女子の裏顔
「晴翔、ちょっと良いか?」
佐伯は俺が千佳と仲良くしていると男たちを集めており、俺も呼んでいた。
「どうしたんだよ?」
俺は呼ばれる理由に見当がつかなかったこともあり、行ってみることにした。
「お前、安堂さんと仲いいのか?」
「ズリいぞ」
佐伯は集めていた男子に俺と千佳の関係を話していたようでいきなり肩に腕を回され、逃げられないようにされた。
「あいつとはただの腐れ縁だって佐伯には言っただろうが」
「それでも安堂さんと幼馴染なんてズルいだろ」
男子たちは仲良くなりたい女子とは距離を置くもので仲良くしている俺を見て羨ましそうにしていた。
「お前らに紹介してやるから良いだろ」
千佳の了承もないが、面倒だったこともあり、確認を取る前に提案した。
「じゃあ頼んだぞ」
集まっていた男子は俺が出した提案に嬉しそうにしており、ようやく自由の身になった。
「良いのか?」
「安堂って言っても拒絶するだけじゃねえだろうし。大丈夫だろ。」
俺は佐伯に心配されたが、安心して席に戻った。
「嫌に決まっているでしょ?」
席に戻り、千佳に男子たちからのお願いを提案すると不機嫌な顔になって断ってきた。
「どうしてだよ」
「分からないの?」
千佳は俺に理解してもらえないことに怒っているのか、眉を顰めていた。
「分かったよ」
どうにも人気な女子は男子から話しかけられることも多いようで毎回対応することも嫌になっているようだった。
千佳はそれ以上のことを言わず、俺の話も無視してきたこともあり、教室の様子でも見て時間をつぶした。
男子は相変わらず教室の後ろで騒いでおり、まじめな連中はすでに席についていた。女子の集まりはクラスのカーストがすでに形成されており、トップの人の席に集まって話をしていた。
「女子を見すぎじゃない?」
俺が教室で話す女子たちの方を見ると、機嫌悪そうに千佳が注意してきた。
「別にそんなつもりじゃねえよ」
千佳の方を見てみると、俺をごみのように見てきた。
「それ以上、近づかないで…」
千佳は俺が近づいて話すと警戒してきた。
「あんたと仲良く見えるじゃない」
「あっ…そうですか」
俺は千佳と話すのをやめて、改めて教室を見た。
教室の後ろでつるんでいる男子。机の上に座って話し込む女子。男女でそれぞれ分かれて話していた。
「ね…」
女子たちの会話は妙にくすくすと笑う声が聞こえてくる。会話の内容を聞いてみるとほとんどが千佳についての話だった。
女子とは話さず、男子からはちやほやされる千佳を妬んだ女子たちは悪口を教室で話しており、この声は千佳にも聞こえているのだろう。
「あいつ男子にちやほやされているんじゃない?」
「それにしては男子とは話そうとしていないよ?」
「あれよ!すでに男子全員を抱いたんでしょ!」
「うっわ。キモ…だから男子に興味なさげなんだわ」
女子の陰口はどんな所でも行われるたとえ男子人気が高い女子であっても。その割には学校のイケメンにはくっつき虫のようにしており、猫を被る。まるで国語の教科書で書かれていた李朝のような連中だ。
女子たちの会話には学べる内容がなく、いかに陰口で罵倒できるのかと言う遊びをしていた。
「男子は陰口を嫌うものだろ…」
堂々と陰口を言っている辺り自分たちがますます男子から嫌われるとも思っていないように見えた。
「安堂?」
話がうざくなってきた俺は千佳の様子が気になって確認した。
「何よ…」
千佳の顔はスッと冷静な表情を見せていたが、無理やり作った表情に見えた。
「大丈夫なのか?」
千佳は俺が気付いていると分かったのか、顔を机に伏せて隠した。
「気にしないでいいのよ。このくらい普通だし」
授業の二分前、生徒は席に着き始め、先生も教室に来た。




