初めてのホームルーム
「それでは改めてご入学おめでとう!今日から君たちの担任となる小野美鳥だ。晴れて君たちは今日から花の高校生です羽目を外さず!真面目に新年を迎えてくれ!」
真面目に職務をしているが、入学式の際の印象が強く、未だに違和感があった。
「それでは学級長を選ぶ。やりたい奴はいるか?」
そう言われたが、生徒は手を挙げず嫌ようにし始めた。
「出ないなら、私が適当に選ぶぞ」
小野先生は嫌がってなろうとしないことに面倒になったのか生徒が嫌がりそうな提案した。
「嫌に決まっているだろ」
「誰が…」
なろうとしない生徒たちは先生の話を聞いて学級長の席の押し合いを始めた。
「あの!この子がやりたいって言っています」
「あ…あの…」
「おっ城田…か?」
嫌がる生徒の中で、女子の一人が他の女子を学級長にさせようと動かしていた。嫌な気分になった。
「やりたいのか?」
「はい…」
残念だが、中学と生徒があまり変わらないと言うことは、環境も変わらないようで、大人しい人に嫌がらせが起きているようだった。
「そうか…!わかった」
「じゃあ、男子だな」
先生は選ばれた女子生徒に確認を取るともう一人を選ぼうとしていた。
「あの!私がなります」
こう言う面倒ごとに毎度の如く首を突っ込むのが俺の幼馴染安堂千佳である。
「そうか…。やってくれるのか」
「はい」
先生は自分から手を挙げた千佳に嬉しそうに話しかけた。だが、一方で面倒を他の生徒に押し付けた生徒は気に食わない様子で千佳を睨んでいるのが見えた。
「気持ちわる…」
「良い子ぶって…」
女子の声は耳障りで聞こえそうで聞こえないくらいの声で話していた。
「じゃあ、男子だな。安堂のようになりたい奴はいるか?」
千佳がやろうとしたことで男子生徒はやる気が俄然出てきたようで、話し声が聞こえてくる。
「安堂さんがやるなら…」
「アリだよな…」
俺はそのやる気満々な男子生徒の顔を眺めて暇を潰していた。
「じゃあやりたい奴はいるか?」
先生の声に男子生徒は我先にと手を挙げ出した。
「はあ。アホらしい」
俺が呟くと隣に座っていた千佳が再び俺の方を睨んでいた。
「何だよ…」
千佳は面倒ごとを毎回拾う。そして俺にも押し付けようとしてくる。これは幼馴染の宿命のようなものだ。
やれと命令してくる視線。やらないと殺すと脅している殺意が俺に向けられていた。
「分かったよ…悪魔が…」
俺はこうして毎回参加することになってしまうのである。
「じゃあ、何人かいるし、ジャンケンだな」
参加人数は数人。負ける方法を考える俺、自然に負けないと地獄になることが確定してしまう。
「じゃあ前に来い」
先生の指示で参加者は立ち上がり、前へ出た。
「勝ってよ…」
千佳は俺が前に出ようとした時にそう呟いた。
「お…おう」