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第二話

「「「おぉ~!」」」

すると、またどこかでそう声が上がった。

「ん?どうしたのですか?」

「小早川さんが凄いんです。」「確かに。」「流石だね。」「やっぱりなぁ。」

王女が聞くとそうまばらに返ってきた。

小早川というのは学校一の美少女の小早川彩香のことだ。

「見せていただけますか?小早川様?」

「あ、はい。どうぞ。」

「失礼します。」


=============


小早川 彩香 16歳 女


HP80/80

MP400/400

筋力70

体力40

魔力80

速力50

知力100


スキル

水魔法

氷魔法

風魔法

光魔法

異世界言語


加護

光の神の加護


称号

勇者

聖女

転移者

異世界人


=============


「なんと!聖女ですか、これは凄いですね。励んでくださいね。」

「えへへ。」

小早川は照れ笑いをする。

私は即座にステータスを閉じており今後の事を考えていた。王都から出ていくことは決まっている、しかし、王女が私を放置してくれるかどうか。迷惑料はもらうとして、何処に行こう?この世界に来たばかりの私はこの世界に対しての知識が一般人以下だ。それはこのクラスメイト達にも検討することだが、今日中に出ていきたい私は致命的な弱点にもなり得る。そして、道中魔物とやらが出てきそうだし、護衛を雇うにしても男の人は信用できない。女の人がいても信用できない。さて、どうしたものか。

「勇者様方。これは最初だけステータスを報告していただきます。勿論その情報は全力で守ります。見る者も限りなく少なくします。」

そう言うと何処から運び出したかわからないが衝立の様なもので王女の後ろに個室の様なものを即席で作った。そこに生徒が入っては外に出てきた。多分、あの中で言うのだろう。私は個別で言わなければいけないと思っていたが、これはチャンスだと思いクラスメイト達の最後尾に並ぶ。

「さて、貴女様が最後の様ですね。さぁ、見せてくださいまし。」

私はステータスカードを渡そうとしたが王女に見せる前にステータスカードを手前に戻した。王女は一気に怪訝な表情になった。

「一つ相談があるんやけど。」

「何ですか?」

ちょっと苛立ち、顔を顰めながら話を聞く王女。ポーカーフェイス下手か。

「私のステータスってな、一般人かそれ以下の数値やねん。で、これを記録せんでほしいねん。」

「どういうことですか?」

王女は驚きに目を見開く。そして、直ぐに怪訝な表情に戻った。後半の言葉を聞いたからだ。

「記録してんねんやろ?」

「そうですが、それが何か?」

「そこに紙が積みあがっているってことは書いてるんやろ。で、私は勇者の称号もないし、記録する意味もない。そこでな私と取引してほしいねん。勿論今すぐ帰せとか言わへん。けど、私はここから出ていく。そして、金輪際あんたらと関わらへん。そう取引してほしいねん。」

「それは、信じられません。ですので、貴女様のステータスを見せてもらいませんと」

「それは別にええけど。それで確証が持てたら取引してな。」

「我々になんの利点がございますか?」

「そんなん役立たずを放り出せる利点があるやん。それに、勇者でない私を育てる意味なんてサラサラないやん。あと、私が勇者でないことなんかすぐに露見する。それをここぞとばかりにあんたの反抗勢力がこぞって責め立ててくる筈。王城が私が原因でピリピリして空気悪なるで。それでもええん?あんた結構やる人やろ?あと、私はもてはやされるのが大嫌いやねん。どっちかっていうと目立ちたくないねん。それとあんたに取引されんでも隙を見て外に出たるし。で、どうすんの?」

