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9章

「ただいまエーヤさん。マスターいます?」

「お帰りなさいアリスさん、グリズリーの件ですね?何か問題でも・・・」

「んや、終わったからその報告に」

「え゛っっ、出発してまだ1時間たってませんよ!?」

「とはいえ終わったので・・・あコレカードね」

「はぁ、確認しますね・・・ってえぇぇ!!」

カードを受け取ったエーヤさん。確認用水晶にかざした途端素っ頓狂な声を上げた。周りの視線が痛い。なんかあったのだろうか?

「ままま、マスターのところに行きましょうね。てか来なさい」

そして一瞬でマスターのとこへ拉致された。エーヤさん驚きすぎで性格変わってるよ。


「アルド様失礼します!」

とドアをぶち破る勢いで開けたエーヤさん。本気で性格変わってるよコワイ。

「うぉい何だ!?ってエーヤか?何事だ?」

「はい。アリスさんが先ほどのレッドグリズリー討伐が終わった件で驚愕の事実が」

「驚愕の事実?なんだソレは?」

ほんとなんだろ?熊倒しただけなのに

「はい。まずカードの討伐記録を確認したところ、レッドグリズリーが23体でした」

「23!?なんつー数狩ってんだアリス!」

「ですがアルド様、それ以上に凶悪なのが・・・」

「数の暴力より凶悪なのがあるのか?」

「ええ、上位のクリムゾングリズリーが5体、それと変異進化種のブラッディグリズリーが2体討伐記録されていました」

「んなっ!クリムゾンだけでAランククラスなのにA上位のブラッディまで、しかも複数体狩ってやがるのか!?」

へーほー。クリムゾンにブラッディか。最後に倒したアレだろうなぁと明後日の方向を向いて現実逃避

「おいアリス戻って来い。てか手前が狩った戦果だろうが」

あはいゴメンナサイ

「でもそんなに強い種類なんですか?感じレッドグリズリーと大差なかったんですが?」

「いやソレ言える時点でお前化け物。クリムゾンは知恵が人並みだしブラッディはソレに加えて固有スキルも持ってる。1体倒そうとするにもAランク10人は必要だ。さらに言えば下位のレッドグリズリーを統制できる技能もあるからこの場合軍でなきゃ対処できんレベルだ」

「あー・・・ってなるとウチは」

「「うん。君何者?」」

「ってなりますよねー」

2人から突っ込まれて机に突っ伏す。さて何から説明しようか・・・

と思ってた矢先にドアがノックされる。助かったと思ったのはフラグだったか・・・

「失礼します、アルド様。クラーヴァ商会の護衛のメンバーからの早馬の書状が・・・」

「クラーヴァ商会からの早馬?なんでまた・・・?」

「なんでも、レッドグリズリーの群れに教われ壊滅の危機を無償で救ってくれたCランクの戦少女の件だそうで」

「戦少女だぁ!?」

あ私だ。てか戦少女ってくすぐったい肩書きだな。てかアルドさんもエーヤさんもコッチ睨まないで胃が痛くなる。

そんな雰囲気を察したか、書状を渡すとそそと立ち去る職員さん。針のむしろ再び。

「状況からしてアリスのことだろうが・・・何々」

『此度、我々はブラッディグリズリーに率いられしレッドグリズリーの群れに教われ、護衛の冒険者の奮闘むなしくココで潰えるかと諦観の思いを抱いた。しかしその矢先、影より現れし漆黒をまとった少女が現れた刹那、結界に群がったレッドグリズリーが瞬時に影に貫かれ喰らわれた。唖然とする我らをよそに少女は疾風のように戦場を駆け巡り、次々と魔物を屠っていく。的確に急所を貫き、首を刎ね、影で喰らい、さらにはその所作に人らしさを感じさせぬその姿に、死神がこの地のすべての命を狩るために従者を送り込んだものだと思った。が、違った。彼女は全ての魔物を屠った後、傷つき倒れた冒険者達を圧倒的な魔力でもって全てを一瞬で癒したのだ。さらには、誰も死んでないからという理由で謝礼も受け取らず、我らの前から来たときと同じように影に消えて行った。彼女は死神の従者ではなかったのだ。私は彼女の戦う姿に戦の女神の似姿を、人々を無償で助け、救う姿に聖女の姿を見た。ゆえに私はその心の純粋さと無償の愛を貫く姿勢にCランクのアリス様はAランクの資格ありと判断して、此処にAランク冒険者への推薦を申請するものとする。   アース・クラーヴァ』

「「「・・・・・・」」」

場を、沈黙が支配した。

「・・・なぁ、アリス。ここに書いてあるのって事実・・・なんだろうなぁ」

「・・・えぇ、まごう事なき事実です・・・」

「ちなみにアリス、クラーヴァ商会の代表のアース・クラーヴァってな、人を見る目は王国一なんだ」

「へぇ・・・ソウナンデスカ」

「そんな代表が非公式ながら戦少女と、聖女と評価するってのはな、相当なことなんだよ」

「ソウナンデスカ」

「だからな、俺たちはコレを公表した上で君をAランクにしなければならない。理由は分かるな?」

「確かクラーヴァ商会は支店は国内全域、流れの行商人にも軒を貸す大商会、そんな代表の発言は王令クラスだから・・・ですか」

「王令クラスは言い過ぎだが例えとしては近いな。だからこの書状をはいそうですかとポイできない訳だ」

「ナルホド・・・」

「ちなみにそんな代表の謝礼を蹴るのもお前が初めてだろう。ってか蹴ったらものすごい謝礼が返ってきたな」

「ちなみに辞退する選択肢は」

「ないな、まったく。てかコレも蹴ったらお前は代表のメンツを汚すことになるぞ」

「デスヨネー」

と、茫然自失から帰ってきたエーヤさんがぼそり

「はぁ。登録して1日でAランクとか前代未聞ですわ」

「ちなみに12歳でたった1回の依頼達成でAランクって前例は?」

「「ないわ!」」

ですよねー

「はぁ、しゃーない。今すぐ公表するか。エーヤ、皆をホールに集めろ。あと食堂に宴会の打診もだ」

「分かりましたわ、アルド様」

え今すぐ?早くね?てか宴会て?

「今すぐなのはちょうど今日の仕事が終わる頃だから、あと宴会はAランク昇進のお祝いね」

顔色を読んだのか心を読んだのかエーヤさんから説明される。

そして宴会の席に話は戻る・・・

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