表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰が姉を殺したの?  作者: 月食ぱんな
第二部:諦めること
69/167

ハイキング4

 滝を眺めながら休憩できるよう建てられた東屋で、到着した班ごとに昼食を取ることになった。


「オースティンの班は、もう帰り道に向かったよ」


「マリアンナの班は、蛇に驚いて足を挫いた子が出ちゃって、途中で引き返したらしい」


 他の班と情報を共有しながら、私たちは班ごとベンチに座りサンドイッチをぱくつく。


 むき出しになった岩肌の上を、薄いヴェールをかけるように落ちる滝が見える。


 周囲の緑が滝の霧に包まれ、光を受けて虹が揺れている。


「綺麗ね」


 自然あふれる光景を眺めながら頬張るサンドイッチは、それだけで美味しく感じるものらしい。


「シャルロッテ。君のツナサンドと僕のたまごサンドを交換しないか?」


 珍しく隣に座るアシェルがお願いをしてきた。


 すでに彼の視線は、私の持つツナサンドに向けられている。


「え、ツナとたまご。二種類入ってたよね?」


「ツナだけ食べたい気分なんだ」


 彼は当たり前のように主張してきた。


「交換したら、いいことある?」


「僕の機嫌が良くなる」


「……それっていいことなの?」


「僕にとっては、とても有意義なことだ」


 真面目な顔を向けられた。譲るつもりはないらしい。


「……わかった。いいよ。貸しひとつね」


 アシェルとサンドイッチを交換する。


「貸なら、すでに君には生涯かけても払いきれないほど、僕は貸しているけどな」


 アシェル節を炸裂させたあと。


「でも、ありがとう」


 珍しく嬉しそうにアシェルが笑う。


「どういたしまして」


 子どもみたいな彼に、私もつられて笑った。そんな私たちのやり取りを見ていたらしきソフィーが呟く。


「あなたたちって、本当に仲がいいわね」


「君の目は節穴か?」


 ご機嫌な時間は瞬く間に、終了したようだ。全方位に敵意を向けまくる、普段の彼が復活する。


「まあ、私たちは同じ寮仲間だから」


 アシェルの無礼をカバーすべく、当たり障りのない返しをしておく。


「あなたたちの会話って、喧嘩腰なことが多いものね。だから仲良しだわ」


「え、それは仲良しの真逆なんじゃないの?」


 シンシアが会話に参加する。


「お互い言いたいことを言ってる証でもあるんじゃないか?」


 ラスティン様がソフィーの肩を持つ。


「喧嘩するほど仲がいいって言うしな」


 イアン様がシンシアに笑いかける。


「……確かにそうですね」


 赤くなったシンシアは、たまごサンドを見つめてしまった。


(あの二人は、順調っと)


 姉から課せられたミッション。


 ・イアン様に自分の人生を生きてほしい。

 ・シンシアに自分の気持ちに素直になって欲しい。


 この二つの達成は近そうだと、私は浮かれる気持ちで、アシェルと交換したたまごサンドを頬張るのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