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最近の《鑑定》はクソスキル

皆様のご意見ご感想お待ちしております







 遺憾ながら……非常に遺憾ながら、俺は爬虫類(多分蜥蜴)になってしまったらしい。まずはこれを認めることから始めよう。で、そもそも何で俺は蜥蜴になってるの? やっぱり、電車に撥ねられて死んだから? それとも本物の俺は病院のベッドで寝かされてて、意識だけ蜥蜴に憑りついたとか? 


 んー……駄目だ、まるで意味が分からんぞ!

 とりあえずこの問題は放置だな。分からんことは情報を集めてから考えればいいでしょ。

 それよりもだ。俺はこれからどうすればいいの? そもそも蜥蜴って何喰うの? 腹減ったんだけど。


 ピロン♪


 何だこの着信音みたいな音。耳からじゃなくて頭の奥から響いてきたぞ?

 辺りを見渡してみても何もない……が、どれだけ首を回しても視界の端っこに【メニュー表示】っていう文字が付いて回る。  なぁにこれぇ? こんなゲーム画面みたいな視覚情報あってもいいの? 


 幻覚かと思って目を何度も擦るが、文字が消えることは無い。正直、邪魔にはなってないからいいけど、これって押せるの? 押したらゲームっぽくメニュー画面が開いたりするの?


 手で触れようとしても上手くいかない。そもそも腕、短いしな。

 だがゲームや漫画のみならず、大人気な小説投稿サイトを読み荒らす俺を甘く見るなよ? これはアレだろ、念じたり意識したりすれば表示されるパターンだろ? という訳で、【メニュー表示】をガン見する。気持ちとしてはボタンだ、ボタンを押す感じだ。オラオラッ!




 ==========


・ステータス

・装備

・称号一覧

・スキル購入


・スキルポイント:1100


 ==========




 うおおおおおっ!? ほ、本当に出たよ! やべぇ、これマジでゲームみたいじゃん!? そう考えるのはバッドエンドフラグだけど、メニュー画面まで出されたら本当にゲームみたいじゃん!   


 ただ、このメニュー画面を開いてると前が見えねぇ。しかもスキル購入以外の文字が灰色になっている。これってもしかして、ゲームになぞるなら「選択できません」って奴なんじゃ?


【スキル《鑑定》がありません】


 試しにステータス画面を開こうとしたら、エラー音と共にこんな文字が視界を塞ぐ。ステータス見るだけでもスキルが必要って、もしこれがゲームだったらとんでもないクソゲーだろ。


 だが! しかし! メニューの一番下の表示を見てもらいたい! 誰に向かって言ってんのか自分でも分からないけど、メニューの一番下を見てもらいたい! 

 このスキルポイント:1100……これってどう考えても、スキル購入用のポイントだよな? つまりステータスとかスキルを見たければ、《鑑定》スキルを買えってことだ。

 

 1100が高いのか低いのかは分からないけど、これなら大抵のスキルは変えそうな気がする! 転生しても特典貰ってないなんて言ってゴメンよ神様! 初期状態でスキルを購入しまくって生き抜けってことだよな? という訳で有り難く頂戴し、いざスキル購入画面へ!


 って、何じゃこの購入画面!? 灰色文字ばっかりで選択できないじゃないか! しかも肝心の《鑑定》まで灰色文字だし! あぁ、ポイントが足りなくて買えないってわけじゃないのに手が届かないこのもどかしさよ!


 せめて何か一つでも買えるスキルが無いかとタスクバーを動かしていると、一番下に白文字で選択できるスキルがあった。


【《?????》:必要ポイント1000】


 何だこの名前も効果も表示されてないスキルは。これしか買えない上に1000ポイントって、ふざけてんのか? これはもう馬鹿正直に買う必要もないな。後でスキル購入も解禁されるかもしれないし、名残惜しいけどメニューを閉じるか。


【スキルを購入してください】


 おいぃぃぃぃぃっ!? メニュー閉じれねぇぞ!? 何が何でもスキルを買わせたいのか!? 


【スキルを購入してください】

【スキルを購入してください】

【スキルを購入してください】


 しかもメッチャ催促し始めやがった! 何なんなの!? どれだけスキルを買わせたいの!?


【スキルを購入しなければ画面を移動する事が出来ません】


 遂には【警告】という文字と共に脅してきやがった。本当に買わなきゃダメ? 1000ポイントも使ってこんな謎スキルを? でもメニューがこのままなのは流石にキツい……。目の前が塞がって前見えないし。


 えぇい、男は度胸! 1000減っても100は残るし、スキルポイントを貯める方法がないなんて決まったわけじゃない。


【スキル《?????》を購入しますか?】


【はい】と【いいえ】の確認が表示される。これを買えばせっかくのスキルポイントが消し飛ぶが、背に腹は代えられない。俺は仕方なく【はい】を選択する。


【スキル《?????》を会得しました】


 それと同時に灰色だった文字が白に変わる。ポイントが足りなないスキルは灰色のままだが、100ポイントで買えるスキルは白になった。

 購入可能になったのは嬉しいけど、この何が何でも謎スキルを買わせたかったかのような執念には嫌な予感がする。


 ていうか、この《?????》って何? どんなスキルなの? 説明文とか無い訳?