ペラペラと喋り倒すことで私はこの王女に対抗した。

「………わかりました。取引しましょう。ステータスは後でも構いません。口約束では信用してもらえないと思いますので、契約魔法を使います。」

「ふーん。契約魔法ね。便利やね。あ、言い忘れてたけど召喚した迷惑料としていくらかほしいねんけど。」

「わかりました。金貨20枚渡しましょう。私の懐からのものなので記録に残ることはございませんので、ご安心ください。」

「あと、金貨って多分やけどかなり価値が高いやろ?で、直ぐに使えるように金貨を一枚だけお金をバラしてほしいんやけど。」

「金貨の件は解りました。それで、関わった場合はどういたしますか?」

「流石に殺しとかはやめてほしいなぁ。あと、生活に関わらない事。私を見張る事。まぁ、ストーカーみたいな変態行為はしんといてってこと。」

「わかりました。"汝 契約者と契約を結ぶか答えよ"」

王女が目で合図をめっちゃ送ってくる。という事は答えなあかんのか。

「どう、答えんのかわからんけど、適当でいっか。えー、殺し、私の情報を意図的に得る事、生活に意図的に関わる事がなかったええよ。」

そうすると淡い光の球が王女と薊の間に生まれ、二つに分かれると薊と王女の胸に飛び込んでいった。

「成功?」

「そうですね。なんと答えるかは自由だったのですが、説明するのを忘れていましたね。」

「そっか。で、今何時ごろ?お昼?お昼なんやったらもう城でていくで。」

「現在は昼頃でしょうか。」

「そっか。じゃあ、もう行くわ。出口教えられてもわからんから誰か一人案内つけてな。あと、なるべく目立たないように出て行きたいわ。」

「かしこまりました。こちらの都合で呼び出してしまい申し訳ございませんでした。それと、ご武運を。」

「何か戦争に行くみたいやからやめて。ほら、これがステータス。」

「…これは、確かに。確認しました。」

王女は何処か衝撃を受けた表情を浮かべた。

「わかってもらえたらいいわ。それと、私以外の勇者達に私がいなくなったことを聞かれるまでなんの発表とかもしんでいいから。」

「わかりました。では、案内をお付けいたします。少々お待ちください。」

「わかった。」

王女はそう言うと席を立ってなんちゃって個室を出ていった。なまじ部屋が広い分隣の部屋のドアまでが遠いのだろう。王女は効率を大事にしていそうだったので、こうしてなんちゃって個室を作った方が早いと感じたのだろう。薊はだらだら待っていると後ろから声がかかった。

「タチバナ様でいらっしゃいますか?」

その声に肩がビクッとしたのは内緒だ。

「そうやけど。案内の人?」

「はい。開けても宜しいでしょうか?」

「行くわ。」

個室から出るとあんなに騒々しかった部屋には誰もいなくて広々としていた。

「こちらが金貨20枚になります。」

「ありがとう。」

「餞別にこちらをお渡ししておきます。」

餞別は肩にかけるタイプのカバンだった。

「ありがとう。」

皮で出来ているので、丈夫だ。これなら長く使えるだろう。

「それと、こちらをお渡ししておきます。これを使えば王都での待遇は良くなる筈です。それ以外の用途にはあまり使われないほうが宜しいかと。」

「うん。ありがとう。」

多分この世界では上質であろう手紙といたるところで見かける印の封蝋から何かいい匂いがする。

「さしずめ王家の手紙ってとこかな?中身はみんでいいけど、手紙だけでいろんなとこに融通が利くってやつ?まぁ、王都内だけだけど。これは便利だねぇ。けど、王都から出るときには処分させてもらいたいんだけど?」

「そうですね。王都にはどれほど滞在されますか?」

「うーん。明日かな?今日は買い物しまくって宿に一泊。明日朝一に出ていこうかと。思ってるんやけど。あ、ぼったくられそうやからさ、手伝ってくれへん?」

「わかりました。案内役ですのでお安い御用です。」

「ありがとう。」

「…」

「ん?」

どうしたのだろうか?

