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16話

 俺も自分自身でこれ以上続けるのもどうなのかと思いつつも、一度決めたことを曲げることはしたくないので何とかこらえる。


 とにかく、許して貰うまでやめない。俺はどう決めたんだ!!


「もうわかったから、ほら、コンキチ早く立ち上がって、ヘリーサが用意してくれる飯を食おう。お前だってずっと何も食べていないんじゃないのか? 少なくとも俺はもう腹ペコだぞ」


 ぐ……飯を盾に取るとは何て卑怯な男なんだ。育ち盛りの高校生の俺にはとてつもない威力がある。


 そう言えば、この世界に来て何も口にしていない。それが、テリボンズクの使用人の女の子の手料理が食べられるというのか……顔は見ていないが声からしてきっと可愛いんだろうなぁ。


「コンキチ、早くしろよ。お前は一体何がしたいんだ? なんのためにそんな恰好をずっとしてるんだよ」


 まだテリボンズクは俺が謝罪の意思を表明していることに気が付いていないのか? それはいくら何でも不自然だが……おい、もしかしてこの世界には土下座って言う文化ないんじゃ。もしそうなら俺の今までの努力が水の泡に……。


 一回、それだけは確かめておかないとまずそうだな。絶対に喋ったりもしないって決めてたのに不甲斐ない俺は許してくれ。


「テリボンズク、この格好を見ても何も思わないのか?」


「やっと喋ったか。俺にはコンキチが何をしようとしているのかさっぱりだ。一体どうしたって言うんだよ」


 やっぱりだ。俺はここまで土下座を貫いてきていたが、まったくの無駄な行為だっということだ。ありえない……。


 しかしまあ、この格好は人間の間では最大級の謝罪の意思をしめしているとか言ったらテリボンズクもきっと理解してくれるはずだ。なんら難しいことはない、きっちり説明すればいいだけのことだ。


「なかなか許してもらえないと思っていたらそういうことだったんだな。テリボンズク、この格好はな、人間の世界での最大の謝罪だ。本当にこれ以上ないくらいのごめんなさいだ。俺もちょっと悪ふざけが過ぎただけなんだよ。さっきのことはこの土下座に免じて許してくれないか?」


「謝罪だったって言うのかよ。俺はコンキチの頭がおかしくなったんじゃないのかって思ってたんだぞ。それならそうと早く行ってくれよ」


「悪かった。てっきり俺はテリボンズクがまだ俺のことを許せなくて、ずっと許すの言葉が引き出せないのかと思ってたんだ。そういうことだからさっきのことはなかったことにしてくれ」


 厚かましいお願いかもしれないが、俺も随分と長時間土下座をさせられていたんだ。これくらいのことは大目にみてもらえるはずだよな。


「ああ、わかったから、許す。コンキチのことを許すからすぐにその恰好をやめてくれ。住民に見られたら大事になるってさっきから言ってるだろ」


「ありがとう。俺も今度からふざけたくなったときは事前に言ってからすることにするよ。それだったらテリボンズクも安心だろ?」


「先に申告してたらいいわけじゃないからな。そういうことは今後一切しなくていいから。もしふざけたくなったんだったらどこか誰にも迷惑がかからない場所に行ってから一人でふざけてくれ」


 それになんの意味があるんだよ。誰の反応もない場所で一人で一発ギャグなんてしてたらただの頭のおかしい人になるだけだ。誰かの反応を見るまでが一連の流れなんだ。そこだけは譲ることはできないが、この場で文句を言ったらまた許してもらえなくなる可能性があるので、一度了承しているふりをしておこうかな。たまには頭脳プレイもしていかないと、ただの馬鹿だと思われてしまう。


「しょうがないな。俺も我慢が効く範囲で覚えておく。もし勢い余ってしまったとこくらいは勘弁してくれよ」


「毎回勢いあまりそうで怖いんだが……俺の気のせいだよな?」


「俺がそこまで我慢のできない男に見えるか? 未だって、直接魔王に会いに行って説得しようと思っているのを必死に我慢して流れに沿ってるところなんだぞ!! もし俺が本気になれば魔王がどこにいるか特定して向かうことだってできるんだからな」


 テリボンズクの俺に対するイメージというのはどうなっているんだよ。俺のどこが我慢できなさそうだっていうんだよ。俺は佃煮弁当だって我慢して食った男だぞ。でも、普通の高校生だったらあれはまず買わないよな。


「ああ、わかったから、あまり外ででかい声出すなって。このあたりにも住民は住んでるんだからな。ほら、早く中へ入れよ」


「それじゃあ、テリボンズクの家にレッツゴー!! お邪魔しまーす!!」


 しっかりと玄関で挨拶をして中へ入っていく。


 中へ入ると、すぐ正面にはおそらくテリボンズクと思われる像が立っていた。

 どういうセンスで自分自身の像を玄関から入って一番に目につく場所においているのかはわからない。どうしよう、壊したくなってきた。でも、これを壊したら間違いなく怒られるよな。


「この像は気にしないでくれ。俺が領主になって一年が過ぎたときの記念として住民たちが作ってくれたものなんだ。本当は外においておく予定だったんだがな、気が付いたらここにおかれていた。別に俺が自分のことが大好きでここにおいてあるわけじゃないからな」


「テリボンズクもいろいろ大変なんだな。困ったことがあれば相談に乗るからなんでも言ってくれよ」


 隠しているんだろうが、きっとこの像が気に入っておいているんだろうな。まさかテリボンズクがナルシストだったとはちょっとショックだ。

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