午後の狭間
佐伯と佐々木さんは仲良く二人で話、俺と国吉は男同士で静かに話しがら教室に戻っていく。
「あの二人。本当に仲良くなって良かった」
「だな」
国吉は佐伯と佐々木さんの様子を見て嬉しそうに話しており、俺たちも嬉しさもあった。
「だが。俺たちにも彼女欲しいな」
「せめて意識してくれている子がいてくれたら良いんだがな」
俺が一人で羨ましそうにボヤくと国吉も同意して話が進んだ。
「そういえば安堂はどうなんだよ」
「あ…安堂さん?」
俺からして見ても可愛い部類であることは理解している。だがそれに対して性格に難があると思えていた。
「俺には高嶺の花だからな」
「そうか?」
俺と国吉が話しながら教室に入ると、目の前に噂の千佳と木下さんたちが会話をしていた。
「中学校から何も変わってないね」
「うん」
俺たちがいない間にも千佳たちは話が弾んでおり、木下さん以外の女子生も入れて話していた。
「お…俺は先に戻る…な」
「おい…」
一人きりになった俺は仕方なく席に着く事にした。
「俺、席に座って良いか?」
「好きにすれば良いでしょ」
千佳は話しかけられたことに不機嫌そうにしており、素っ気なく言ってきた。
「くすっ」
俺と千佳の会話を聞いて他の女子生は対応の違いに可笑しくなって笑っていた。
「安堂さん、飯塚くんだけに強いよね」
「だってこいつは幼なじみだし、それ以上にはならないし、それ以下にもならないから丁寧にしなくても特別扱いもしなくて良いから」
千佳は俺の扱いを雑に扱っている自覚があるようだが、当たり前のように応えた。
「それって」
「しーっ!」
千佳の話を聞いた女子生徒は何か気づいたようで言おうとしたが、木下さんが口元に人差し指を当てて言わないようにジェスチャーをした。
「何?」
「千佳ちゃんはじっくり理解しようね」
女子生徒は俺の方を見ているが、千佳のことを俺が知っているわけでも無いので俺も目を逸らして前を向いた。
「焦ったい…」
「我慢…我慢」
女子生徒たちには共通の認識でもあるのか何も言っていないのに聞こえてくる話が同じように諭すような言葉だらけだった。
「千佳ちゃん?」
木下さんの呼び声に千佳は返事をしないため気になって横を見ると千佳がこっちを睨んで動いていなかった。
「なんだよ?」
「晴翔の変態」
俺が何も言っていないにも関わらず千佳は一言だけ俺に呟いてきやがった。
「何をしたって言うんだよ」
俺が言うと千佳は何も言わず、木下さんの方を見て話を再開した。
「良いの?」
「何が?」
木下さんは千佳に一言だけ聞くとそれ以上は何も言わなかった。
俺もそれ以上話に混ざらないように腕を机に置き、その上に頭を押し当て寝た。
目を覚ますと昼休みは終わり、五限の先生が教室で準備をしており、また午後からも授業が始まろうとしていた。
騒がしい昼休みの雰囲気が抜けていない生徒たちは先生が見えても見抜きもしなかった。
俺は体を起こして時計を眺めた。
「あと二分くらい」
腕を上へ伸ばして目を覚まして授業が始まるまで待つ事にした。
「……」
俺が授業の準備をして間もなく五限目のチャイムが鳴り出した。
騒がしい声はチャイムで少し静かになり、なり終わりくらいで静かになった。
「起立!」
俺が午後から号令をすることになった。
「礼!」
静かな教室になり、一礼。午後の授業は始まった。