「行きましょうか。」

「ん、そうやな。行こうか。」

騎士が先導して長い廊下を歩いていく。廊下やあちこちに花が置いてあるので匂いがきつい。匂いが控えめな花はないのだろうか?偶にポプリを持ち歩いている人がいるがその匂いも酷すぎる。匂いがきついというよりこれは臭いというべきだろう。何でもかんでも匂えばいいという訳ではないと思うのだが。

ガシャガシャと五月蝿くなる前の騎士の甲冑は重たそうで実に通気性が最悪に悪そうだ。可哀想に。哀れな目を騎士に向けて進む。騎士が止まったので薊も止まると裏口っぽいところだった。まぁ、表口から出たら目立つわな。

「こちらです。こちらで少々お待ちください。」

「わかった。」

着替えてくるのだろうか?まぁ、確かに身分の高そうな騎士って感じだもんな。10分ほど待っているとどこかから走ってくる足音が聞こえる。

「お待たせしました。」

「ん?まぁ、こんな広いところ且つあの甲冑から普段着に着替えるのにしては時間がかかっていないから大丈夫。気にしなくていいやろ。」

「そう思います。」

そして、振り返るとそこには金色の綺麗な髪を揺らしている青目の美男がいた。身長はかなり高い185はありそうだ。顔の造形は完璧で治すところは何もなさそうな感じの顔だ。

「目立つ。」

「え。」

「今からひっそりと買い物をするのにお前の顔めっちゃ目立つ。」

「友人にも同じようなことを言われました。」

「だろうな。」

「どうしたらいいでしょうか?」

「フードつきの服とかないん?」

「ないです。」

「あんたの顔って結構有名だったりする?」

「そうですね。」

「はぁ~、そっかぁ。わかった。借りに行こう。どこで着替えてきた?」

「え、えっと。あっちです。」

「じゃあ、行こう。」

私は騎士の手を引っ張っていく。騎士は予想外のことに目を丸くしされるがままだ。角にあたると薊が「どっち?」と聞き騎士が「こっちです。」という。なかなか面白い図になっていた。

ものの数分でついたその場所は王城に繋がっている騎士のロッカールームの様なところだった。

「ここ?」

「はい。」

「着替えてきて。羽織るもんだけでも。」

「わ、わかりました。」

なかなか腰が低い騎士だ。今時の若者でもなかなかない。

騎士はドアを開けて中に入っていく。薊はそれを見届けると壁にもたれて座り込んだ。空を見ると薄っすらとだが月の様なものが見える。だが、少し離れたところにまた別に月の様なものが見える。月の様なものが二つという事はここは明らかに異世界だ。現実は受け入れられているが夢を見ている気分だ。少し暑いので制服のブレザーを脱ぎ、シャツを腕まくりした。首についているカチッとつけるタイプのリボンも外す。邪魔だとは思うが我慢するしかないだろう。せめて学校カバンがあればなぁとおもったが贅沢な悩みだ。早々に諦めた。空を見ると雲がちょっと早めに流れていて、どんどん移動している。謎の鳥のようなものが飛んでいるがここからじゃ全くわからない。

すると、先程の騎士が入ったドアが開いた。

「これでいいでしょうか?」

騎士は普段着の上に肘までしかないフード付きの服を着ていた。

「うん。いいよ。じゃあ、今度こそ行こうか。」

「時間をかけてすみません。」

「いいよ。大した時間じゃないから。時は金なりとは言うけれど、たまにはそんな時間もいいよ。空を見ているだけでも収穫はあったからね。」

「そうですか?」

不思議そうに上を向く騎士。その時はらりとフードが脱げる。そこからでてきたのは先程も見た綺麗な金色の髪の毛だ。

「なぁ」

「なんでしょうか?」

こちらに顔を向ける騎士は眩し過ぎる笑顔だ。

「髪の毛触ってもいい?」

「……はい。どうぞ。」

少しの間のあと騎士は薊の目の前に頭を下げた薊が触りやすいようにということだろう。触ってみるとなんとも触り心地の好い柔らかい髪の毛だった。日本人が金髪の場合は基本髪の毛を染めているということだから、ギシギシで全然触り心地が良くない。だが、天然はどうだろうか。と思って触らせてもらったがこれはなんとも気持ちいい。王城を離れる心残りがあるとしたらこの髪の毛をもう触れないことだろう。私は墨汁を落としたような真っ黒な髪の毛で薄い色に憧れは持つが、この髪色も気に入ってはいる。私の髪形は三つ編みおさげで前にたらしている。前髪はぱっつんでこれはこれで髪の毛の管理がしやすくていいのだ。さらさらではあるが短くて柔らかい毛も好きなのだ。

