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12話

 俺とテリボンズクは門番の二人に挨拶を済ませ、門を抜ける。


 この二人も魔族で、それなりの強さってことだよな。門番を任されているくらいだから相当な実力者と俺は見ているが実際のところはどうなんだろうか? テリボンズクに聞いてみようかな。


「なあ、テリボンズク。この二人ってやっぱり強いのか? 一度も実際に仕事をしてる訳じゃないからそこまで強さは重要じゃないのか?」


「いや、強さは選考の重要な要素だぞ。まあそうだな。俺の部下の中でも5本の指に入る実力の持ち主だ。それぞれ、水魔法と雷魔法を使える。この二人のコンビネーションは俺でも手こずるほどなんだぞ。一度戦ってみるといいと言いたいところだが、コンキチには通用しないかもな」


 二人の魔法で連携を取るって言うことか。そういう発想はなかったな。水魔法と雷魔法は相性がいいのか。でも俺には生半可な火力じゃ効果はないからな。やっぱり俺の防御面だけ見ても異常だってことがわかるな。テリボンズクの魔法すら無傷で耐えきっているんだからな。


「テリボンズクがそこまで言うってことは、かなりの強さなんだろうな」


「俺の自慢の部下だからな。まだほかにもいっぱいいるから楽しみにしてろよ。これからコンキチが欺いていかなければいけない奴らだからしっかり観察しておけよ」


「俺の演技力を舐めるなよ。誰がどう見ても魔族にしか思えないようにふるまってやる。テリボンズクも俺がほんとは人間だって忘れちまうかもな」


 他愛もない話をしながら町へ入っていく。テリボンズクのおかげで門も顔パスで入れたし、領主様の権力は偉大だな。




 町の中へ入ると、大勢の魔族たちで賑わっていた。

 周囲をきょろきょろと眺めるだけで、様々な魔族たちが歩いている。

 テリボンズクのように角が生えている者、顔だけがモンスターになっている者、背中から翼が生えている者もいる。これだけいろいろな魔族が集まっていたら種族の違いで喧嘩が起きそうだけど大丈夫なのか?


「どうだ? 珍しいだろ。人間の領土にはモンスターどもはどこにでもいるが、魔族なんていないもんな。俺の町はどんな魔族でも受け入れているからな。少数種族のやつらも普通に歩いているぞ」


「流石はテリボンズク様だ。これだけいろいろな種族を同時に統治してるんだもんな。俺だったらうまく町として機能させることができるか自信ないな。争いが日常的に起こりそうだ」


「そんなの当たり前のことだろ。ここだって俺が領主として町へ来た当初はもっとあれていたし、魔族を自由に受けるれるよう取り決めた後なんかもいつも喧嘩の仲裁に追われたもんだ。しかしなぁ、それの積み重ねでわかりあっていったんだよ。それぞれの個性を受け入れていくことが大事なんだ」


 なんかいいこと言ってる風なのがちょっとうざいな。

 でも、テリボンズクのいう通り軽く眺めるだけでも数々の種族がいることは見て取れるからな。説得力はあるかもしれない。実際にテリボンズクがしてきたことのおかげで今、町はこうやって栄えてるんだからな。


「なんかちょっと見直したぞ。魔王軍の四天王って言うのは名前だけじゃないんだな」


「魔王様から直々に任命された四天王だぞ。中途半端な奴なんて一人もいない。誰もが、その実力を認められているんだ。俺だってそのうちの一人なんだぞ。これくらいは軽くこなさないとな」


 こうなったらほかの四天王が統治している町も見に行ってみたいな。まあ、テリボンズクの町もまだほとんど見れてないからまずはここをしっかり見て行ってからにしたほうがいいだろうな。でも、やっぱり魔王のいる町は気になってしまうな。一体どんな町なんだろうか?


「テリボンズク様だーー!!」


「わぁーー!! テリボンズク様ーー!!」


「ちょっと今日の野菜は新鮮だから持って行ってくれよ、テリボンズク様」


 テリボンズクを見つけた子供の魔族が、はしゃぐとそれに気が付いたほかの魔族たちもテリボンズクの周囲に集まってくる。


 すさまじい数の魔族に囲まれる。もちろん、横にいる俺も一緒に囲まれる。


 魔族たちは口々にテリボンズクに話しかけているが、同時に喋りかけているので、もう誰が何を言っているのか俺にはまったく聞き取れない。テリボンズクはこの状況で話を聞けているんだろうか? 魔族の耳は特別せいか?


「お前ら、一気に話してたら俺もわからない。今日はここにいるコンキチを俺の城へ案内してやらないといけないから、話はまた今度な」


 テリボンズクも流石にさばくことはできないみたいだな。

 大人の魔族たちはテリボンズクの言うことを聞いて、この場から自分たちの生活へと戻っていった。

 しかし、騒いでいる子供たちが残っている。


「うーん。わかった……また今度一緒に遊ぼうね」


「次はテリボンズク様が鬼やってもらうんだから」

 

 てっきり遊びたいってごねるのかと思っていたが、聞き分けの良い子供たちだな。教育が行き届いてるんだろう。

 それにしてもテリボンズクは子供たちにも大人気だな。遊び相手として一緒に遊んでいるみたいだし、人気が出るのも頷けるな。


「ああ、約束だ。俺が鬼なんてしたらお前らはすぐに捕まっちまうだろうから、今のうちにどうやって逃げるか作戦を立てておけよ」


「絶対逃げ切ってるやるんだから!! 僕だって足早いんだよ」


 見ていてほほえましいな。魔族たちもこうして人間と変わらない生活を送っているのを見ると、なぜ争わないといけないのか不思議でたまらないな。こんなに温厚そうなのにな。でも、戦争を仕掛けたのは人間側の勇者だって話だし、もしかしたらこれは人間のほうに戦争を起こさないといけない理由があるのかもしれない。


「じゃあな、お前ら。お母さんの言うことはちゃんと聞くんだぞ!!」


 子供たちに手を振って俺たちはその場を後にした。

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