漂流 (変夢奇譚 ~くだらない夢のよせ集め~ 第4夜より)
変な夢を見た。
チャプチャプする水の音。体が上下に揺れる感覚。
目を少し・・・開ける。
太陽がまぶしい。
そして、海面に反射する光も・・・。
思い出す・・・。いつからか、私は、この広い海の中一人、このゴムボート
に乗って漂流している。
なぜ、漂流しているかはわからない。気がついた時には、この状況だった。
もう、どれくらい、漂流しているかもわからない。
不思議なことに、のども乾かなければ、腹も減らない・・・。
私は、まだ、漂流を続けている。
普通なら、いい加減死んでもいいハズなのに、今だに死なない。
私の体は、太陽にさらされ、乾燥し、今では、真っ黒でカチカチになった。
そんな体を見て、私はつぶやく。
「おまえ、かつお節みたいだな・・・。きっと、まずいぞ・・・。」
私は、まだ、漂流を続けていた。
私は、弱々しくつぶやく。
「ああ、いったい、いつまで続くのだ・・・。
もう、ここいらで終わりにしてほしい・・・。」
その時、奇跡が起きた。
空から一条の光が下りてきて、私を包みこむ。
男か女かわからない威圧感のある声が、私に呼びかける。
もしかしたら、神なのかもしれない・・・。
その声の主は、私に語りかける。
「終わりにしてほしいって?
それならば、今すぐ、目を覚ませばよい。
私もね、この展開をどう終わらせようか、苦慮していたんだ・・・。
今、キミが目を覚ましてくれれば、わたしもスゴイ助かる・・・。」
そこで目が覚めた。