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混血のフランカ  作者: 葉月 悠人
1章 翡翠の瞳の少女
2/51

#1


 フランカ・ルチアーニ  共和国 首都カノプス


 全く酷い世の中だ。

 私の祖国である共和国このくには何時から人種差別主義レイシズムになったのだろう?


 この私、フランカ・ルチアーニは純然たる共和国民である。

 ただ一つ、共和国民としては珍しい『翡翠色の瞳』を持つ事を除いて、だが。


 私は今、ある意味で戦争の被害者と成り果てている。

 その原因がこの『翡翠色の瞳』だ。


 今現在、共和国は戦争中だ。

 相手は隣国の工業国家である帝国。共和国の人は彼らを御伽話おとぎばなしに登場する深緑の目を持つ怪物に例え『アルガス』と呼んでいた。


 そう、帝国人は私と同じ『翡翠の瞳』を持つ人種なのだ。


 そして侵略者と同じ色の瞳を持つ私は『混血の豚』と蔑まれていた。


 私は同じ共和国民とは思えない程の迫害を受けたのだ。近隣の住民、仲の良かった友人、クラスメイト・・・果ては警官までも、だ。


 唯一の幸運は、迫害の対象が『まだ』私だけだった事だが、いずれ家族にまで迫害の手が迫るのは明白だった。


 私の瞳を愛してくれた母親に害が及ぶことを恐れた私は誰にも告げずに自ら故郷を去り、共和国の首都へと流れて来たのだ。


 しかし行きつく先がどこであれ共和国内である以上、私は忌避きひされ続け、仕事を探そうにも門前払い。

 

 日銭を稼ぐ事すらままならず、なけなしの所持金はすぐに底を尽きた。

 もはや体を売るしか無いのか、とさえ考え始めた私の歩みを止めたのはとある張り紙だった。


 -----

 ーーーーー


 英雄を求む!!


 集え愛国者よ、誇り高き共和国軍の一員となり悪しき侵略者達に正義の鉄槌てっついを!!


 『入隊条件』


 ・共和国籍保有者

 ・18歳以上

 ・備考・・・・学歴・経歴・性別 その他一切不問

 

 ※若年での入隊者には一時金が支給されます。


 志願は最寄りの駐屯地・出張所で常時受け付け中。


 ーーーーー

 -----


 勇敢な表情の兵士が共和国旗に敬礼をするイラスト。


 荘厳そうごんなフォントで綴られた『英雄を求む』といううたい文句。


 それは共和国軍の新兵募集の広告だった。

 

 『経歴・性別、一切を不問・・・ここなら私でも!!』  


 私は張り紙を手に取り、わらにもすがる思いで張り紙の記す場所へと駆けだした。 


 その選択が私の今後を決定づけるとも知らずに・・・

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