【スキル《鑑定》がありません】


 あぁ、はいはい。《鑑定》を買えってことね。元々そのつもりだったし、《鑑定》は100ポイントでギリギリ買えるみたいだからいいけど、生き残るためには他のスキルも欲しいんだよなぁ。

 

【《迷彩:Lv1》:必要ポイント100】

【《操舌(そうぜつ):Lv1》:必要ポイント100】

【《韋駄天:Lv1》:必要ポイント100】


 説明書きも無い不親切極まりないスキル購入画面で、字面的に使えそうで購入可能なのは《鑑定》の他にはこの3つ。《毒耐性》とか《HP自動回復》とかあったけど、ポイント高くて買えやしない。一見大したことなさそうな《毒耐性》に必要なポイントが500ってなんだ? 

 選択肢が思っていたより多くて悩んだけど、ここはやっぱり《鑑定》を買おう。隠れチートスキルの定番だし、敵を知り己を知れば百戦危うからずって昔の人も言ってたし。


【スキル《鑑定:Lv1》を会得しました】


 という訳で購入しました、《鑑定》スキル! それと同時にメニュー画面のスキル購入以外の文字も白色に変化した。さぁ《鑑定》ちゃん、俺の初期ステータスを表示しておくれ!




 ==========


 種族:蜥蜴

 名前:----


 ==========




 …………ん? これだけ? 

 全ポイントを支払って購入した《鑑定》スキルで購入できるのはこれだけなの? 

 そ、そんな馬鹿な!? だって他の使えそうなスキルを捨てて買ったんだぞ!?




 ==========


 草


 ==========




 現実を認められず、試しに猫じゃらしを鑑定してみるとこんな文字が出てきました。

 ふ、ふざけんあぁあああああああっ!! しかもどこを探しても1000ポイントで買った《?????》が見当たらねぇし! どういう事だ! 責任者(?)出せ! 説明しろ!


【《鑑定:Lv1》では鑑定できません】


 つ、使えない! 《鑑定》全く使えないじゃん! アレだけ期待させといてコレは無いだろ! もう知らん! 不貞寝してやる!


 苛立ちと共にメニュー画面を消す。そこで俺は、初めてメニュー画面の弊害に気が付いた。

 目の前を占領していたメニュー画面が消えて、代わりに超巨大な蚊が現れやがった。


 どぅぇええええええ!? キ、キショぉおおおおい! 俺と同じくらいの大きさ何ですけど!? 何なんだよこの蚊は!?




 ==========


 蚊


 ==========




 いちいち視界を占領するな《鑑定(クソスキル)》!


 ブブブブブブブブブブッ


 人間の頃だったら「ぷぅ~ん」と聞こえていたであろう羽音も蜥蜴になった今では蜂の羽音を大きくしたように聞こえる。目を凝らせば薄っすらと見える複眼は真っ直ぐに俺を見ていた。

 人間だった頃はただ血を吸ってくるウザい害虫程度にしか思ってなかったけど、ここまでサイズが大きくなって血を吸うと目で雄弁に語られると、恐怖で足が竦む。逃げ出したいのに足が動かない。


 動けっ! 動けよ! とにかくこいつから逃げねぇと!


【スキル《恐怖耐性:Lv1》を会得しました】


 視界を占領する表示が現れるのと同時に、震えていた足が動いた。

 身を翻してダッシュで逃げる。人間だった頃でもここまで本気で走った覚えはない。スズメバチ一匹でも普通の人間は逃げ出すくらいだ。超巨大な虫なんて、たとえ相手が蚊でも逃げるだろう。事実、仮に俺がまだ人間だったとしても同じように逃げだす自信がある。


 しかし相手の方が早い。蜥蜴も素早い印象があったけど、蚊はそれ以上だ。巨大な蚊が俺の背中に張り付き、痛みも無く何かを刺しこまれた。それと同時に全身が痺れだす。


 うぎぎぎぎ……! ど、どうなってんだこれ……!?

 そう言えば、蚊って刺すときに麻酔出すって聞いたことがある。嘘だろ、もしかしてコレがそうなの? どんだけ強い麻酔かけてんだこの蚊!?


 このまま血を吸われて死ぬのだろうかと慄いていると、頭の上を何かが通り過ぎていった。首を少し回して後ろを見てみると、巨大なハエトリグサのような植物が顎を忙しなく動かしながら蚊を咀嚼していた。


 怖ぇぇえええっ! 何だあの食虫植物! 待ち伏せするんじゃなくて自分から食いつきに行ったよな!?

 こんなおっかない所に何時までも居られない。俺は痺れる手足をぎこちなく動かしながら、急いでその場を去っていった。





蚊に殺されかける主人公なんて、創作史上初なのでは?

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