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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

Non title

作者: 白虹
掲載日:2012/11/19

雨に濡れる、濡れる、濡れる・・・・・・

頭から顔も服も靴も・・・何もかも全て。

街頭もなく月明かりも勿論ない真っ暗な闇の中、あたしはそれよりも深い闇に囚われていた。


目の前には我が家だったモノ。

妹と競って柱に刻んだ成長の記録も、押し合いの末撮ってくれた思い出も・・・大好きな家族も消えてしまった、燃やし尽くされしまった。

本当なら、炬燵でのんびりしているだろう家族から「おかえり、寒かったでしょ」と労いながらあたしが買ってきたコンビニ袋からそれぞれの好みのお菓子を取り出すはずだった。皆でお菓子を食べながらテレビを見てるはずだった。


なのに、それは奪われてしまった。


数時間前の出来事。

家族を惨殺しガソリンを撒いて放火した。昔ながらの木造だった我が家はよく燃え、それに気づいたご近所さんが通報してくれた。

警察に聞いた所だと現行犯で逮捕されたストーカーだった()は燃え盛る我が家を目の前に狂ったように笑っていたらしい。

その女はあたしの友人で、妹に歪んだ劣情を持っていたらしい。ストーカーをしながら、怯える妹からの相談を受けていたと供述したと聞いて悪寒が走った。

そして、犯行動機は妹に彼氏が出来た事で頭に血が上り、どうしても我が物としたかったから。死ねば他の人を見ることないから。家族に関してはついでらしい。

あまりにも勝手な動機に目の前が紅く染まった。その後の記憶はしばらく無く、気がつくと病院にいた。近くにいた看護婦さんから暴れた為安定剤を打たれたとの事らしい。その看護婦さんはお医者さんを呼んでくると部屋から出ていった。あたしは医者は必要ないと自己判断し外へ出た。

外はもう暗く、ポツポツと雫が落ちてきていた。そりゃそうだろう。自分が休日出勤から帰宅したのが夕方。それから今までの状況を聞いたり、病院で寝ていた時間を考えればもう夜中に近いはずだ。


ふらふらと我が家だった燃えカスの前に立ち続けてどのくらい経つだろうか。

少し前から雷鳴が響き、雨が叩きつけるようになった。今は小粒の雪も混じっているのか僅かな痛みを感じる。

ここにいても仕方ないことは知っている。

でも、離れがたいのだ。大好きだった。大切だった。拠り所だった。

グロイとしか言いようの無い遺体も見たが信じられなかった。ここにいればまた会えるのではないかと、風邪を引いてしまうだろうとお叱りを受けられるのではないかと、思ってしまうのだ。


雷が徐々に近づいてきたような気がする。光と音の間隔が狭まってきたと思う。

そして、次の瞬間。

一瞬稲光を見たかと思うと、目の前が真白に染まった。



その後、彼女の姿を見た者はいないという。




















 

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