「うん。ありがとう。」

「何がいいのですか?」

にっこりと満足の笑みを浮かべると騎士は不思議そうな顔をした。うーん、キラキラがバーゲンセールしてるな。

「髪の毛が柔らかくて気持ちいいし。綺麗やな。うん。満足満足。」

「その私も触っていいでしょうか?」

「ん?これ?」

私はおさげを持って聞く。

「はい。」

「もしかして黒髪っていない?」

「いえ、いないことはないのですが、珍しいのには変わりありませんね。」

「そっかぁ、いいよ。」

「失礼します。」

騎士は割れ物に触るように私のおさげに触ってきた。三つ編みの感触を楽しむように触っている笑顔の騎士。何だこの図。すると、騎士は何を思ったのかおさげのゴムをするりと取った。片方もそうやって取ると満足そうに頷いて手櫛で触っている。

「向こうを向いてくれますか?」

「ん?いいよ。」

私は向こうを向くと騎士が普段剣を持っている硬そうな手で私の髪の毛を後ろに流していく。たまにうなじと耳にあたるカサカサで硬い手がくすぐったい。

「……いい匂い。」

「ん?どうしたん?」

「いえ、何でもないです。」

「あ、そう。」

騎士は暫くのあいだ薊の髪の毛を触っていた。5分くらい経つと騎士は満足したのか手を離した。

「ありがとうございます。」

「いんや、こちらこそ、ありがとう。」

私がそう言うと騎士は嬉しそうに破顔した。おおう、なかなかのダメージ。思わずダメージを受けていないかステータスを確認しそうになる。

私はもう片方も髪をほどき適当に手櫛で整えた後後ろに流した。ゴムはスカートのポケットに入れた。

「じゃあ、行くかぁ。」

予想よりも足を止めてしまったので買い物は早めに済ました方がいいだろう。

「はい。」

ニコニコと嬉しそうに笑う騎士のイケメン具合にちょっと嫉妬してフードを乱雑にかぶせた。それでも騎士からは嬉しそうな空気しかでていないのはどうしてだろう?薊は不思議に思いながらも騎士の隣を歩いていく。


