グランプリと最強
迷宮に潜ってもう5時間くらいが経過したと思う。しかしまだ俺たちは中盤にも差し掛かってはいなかった。
「くそ、きりがない、おおすぎだろここ!」
「ごちゃごちゃ言わないでさっさと片付けましょ」
俺と晴香はアンデッドの魔物に苦しめられていた。親玉を倒さない限り永遠に出現し続けるやっかいな魔物だ。
「くそ、こんなのどうしたらいいんだよ」
「ほんと、だらしないわね」
そう言うと晴香は両手を合わせてなにかを念じ始めた、すると地面から無数の剣が出てきてアンデッドたちをすべて切り倒してしまった。
「晴香おまえなにしたんだよ」
「何ってこれが私の能力[剣召喚]と[念動力]よ、あんたも能力ぐらい持ってるでしょ?」
俺にとってはこの言葉はとても重い、なぜなら俺の能力は[記憶保持]という戦闘には不向きのものだからだ。
「そんなことはどうでもいい、それより見てみろよあれ中盤の扉だぜ」
「どうする挑戦してみる?」
「お互いレベル4超えたし勝てるんじゃないかな」
俺は今まで溜まったストレス解消とグランプリ優勝のために何の根拠もなく決意した。
「じゃ開けるぞ」
ドアを開けると、そこには5メートルを越えるほどの巨大な魔物が待ち構えていた。
「やっぱりAランクの魔物だったな、さぁ戦闘開始だ❗」
カーン、ズバッ、ザク。
「この魔物動きが遅いから、動き回って撹乱しましょ」
戦闘を開始して1時間が経過した、最後の攻撃をしたら魔物は膝を付いて倒れてしまった、そう俺と晴香は無理だと思っていたAランクの魔物に勝つことができたのだ。
「ハァー、ハァー、終わった‥のか‥‥」
「そうみたいね、手強かったわ」
そして俺たちが迷宮をでるともう回りは真っ暗で夜になっていた。
「それじゃまた明日、絶対に優勝しましょ」
「ああ、絶対にな」
そして、グランプリ当日イベントの開幕式は大盛況のうちに終わった。俺たちの試合は昼からなので、それまでに暇を潰すべく敵情視察をしていた。
「あんた、こんなところで何しているのよ」
「敵情視察だよ」
「そんなことする暇があったら、剣でも振ってきたらどうなの?」
その言葉を聞く限り、晴香の怒りゲージはMAXにちかい、これで逆らったら俺後で地獄見るな。
「まぁまぁ落ち着けよ、な?」
「だったら30秒で準備室まで戻ってみて」
「はい!わかりました」
俺は怒りMAXの晴香に逆らえるわけがなく、言われた通り30秒で準備室間で戻った。
そしてそろそろ俺たちの番、1回戦はシードで2回戦目は前回のグランプリ8位の強豪だった。
「これ勝てるのか?」
「勝てるでしょ、試合前に余裕越えてる人が隣に居るし」
そんなことを言っていると向こうが俺めがけてすごい勢いで突進してきた、でも‥‥
ザク!
俺は突進してきた男の横腹を切った、切ったと言っても木刀なので、本当に切れたわけではない。
「あんた、まだぬるいよ」
「くそ、降参だよ」
こうして俺たちはグランプリ一日目は、余裕で生還できた、二日目も、1,2回戦と勝ち進み‥‥ついに決勝戦、少してこずったけどなんとか倒すことができた。
「なんか、余裕で優勝できたな」
「そうねあまり歯ごたえなかったわね」
閉幕式を終え二人で帰っていると、軍の人に呼び止められた。
「あなたが、神山樹様ですね国王様がお呼びです、どうぞこちらへ」
何が何だかわからなかったが、俺は国王のもとに足を運ぶことにした。
完