不和
ご飯を終えた俺は親父が帰ってくる気配も感じることなく、すぐに自分の部屋に戻って明日の準備を済ませた。
「はぁ。疲れたし、寝るか」
変わりもしない学校の準備に終わってしまい、ただベッドで寝ることにした。
「ふう」
ベッドで横になった俺は部屋の電気を消し、大きな深呼吸をして目を瞑って眠りについた。
「お帰りなさい」
眠りが浅かったのか目を閉じた俺は部屋の外から聞こえてくる声に耳を澄ませた。
「二人は?」
「お部屋にいっちゃったよ」
親父の声と母さんの声。いつものような会話が始まった。
「明里も?」
少し言葉を濁して親父はいつも相手にされない明里について尋ねた。
「あの子、お父さんの家から帰ってきてから変わっちゃった…みたい」
明里の話に真剣な口調で話しており、俺の知らない様子に目が冴えてしまった。
「あなたも私もあの子にいらない重荷を持たせたもの…」
「そうだが…」
親父は母さんに申し訳なさと悩みを含んだ口調で一言だけ返した。
「もしかして、晴翔は知っているのか」
「いいえ。明里が今の暮らしができているのも晴翔のおかげだから言えていないの…」
親父と母さんは俺の知らない話をしているが、どの話なのか気になり出した。
「そうか…それは良かった」
親父は安堵しているが、この話を今。聞いてしまった俺は、話に関わらないことができなくなった。
「明里に何が…」
俺が考え込んでいる間も親父と母さんは会話が続いていた。
『ギシ』
床を踏み込み軋む音。廊下から聞こえてきたのは、恐らく明里の足音だろうか。俺を起こさないようになのかゆっくりと聞こえてくる足音は次第に二人の声の元へと遠ざかっていった。
「明里…」
俺は話が気になりつつも明里の気配にバレないように息を潜めていた。
「あなた。リビングで話しましょう」
「そうだな」
明里と親父たちの話し声も聞こえず、静けさが戻った。
「寝るか」
俺は目を閉じて呼吸を落ち着かせて眠りを始めようとした。
「………」
息を潜めて緊張していた俺は力が抜けてすぐに眠気がやってきた。
『明里…』
俺は明里のことが気になってしょうがなく、眠りの中でも思い出していた。
『ギシ』
動き出した足音に俺は気を取られながら眠ろうと必死に目を閉じていた。
『ガチャ』
近くの部屋の扉が開いた音を最後に意識がなくなった。
「…にい…さん」




