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13話

 町を歩いていると、すぐにテリボンズクが住民たちに見つかり、大勢の魔族が寄ってくるということを何回繰り返したんだろうか? そのたび、テリボンズクは対応して、今は用事があるからという風に言い、切り上げるものの時間はかなり食っているだろう。テリボンズクはいつものことなのか平然としているが、逆に俺が疲れてしまった。身体的な疲労ではなく、精神的なものだ。


「町を歩くたびにこんなことを繰り返してるのか? もう俺のほうが疲れちまったよ」


「そうか? 領主として住民から人気があるなんて喜ぶべきことでしかないじゃないか。こうして俺のことを慕ってくれているんだ。こっちも真摯に対応するのが当然だろう」


「そういうもんなのか? 領主ってのも大変なんだな。俺にはちょっと耐えられそうにないな」


 いくら慕われているって言ってもここまでぞろぞろと集まってきて対応に追われるのはきついな。


 さっきから魔族たちからいろんなものを差し入れされているから、テリボンズクの両手には荷物がいっぱいだ。ついでに俺も荷物持ちをさせられている。野菜ばかり持たされている。テリボンズクの奴は野菜が嫌いだから俺に持たせてるんじゃないだろうな?


「そろそろ俺の城に着くから楽しみにしてろよ。みんなは城とか呼んでるけど、普通の家だから過度な期待はやめてくれよ」


「どっちなんだよ。適度に期待しておくことにするわ。当然、俺もそこに住ませて貰えるんだろう? まさか激安宿借りてそこに住めとか言わないよな?」


「それじゃあ、コンキチを監視するっていう目的からそれちまうだろ。部屋なんていくらでも余ってるから好きなところに住むといいさ。家事全般は使用人がしてくれるから安心しろ。俺の使用人だからな。ムカついて攻撃したりしたらその時点でコンキチの信頼は消えると思っておいてくれ」


「俺がテリボンズクに一度でも攻撃したか? それを考えてみろよ、正当防衛すらしない平和主義の俺が使用人に手を上げることなんて絶対にありえないから。むしろ、使用人が何か失敗したらテリボンズクに小言をいうだろうな」


 正直、使用人なんてものに世話をされるのは違和感だが……でも、さっきは俺のことを部下って言ってなかったか? 部下を同じ家に住ませて使用人をつけるなんて好待遇すぎてほかの奴らから文句が出そうなもんだがそこはいいのか?




 もう少し歩いていると、大きな建物が見て取れた。

 テリボンズクの言っていた通り、城という程ではないが、十分な豪邸だと思う。

 見た感じだと、三階建てだろうか。窓が縦に三個ついてるからよっぽどひねくれた構造でもない限りは三階建てだろう。建築物に対する知識はほとんどないが、この豪邸がそれなりの費用がかかっているだろうことくらいは理解できた。


 くそっ、テリボンズクの奴こんないい家に住んでるのかよ。羨ましいな。一回この家を木っ端みじんにしとくか。まあ、そんなことをしたら信頼関係の構築が詰んでしまうから実際にはできないので妄想の世界だけで我慢しておいてやろう。いや、下手にイメージしてその通り魔法が発動してしまう可能性も捨てきれないな。残念だが、この件は諦めようか。


「どうだ? 結構すごいだろ。この家は俺が四天王に昇格した際に、魔王様からの褒美としてたてられたものだ。だからこの家は魔王邸と個人的に呼んでいる。ほかの住民たちはさっきいた通りテリボンズク城と呼んでいるがな」


「魔王邸だと、魔王が住んでないとおかしくなるからやめとけ。うっかり住民の前で言っちまったとき恥をかくのはテリボンズクだぞ。テリボンズク城ってのダサいからコンキチ城に改名するようこの町の住人に伝えておいてくれ」


「誰がそんなことしないといけないんだよ。俺の家の名前にコンキチの名前を使うなんてそれこと意味がわからん。コンキチも自分で金をためて家を建てることだな。ここまでの家は到底建てられないだろうが頑張ってくれ」


 もしかして俺のことを煽っているのか? テリボンズクも俺との会話に慣れてきた証拠かもな。これは俺のことを信頼してくれて魔王に合わせてくれる日も近いな。しかし、俺を煽っておいてただですむと思ったら大間違いだ。目にものを見せてやろう。


「それじゃあ、テリボンズクの家は一度消しておくか。俺の住む場所がなくなるって言うのも問題だが、テリボンズクがこんないい家に住んでいるってことのほうが重要だ。それに、俺に手に入れられないものをテリボンズクが持っているってのが許せん」


「おい、コンキチ何言ってるんだよ」


 困惑するテリボンズクを横目に俺は豪邸に向けて左手を構える。


 イメージするのは俺が使っている偽装魔法だ。俺の姿を変えたように家を帰るわけだはないが、一時的に消えたように見せたい。つまり、家の存在自体を隠してしまえばいいんだ。


「待て、俺が悪かったから、魔王邸に手を出すのはやめろぉぉーー!! 中には使用人だっているんだぞ!!」


「知ったことか。俺を煽っておいてただで住むと思うなよ。おらぁぁぁーー!!」


 それっぽい感じで叫ぶが、俺が使ったのはうーん……そうだ、隠ぺい魔法って言うのはどうだ? 存在を隠すって言うことで。


 目の前にそびえ建っていたテリボンズクの家がスッと消えた。


「嘘だろ……お、俺の魔王邸が……。コンキチお前ぇぇーー!!」


 テリボンズクが膝から崩れ落ち、俺に恨み言を言いながら泣き叫んでいる。

 ちょっとやりすぎちまったかな?

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