特訓その2 午前中
朝ごはんを食べたら、次は薪割りをする
今朝は鳥達が雨避け小屋に入ってなかったから、薪小屋の木を全部出す…
丸太を鋸で切って薪の長さにする…屑は火を起こすのに使うから集めて瓶の中に入れる
斧で割って太薪、中薪を作る
鉈で割って太さを揃えたら薪の完成!
鉈で割った時の屑が細薪…最初に火を着ける薪だナ…
小屋を掃除して、屑の瓶を置いたら、他の丸太や薪は放置
お昼ご飯まで武器の練習だ!
獲物を仕留めるには、首を落とすか胸を刺すのが一番だ
威力だけならハンマーや棍棒が良いが、しなやかな獣には効きづらい
斧も威力は有るけど…重いからスヒードが落ちる
剣は棍棒の威力を[通す]為に作られた鉄の板
刺す事も出来るけど槍程の貫通力は無い
いろんな意味で半端な武器だと思う
お父さんの狩りは、弓矢で弱らせて、槍に斧が付いた武器で止めを刺す
死んだフリをする動物から、思わぬ反撃をされた事が有って
それで斧は止めたんだって…
俺も怖がりだから真似したいけど…唯でさえ重い斧が、棒の先に付いてると、今の力じゃムリ!
そうなると、弓矢と槍…両方とも[命中率]と[手数]が大事
なので練習あるのみ‼
的を並べる…これは、お父さんに土魔法で作って貰った[兎]が2羽に俺が作った[鼠]が6匹
的が同じ大きさだと目が慣れてしまうから練習にならないんだって
兎はハンマーでも壊れないくらい硬く作ってあって、頭と胸だけ普通の陶器
鼠は全部が陶器で[まともに当たれば]割れる
当たっても威力が死んでたり、かするだけだと割れてくれない
兎の頭は大きいけど…鼠は小さいし、兎の胸の陶器部分は、もっと小さい
シュリンクと立ち上がる兎の姿が可愛くて集中できない
「かする方が痛くて苦しむだけだぞ?」
って、お父さんが言ってた…ぅん…もっと練習しなきゃ
槍の訓練は、雨の日に衛兵さんの練習場で教えてもらっているんだ!
穂先の付いてない棒を使うから[棒術]っていうんだって!
どんな武器でも握る力が要る
握力っていうらしいけど…これも夜に鍛えてる
握力が無くなると午後の[お小遣い稼ぎ]がキツくなるからね
練習の甲斐有って、結構な確率で的に当たるようになったけど…[結構な確率]じゃダメだし、本物の獲物は動くからナァ…
必中できたら、次の練習を考えないと…
さぁ全部片付けて、お昼ご飯だ!
「あれ?お父さん狩りは?」
家に入ったらお父さんが居た
「今日はツキが良くてナ…ピーギボアを見つけたんだ! ノーメンボアより味は落ちるが、柔らかさなら負けないぞ?」
「それで早く帰って来たんだね?」
「そういう事だ! ところで弓矢の練習は終わったのか?」
「今終わったとこ!…お母さん!ご飯まだ?腹減ったよ~!」
「そうだ!こないだね、子供達が5人で野良犬を虐めていたよ!」
「お前も子供だろう!」
「ぅん…まぁ…でも俺なら独りでも野良犬には負けないよ?」
「はぃ!お待たせ!お昼だから、お肉は無いけど…柔らかくても、しっかり噛んで食べるのよ?」
「ぅん!いただきま~す」
「それで?犬を助けたのか?」
「え?何で?」
「そりゃぁ助けないと死んじゃうだろう?」
「ムグムグ…ぅん!ふごはったほ!ほうはんぉ…ムグムグ…」
「食べながら話すんじゃ無いの!お父さんも食事が終わってからにして下さいナ…」
ングング…ズ…ズズズ…ズ…
「ッブハァ!ごちそうさま!」
「んとネ…最初は何でか追いかけられてる子が居て、助けようと思ったんだよ?」
「そしたら、どこからか4人が棒を持って出てきて…腰や背中や肩…肉が薄い部分だね? 的も大きいし、ボコボコ!」
「動物は、しなやかだから効かないぞ?」
「ぅん…でも痛いと思うよ?骨を狙ってるんだもん!」
「んで、追われてた子も棒を持って来て参加して…凄いのは頭を向けられたヤツは攻撃しないで、攻撃のフリをしてるんだ!」
「犬は[嫌な攻撃をするヤツ]を狙う…でも、そいつが攻撃を止めちゃうから別のヤツが嫌なヤツになる…」
「飛び掛かる為に肩を沈めると、お尻が上がるから腰を叩く」
「肩の肉が盛り上がるから、前足の爪先を叩く」
「引っ掻こうとすると腰は叩きづらいから、尻尾と膝とお腹」
「ガクガクしだしたら狙われたヤツが、わざと棒を咬ませる…武器を奪おうとして離さないから他のヤツは安心して頭を叩く」
「ギャン哭きして倒れても叩く…動かなくなっても叩く」
「酷いナァ…」
「何で?食べる為なら仕方ない…って、お父さん言ってたじゃん?」
「食べるのか?」
「さぁ?赤犬だったから食べるんじゃない? 俺はそこまでしか見てないから知らない…」
「結局、何の話だったんだ?」
「え?子供でも犬を狩れる…って話でしょ?」
「そりゃぁ多い方が強いだろ!」
「え?ハンターは独りで狩りをしてるんでしょ?」
「え?」 「え?」