出して、やっぱり森にこもって訓練して良かったなぁと、あの時出てたら色々大変な目にあってただろうなぁと感慨にふけっていたら脱衣所にメイドさんが、
「お着替えをお持ちしましたので、こちらにおいておきます」
と、声をかけてきたので出ることにした。
サイズは多分脱いだ服から割り出したのだろう、ぴったりだった。
着替え終わると、着替えを持ってきたメイドさんが
「エル様が、お嬢様があがられたら書斎に案内するようにとのことでしたので」
と言うので着いていくことにした。
その先で、今後を大きく変えることになるとは考えもしないままに。