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エピローグ

これで最後!

 荒野にバイクの音が響く。

 修理したバイクは快調である。


「お兄! 次はどこに行くの?」

「次かぁ……どーすっかなぁ」

「依頼も何もなかったしね。あ、そう言えば」


 サイドカーから身を乗り出す。


「あのね、リコッタさんが青い歯車の時計を持ってたの」

「青い歯車? それって」

「うん、たぶん、機械人の心臓だと思う。で、それ、ベゼル君から貰ったんだって」


 思い出すのは、あの奇妙な少年だった。

 不可思議な少年だ。どうしてそんなものを彼が持っていたのかわからない。

 けれど気になる話ではあった。

 機械人を殺したのか、どうしてその歯車を使った時計なぞ作ったのか。


「うーん……でもカルカソには行きたくないぞ俺」


 ディーンは歯噛みするような声を出す。

 カルカソで騎士団に追い駆けられたことは、未だ記憶に新しい。


「確かに……でも他にあてもないよ?」

「それもそうか」


 それなら仕方ない。

 旅には色々あるだろう。

 危険に飛び込むのも悪くはない。どうせ元々行くあてなんてないのだ。

 だったら、どこにでも行ってみるのも悪くはないだろう。


「うん、行こうか」


 軽い言葉。

 荒野を真っ直ぐに、バイクが突っ切っていく。






 小さな墓前。

 機械部品を突き立てた粗末なお墓に、クラウディアは手を合わせた。


「そっかお婆ちゃん亡くなったんだね」


 実感はわかない。

 そもそも会ったことさえなくて、最近ようやく祖母がいたことを知ったのだ。

 だからそこに込める想いはよくわからない。

 悲しんでいるのかもわからない。

 そっと子供が二人、隣にやって来て、クラウディアと同じように手を合わせた。


「お前たちは」


 少年が顔を上げる。

 その陰に隠れるように、少女が手を合わせ続ける。


「……お姉さん、ばぁちゃんのこと知ってるの?」

「いいや、最近知ったばかりだよ」

「そっか」


 言葉は少ない。 


「お前は、彼女のことを知っているのか?」

「知ってるよ。育ての親だったんだ」

「そうか……よかったら、彼女のことを教えてくれないか? どうやら私の祖母のようなのだが……私は祖母のことを何も知らないんだ」


 少年は目を丸くする。


「そうなんだ、いいよ。おれはトルク。こいつはクラン。ちょっと人見知りなんだ。勘弁してよ」


 隠れるようにしていたクランが、小さく頷いた。


「お姉さんは?」

「私は」


 金の髪が風に揺れる。

 砂塵の混じった風が吹く。


「私はクラウディアと言う」


 そっか、とトルクは笑った。

 空は青く、どこまでも続いている。



 どこかで、バイクの唸る音が響いた。






ここまでが、ダッシュエックス文庫に投稿した分です。

一次選考までしかいけませんでしたが、私自身、楽しんで書いていました。


書き上げたものを再度上げるというのは、ちょっと思ったよりも時間がかかってしまって他にやるべきことがあるとどうにも投稿できませんでした。

思ったよりも、時間がかかってしまいましたが、どうかこの物語で楽しんでくれた人がいれば幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 言葉が独特で面白い。世界観も情景も入って行きやすかった。 [気になる点] ときに誰の視点なのか混乱することがあった。 [一言] 楽しかったですよ
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