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朗らかな朝

「ぐすん。ぐすん。お兄ちゃんに体を預けたのに拒否されたあげく、私の体に興味むけてくれないよぅ〜」

明里(あかり)は誰でも分かるような嘘泣きをしており、楽しそうだったので放置した。

「…。」

「どうして!どうして俺の渾身(こんしん)嘘泣(うそな)きを兄者は無視するのだ!」

「構って欲しいのか?」

「当然だ。だから構ってよぅ〜。ね?ね?」

明里はウザイ程に構ってほしそうに頬を俺の体に擦り付けてきた。

「分かった」

「やったー」

明里は嬉しそうに俺に抱きつき、俺は明里の頭を()でた。

「えへへ」

「機嫌はよろしいですか?」

「うん」

俺は明里の上機嫌(じょうきげん)な返事したので、体から()がした。

「さっさと寝ろ!」

「は〜い」

明里は俺の言葉を素直に従っておかしい気分になったが、ようやく落ち着いた時間が執れた。

「ちょっと待て!その掴んでいる本は戻せ!」

「良いじゃん。減るものじゃあるまいし」

明里は俺の本を盗んだことがバレたと言うのに駄々(だだ)()ね、返す様子がない。

「よし。じゃあ、俺もお前の宝物でももってくるかな…」

「え…えっと。それはだめ!返すから。それと入ってこないでよ!」

明里は俺から逃げるように自分の部屋へと戻っていった。

「あいつ、どんだけ俺に入ってほしくねえんだよ」

明里とは幼い頃は同じ部屋で暮らすくらい仲が良く男女の兄妹でも異常に仲が良かった。だが、俺も成長して部屋を分けた時には俺へ壁を作るようになった。

俺は明日の準備を済ませると、お風呂に入り、そのまま眠った。


「お兄ちゃん。起きて!」

布団を被って温かくして寝ていると、急に明里が現れた。

「朝だよ」

「重い…」

明里は俺の部屋に入ると、俺の体に乗っかり、押し潰してきた。

「良いではないか。」

「よくあるか…」

俺は男の()(がた)い理性の危うい状況に耐えていた。

「もしかして、興奮した?」

「ち…ちが…」

「言わずとも知っている。さあ。私の胸を揉むと良い…」

俺に胸を見せつける明里は楽しそうにしているが、布団の上に乗っている明里のせいで全く動けず、それ所ではなかった。

「おい。明里、降りねえと揉めん」

「おっと。これは失礼した」

明里は俺が動けないことを分かっていながら謝ってきた。

「さぁてと。兄貴、学校に行くよ!」

「おぅ」

明里は揉ませようとはせず、部屋を出た。

「ごはん!ごはん!」

「話を逸らしやがった」

俺はリビングへ向かい、朝ごはんを食べる。

「親父は?」

「今日は休みだから寝るだって。あなたたちは学校に行く準備しなさい」

「はい」

ご飯を食べ終わり、準備を済ませ、学校へ向かった。

「行ってきます!」

「行ってきます」

俺が登校するタイミングで明里も中学へ登校した。満開の桜が道に広がり、春の朗らかな風が花弁を巻き込み一面を桜色に染めていた。

「お前も今日から学校だよな」

「うん」

今日から明里も中学三年生になる。優等生の妹と年子が嫌になることもあったが、こうした関係は嫌ではなかったりもする。

「明里ちゃん!と先輩…」

「久しぶり」

女の子は恥ずかしそうに明里の後ろに隠れた。

「お兄さま…」

「どうした?」

明里は徐に俺のネクタイを手にして綺麗に整えてきた。

「これでよし…。それではお兄さま…私たちは失礼します」

「おう」

明里はお友達と待ち合わせしていたようで、家の近くの公園で待ってくれていたみたいだ。俺が明里に手を振ると、待っていた子は俺の方に一礼して明里と学校へ向かった。

「…行くか」

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