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美沙の異変

そろそろ更新再開できそうです.....

俺は今 大会が終わり、春蘭高校弓道部のみんなと共に出口に向かってるところだ。


ふふん、優勝校として胸を張っていこうじゃあないか!


「うわあ...近くで見るとむちゃくちゃ美形じゃん...」「あんな殿方見たことありません....」「ってか、あんな子私月刊スポーツ男子で見たことないんだけど?あれだけの顔面偏差値を誇ってれば取材くらいくるでしょ?」「なんか新入生らしいよ?」「「マジで!?」」「1年生で全て矢が的に的中か...」

「ヨダレ出るね」


他校の弓道部や観客たちから好奇の目に晒されてしまう。


む、むむ...。なんか恥ずかしいな。多分俺のことだろうと思う。


俺は張っていた胸を心なし控えめにする。


っていうか、月刊スポーツ男子って結構知名度あるのかな?さも当たり前のように話題に出してくるあたり、かなりのものと予想した。帰ったら調べてみよう。


「でもさっき女の人に話しかけられてたよ?」「うんうん、ナンパとかじゃなかったっぽいから、もしかしたら取材とかインタビューだったのかも!」「お、じゃあ来月のスポーツ男子に載るかな?」「可能性は大いにある」「私帰りに予約しておこ」


む、君なかなかの洞察力だ。

ご褒美にスマイルを向けておこう。


ニコッ


「ほ、ほぉえ!?」


面白いほど慌ててくれて僕も微笑み甲斐があります。


「ちょ、今私に!私に微笑みを!ふ、ふふ...どうやら彼は私のことが気になっているようね」「はあ!?そんなわけないでしょ頭おかしいのあんた!子宮から人生やり直しなさいよ!」「「そうだそうだ!」」


お、おおう....

子宮から人生やり直せとは中々辛辣だな。


俺はこの世界の女性に(おのの)きながら武道館を出た。



「あ、ジンちゃ〜ん!」


「あっ、まって私も!おにいちゃ〜ん!」


おっ、母さんと心愛がこっちに走ってきた。


後ろには苦笑いしている姉さんと、ニコニコしている莉央ちゃんに、なんだかボケ〜としている美沙がいる。


「お疲れ様ジンちゃん!あと優勝おめでとう!今夜はジンちゃんの好きな唐揚げにするね!」


「ちょっと母さん!部活の皆もいるんだから僕の好物とか言わないで!恥ずかしい!」


俺はもう高校1年生(実際は20歳)なんだ。同級生の前で、母親にそんなことを言われたらなんだかむず痒い。いや、別に恥ずかしいことではないのだが、無性にね。


「ジンちゃんに怒られた....」


母さんがシュンとしていると、心愛が話しかけてきた。


「お疲れお兄ちゃん!ものっっっすごくカッコ良かったよ!結婚しよう!」


「何言ってんの」


心愛の冗談に俺は笑いながら言う。


「ぶぅ...冗談じゃないのに...」


心愛が小声で何か言ってるが周りに人がたくさんいて少し騒がしいためよく聞こえない。


「なんて?」


「なんでもないっ」


そう言って心愛はぷいっとそっぽを向いてしまった。


なんだ?なんかわからんが怒らせてしまった....

まあ、時間が解決してくれるだろう。そっとしておくか。


「仁おめでとう」


「仁くん、すごかったですぅ....」


姉さん、莉央ちゃんが遅れてやってきて言葉をかけてくれる。姉さんは慈母のような微笑みで、莉央ちゃんは輝かんばかりの笑顔だ。


うーん、この2人はやっぱり癒されるなあ...

姉さんは全てを包み込んでくれそうな抱擁力があるし、莉央ちゃんは俺を慕い尊敬してくれているようでついつい甘やかしたくなる。違うベクトルからの癒しだ。最高。


しかし、それにしても....


「どうしたの?美沙」


そうなのだ、美沙が全然喋らない。ぼけーとしてこちらをぼんやりと見ている。なんか心配になってくる。


「みょっ!?」


....なに今の鶏のびっくり声みたいなの。いや、聞いたことはないけども。

美沙はそんな奇怪な声を出した。


「ど、どうしたんですかみさみさちゃん」


「美沙ちゃん....?」


莉央ちゃんと母さんが心配そうに美沙の顔を覗き込む。

美沙は俯いていて俺からは顔がよく見えない。


「あたっ、あたしっ!仁が弓道してるとこ見たら!胸がざわざわしてっ...心臓が痛くて....!体が熱くて!なにこれぇ...」


胸をぎゅぅっと手で抑えながら顔を赤く染めてそんなことを言う美沙。


え、えぇ....?

風邪...ではないよな?

俺が弓道してるところを見て、か。んー......少し自分で言うのも恥ずかしいがあれか?いや、しかし....。


俺がある程度推測できているが確信は持てずにうんうん唸っていると、


「...美沙さん、こちらへ」


「そうね、ちょっとこちらに来なさい美沙ちゃん」


心愛と姉さんのそんな声を筆頭に、女性陣は美沙を連れて俺から少し離れた場所へ集まる。

俺はポツンとその場に1人残された。

ちなみに春蘭高校弓道部の皆は、俺が家族と話し始めたのでそのまま挨拶して帰ったり、周りで友達と話したりしている。


「それはね....、だから.....ってことなの」


「うんうん、......だよ」


女性陣は小さく円状に集まって何か小声で話している。聞き耳を立てると聞き取れそうではあるが、わざわざ内緒話にするくらいだ。気を逸らして耳に入らないようにしておこう。


数分後、さっきよりはマシであるが、やや頬を紅潮させた美沙ちゃんを連れてみんなが戻ってきた。


「おかえり、みんな。美沙大丈夫だった?」


「うん、心配ないよジンちゃん。ちゃんとオハナシして来たから」


「そうよ仁は何も心配する必要はないわ。ねぇ莉央ちゃん?」


「は、はいっ!...みさみさちゃんもやっぱりそうなっちゃいますよね....」


なんかモヤモヤするなあ...

半ば予想はできてるけど確信が持てないだけにもどかしい。


「そ、そう...。美沙も何かあれば僕に言うんだよ?」


「ふぉっ!?わ、わかった」


....さっきから挙動不審だな美沙は。ちょっと面白いやないかい。


「じゃあ帰ろっか」


母さんのその一言でとりあえず美沙のことは置いておくことになった。


その後、俺と一緒にいれないことを嘆く俺の家族は車で、莉央ちゃんと美沙は俺たち弓道部と一緒に電車で帰った。美沙は帰路も俺と話してくれることはなかった。



むむ...もどかしいっ。


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