********



必要なものは大抵揃ったが、未だに手を付けていないのが武器だ。

「武器って買っといた方がいいよなぁ。」

「そうですね。道中、魔物が出ますので一応の為に買っておいたほうがいいかと。」

「そうだ。常識を教えてくれる人ってどこにいるかなぁ。」

「それなら奴隷を買えばいいですよ。」

「おぉ、奴隷かぁ。でも、戦闘もしてくれる奴隷って高いよなぁ?」

ここでも異世界をしみじみと感じながらそう返す。

「そうですね。高いですが、命には変えられないと思いますよ。」

「そっかぁ、買おうかなぁ。」

「はい。」

薊はちらりと綺麗な顔の騎士を見上げた。こんな綺麗な顔の人から奴隷という言葉が出るとは思わなかった。思ったよりこの国は綺麗ではないということかもしれない。

「じゃあ、案内を頼まれてくれへん?」

「わかりました。」

「あ、そうや。この手紙って使えるかな?」

「はい。使えますよ。」

「良かったわ。よし、行こうか。」

「はい。」

どうやら王家の紋章入りの手紙は有効に使われるようだ。


********


奴隷商店は意外に小綺麗だった。が、一通りの少ないところにひっそりと建っていた。

「ほお、これが奴隷商。………………初めてのおつかい、なんつって。」

初めてのことに変なテンションな薊。

「開けるよ?」

「はい。」

ギィと音が鳴るドア。中に入るとカウンターに男が座っていた。

「いらっしゃい。」

「奴隷を買いたいのですが。」

「わかった。ちょっと待ってろ。」

カウンターの男はそう言うと奥の扉を開けて入っていった。暫く待つと先程の扉が開いてカウンターの男とその後ろに身なりの好い褐色の肌の男が出てきた。

「お待たせいたしました。ささ、こちらへどうぞ。」

褐色の男、奴隷商はそう言うと薊たちを近くの部屋に連れて行った。そこにはソファとテーブルが置いてあり、その部屋の中は良い物で取り揃えられていた。座ると紅茶を出されたのでフーフーしながら飲む。普通かな?

「どんな奴隷をご所望でしょうか?」

「強い奴隷かなぁ。見た目は何でもいい。」

「…わかりました。少々お待ちください。」

奴隷商は明らかに背の高い騎士さんに聞いていたが、私が答えると肩眉を上げてこちらを見た。奴隷商が手を振るとそばに立っていた側近らしき人が奥の扉に引っ込んだ。

「いやぁ、お客様は幸運の持ち主でしたね。最近いい奴隷が手に入ったんですよ。エルフの珍しい剣使いしてね。エルフなもんで見目がいいわけですよ。性奴隷にも使えますよ。」

「いや、見た目とかどうでもいいから。全部見せて全部。」

「…全部、ですか。」

「うん、全部・・。」

「わかりました。ですが、まずは順番に見ていきましょう。」

「わかった。」

「入れ。」

騎士は黙ったままだ。奴隷商はそう声をかけると先程の側近の人が出てきたそして、その後ろをぞろぞろと見目がいい奴隷が出てきた。どれもが屈強な男でなんか強そうだ。

「なぁ、借金で奴隷になったやつってどの人?」

「おい。」

奴隷商がそう言うと側近が奴隷たちを二つに分けた。

「近くに行ってもいい?」

「はい、どうぞどうぞ。」

ニコニコと営業スマイルの奴隷商は快く承諾してくれた。

「こっちは?」

私は二つに分けた集団のうち左を差した。

「そちらは賭けで借金を背負って奴隷になった者たちです。」

「賭博かぁ。じゃあ、バイバイ。」

奴隷商はその反応を見て下がらせた。薊は先程の借金奴隷たちから嘲笑の感情が込められた視線を送られたので外したのだ。

「じゃあ、こっちは?」

薊は右を差した。

「そちらはやむを得ず借金を背負ってしまった借金奴隷です。」

「例えば?」

「例えば借金の肩代わりとかですね。あとは、病になった身内を救うための薬を買う為に高額の借金を背負ったりとかです。」

「そっかぁ。でも、バイバイ。」

薊は先程から失礼な視線を送ってくるこの奴隷が一番嫌いだった。何故ならこの人なら身内ともども救ってくれるという期待の視線を送ってくるからだ。厚かましいにもほどがある。私はお人よしではないのでそんなことをするわけがない。

次々と出てくる奴隷の中には女の人も出てきていたが、やっぱり私から金を奪おうとかそんな視線しか送ってこない。おすすめしてきたエルフのイケメンのお兄さんも出てきたけど、いらない。顔で問題が起きる様な奴隷を買う気はないからだ。

「最後はこちらです。こちらの奴隷は病気だったり欠損が激しかったりします。それと、犯罪奴隷もおりますが宜しいでしょうか?」

「うん、構わない。」

「わかりました。では、こちらに移動をお願い致します。」

奴隷商についていくと確かに欠損が激しかったりしていた。奥に入っていくと突き当りにひときわ大きな体躯の奴隷がいた。気になって近寄ってみると向こうの壁に顔を向けて座る体躯の大きな男の人だった。頭には豹っぽい耳と尾てい骨あたりにはしなやかな尻尾が揺れている。

「そちらは犯罪奴隷です。確かに安いですがおすすめは致しません。何せ」









「獣人だからか?」







声が聞こえたのはその体躯の良い獣人からだ。

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