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混血のフランカ  作者: 葉月 悠人
5章 混迷の戦場、後方の陰謀
51/51

#50

10月13日 午後

アドラー・クラウス

リューン市 北口 帝国軍臨時キャンプ


『一体それはどういうことですか!?』


隣接する戦区の司令官からの電話に大声で反応する俺。

内容は一時的な増援として派出した重戦車ガルマンをそのまま現地部隊に編入する、というものだった。


「こちらの戦区で急遽、機甲戦力が必要となったのだ」

『だからって補給も無しにそのまま転属だなんて!』


「こちらも苦戦を強いられてるのだよ中佐、※兵站線へいたんせんも不安定で補給もままならず即戦力が必要なのだ、分かってくれ」

※補給線を意味する軍事用語


そのまま一方的に電話が切れる。


『チクショウ、数量とはいえ戦車ガルマンが居ないとなると今後の部隊運用に支障をきたすぞ、おそらく向こうに派遣された『親衛隊』が無茶を言い出したんだろう、心中察するよ』


1人愚痴を零しながら戦略地図に修正ペンを走らせた。

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10月13日 午後

アルベルト・ヘス少佐

リューン市内


昨日の謎の共和国語の会話、その調査隊を率いる事になった私は今、瓦礫の山と化した市内の一角に居る。

報告のあった区画の地下には水路をが通っており、共和国軍の部隊が地下を移動していた可能性が高かった。


しかし共和国軍の爆撃により地下水路は所々が崩落、寸断されており、僅か30分もしない内に地上に出ることとなった。

今現在、中佐への伝令が戻ってくるのを待っている状態だ。


本来なら『親衛隊』の権限でこのまま独立して行動を起こせるのだが、経験が無く権力だけの『親衛隊』、その一員である私を快く受け入れてくれた中佐の足を引っ張りたくはない。


『おそらく中佐の事だからキャンプに戻って来いと伝令に伝えるだろうなぁ』

「少佐、伝令が戻りました」


部下の報告と共に伝令が戻ってきた・・・

内容は予想通り戻ってこいという簡潔なものだった。

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10月13日 時刻不明

ユリウス・マンハイマー

大鷲の砦 


『『親衛隊』の派遣で戦況は大きく動き出しました。『ヴァルキューレ作戦』も準備は順調です』

「上々だな」


『お褒めの言葉、恐縮です』

「遊撃戦隊で首都を守り、陸軍の全戦力を用いた本命の大規模攻勢作戦。上手くいけば首都陥落、最低でも北部は我らのものとなる」


『大総帥閣下の指導で堕落した共和国民達を救済する一歩です』

「今回、ここまで事をうまく運べたのは君の尽力による所が大きい、全てを終えた暁には君の望む褒美を約束するよ」


『それは光栄です、実は今後については目標がありますので・・・・』

「それなら早く戦争を終わらせなくてはな」


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10月13日 午後

共和国北部 北部方面軍臨時司令部


共和国軍北方面軍 臨時司令部の一角に上級将校の集まりがあった。


「リューン市に於ける戦況は予想外の結果となった。まさか帝国軍が我らの作戦に感づいていたとはな」

「情報の秘匿に抜かりはなかった。となると『天使作戦』を知っていた者の中に「お喋り好き」がいる、ということだな」


「天使作戦の存在を知っているのは陸軍・空軍参謀総長と、北部方面軍で天使作戦に関わった指揮官の数名、といった所か」

「それに関して一つご報告が・・・」


「北部方面憲兵隊ボドワン大佐 発言を許可する」

「通信記録にて本日早朝、北部方面軍 参謀閣下に天使作戦に関する電話を行った者がいます。ほぼ同時刻に監視外の電話回線から帝国宛に通話がありました」


「して・・・その者は?」

「共和国軍北部方面軍副司令官 アラン・マクニール少将です」


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10月13日 夕刻

フランカ・ルチアーニ

(偽名ザビーネ・フベルトゥス上等兵)

リューン市 市庁舎


市庁舎は幸運にも爆撃を免れており、敵の駐屯を想像していたが実際はもぬけの殻で内部の荒れようからバタバタ逃げ出したようだった。


私たちは2手に分かれて散策を始めた。


しかし目ぼしい収穫は無く、ただの廃墟探索に終ってしまった。

時刻は日没間近という事もあり、今日はこの市庁舎の地下で晩を明かすこととなった。


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同日 夜

市庁舎 地下


市庁舎の地下、その一角の部屋。

帝国軍が持ち込んだであろう缶詰を拝借し、つかの間の休息の時間となった。


万一に備え交代で廊下を見張っている、今の時間は大尉が一人で警戒に出ている。

部屋の中には私と軍曹の2人きり。


「こうして2人きりになるのはいつ以来だったかなフランカ」


話題を切り出したのは軍曹だった。


『いつかの時、時計塔に陣取った時以来じゃないかしら?』

「気づけばあの時からもう1ヶ月か・・・時間がたつのは早いな」


『懲罰兵に『栄転』なんてしなければ、思い出話に花を咲かせられたかもね』

「フランカ・・・無関係でつまらない事とを聞くが・・・・」


『なにかしら?』

「この戦争が終わった後、お前は一体どうするつもりなんだ?」


『この戦争が終わったら、ねぇ・・・』

「まだ終りの兆しが見えない中でこんな事聞くのは野暮だが、興味本位でな・・・」


私は少し考え、そして真っ先に思い付いた事を口にした。


『生きて終戦を迎えられたなら・・・とりあえず父親を捜して一発ぶん殴る所から始めるわ』

その答えに軍曹は「父親が誰であれ手加減してやれよ、お前は軍人なんだから」と苦笑した。

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