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"カミカゼ" ~あなたを救う~

たまたま飲んでいた1杯から思いつき、勢いに乗って書いてみました。

開いて下さり、ありがとうございます。

その日はたまたま嫌なことがあった上、嫌な上司に飲みに付き合わされて好きでもない酒を飲まされて気分が悪かった。


「は〜、気持ち悪ぃ、あのクソ上司の野郎、、、」


そんな言葉を口にでもしないもやっていけない、そんな気分だった。


酔いつぶれる程ではないがしっかり酔っている、だが帰り道を間違える程酔っていた訳では無い、あの時を思い返すとそんな感じだった。


「ん〜?こんな所にBarなんてあったか?」


そんな帰り道、たまたま見かけた小さなBarの看板に引かれ、入ったことのない店に入って行った。


扉を開けて、思った感想は

「まるで映画に出てくるようなBarだ」

正直店は狭い、席も5~6席程度しかない、しかしとても雰囲気が良い、黒ずみつつも美しい飴色、まるで皮製品を思うような光沢のある木製のカウンター、背もたれのないシンプルで小さな赤い布の貼られた丸椅子、昔見た映画に出てきたBARを思い出させるような小さな店だ。


「いらっしゃいませ、お席へどうぞ」


カウンターに立っていた若い男のバーテンダーに声をかけられ、男の前の席に座る。


「本日はどうしましょうか、何がご希望はございますか?」


そう声をかけられた、ただ、俺は小洒落たBarなんて初めてだ。


「あ〜、、、すみません、俺、Barなんて初めてで、、、」


「大丈夫ですよ、そういうお客様も多いですから、もし宜しければ、今日、どんなことがあったかお話頂けませんか?そこからお客様に合う1杯を考えさせて頂きます」


そう、バーテンダーの男は言った。

既にお酒も入っていたからだろうか、サラサラと口から考えたことそのままに出てしまった。

「今日、仕事で嫌な上司に仕事を押し付けられた上、役員から叱責まで食らって、その後別の上司に好きでもない飲み会に付き合わされて、延々と好きでもない話を聞かされて、好きじゃないビールも飲まされて、、、そして帰ろうとしてふらっとここに」


「そうでしたか、それでは、作らせて頂きます」


そう男は言うとカウンターの上に置いてあった透明な瓶を1つと黒、緑の瓶をそれぞれ後ろの棚から取り出した。


そして流れるようにシェイカー(後で調べたら混ぜるやつはこういう名前らしい)に材料それぞれを測り入れた後、手でキュッと蓋を閉めて、ゆっくりと降り出した。


イメージしていたシャカシャカ、というよりもシャッ、シャッ、という音が素早く繰り返されているようだ。


そしてカウンターの上に氷の入ったグラスを置き、シェイカーの1番上の小さなキャップを外して中身をグラスへ注いだ。


真っ白、というほどではないが少し白く濁ったモノがコップへ注がれていく。


男が中身を注ぎ切ると、シェイカーを置き、グラスを自分の前に置いた。


「どうぞ、カミカゼ、というカクテルです」


「ありがとう」と口に出してコップを手に取る、冷たさがグラスを通って手に伝わってくる。

コップを口に近ずけ、軽く口に含むとかなりサッパリとした口当たり、しかし弱くはないアルコールの感じが伝わってくる。


「カミカゼ、これはアメリカ生まれのカクテルで、由来としては昔、戦争の時にあった神風特攻隊、という部隊から名付けられたとされています、カクテル言葉は"あなたを救う"です、お口に合えばよいのですが」


「カミカゼ、あなたを救う、、、ね」


確かに、最近は色々とありすぎた、、、

長く付き合っていた彼女に振られ、家族が亡くなり、つかれて居たんだと思う


「俺も、救われるかな」


なんて小さく口に出しただけなのに、聞こえていたようで


「私はこの1杯で貴方が救われると信じています」


男はそう言った。


「そう、かな、、、」


覚えているのはそこまでだった、どうやって帰ったのか覚えていないが、朝目が覚めると家でスーツを脱いでベッドで寝ていた。

「ん、、、あ〜、あれ?気持ち悪く、ない?」

俺は正直酒に強くない、だけど不思議と二日酔いもなく、スッとした目覚めだった。


「、、、今日も頑張ってみるか!」

そう口に出し、出社の準備をした、時間は少し余裕もあった。



その日は珍しく仕事も少し早く終わって、帰りに同じような道を通ってあのBarを探したが、見つからなかった。


「またいつか、行けるかなぁ。」



閲覧頂き、ありがとうございます。

私の趣味がカクテル作りで、ふと筆を取ってみようと思い、ゆるりと書きました。


カミカゼ、作中にもありますが第二次世界大戦の時、大日本帝国が編成した神風特攻隊、から名付けられたというカクテルです。

口当たりはオレンジを使用したリキュール、コアントロー、そしてライムジュースを使っているためさっぱりとしつつも、ウォッカを使用しているため、約25%と少々アルコールが強いです。

もしBarなどに行かれた際に頭の隅にでもあったら飲んでみて下さい。


カミカゼ

材料

・ウォッカ 20ml

・コアントロー 20ml

・ライムジュース 15ml

作り方

全てをシェイカーに注ぎ、シェイクした後に氷を入れたロックグラスに注ぐ。

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