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計算されたあざとい反応



その事を理解しているのかレヴィア・ド・ランゲージも先ほどから悔し気な目線を俺に突き刺して来る。


前世と合わせて五十と少し。


世間をまだ知らない親の扶養から抜け出していない小娘一人を悪知恵であしらう事なぞ造作もない。


そんな小娘を騙すような事をして恥ずかしくないのかと思わなくもないが、それ以上に天才とやらに八つ当たりをしたいという気もちの方が強かったから仕方がない。


「ぐぬぬぬ………」

「じゃ、俺は家で待ってる人がいるだろうから帰るわ。お前も気を付けて帰るんだぞ」


確かに、少しは大人げないとは思うもののだからと言って正体、自分を白鳥だと疑わなかったアヒルの子だと教えるつもりは無いし、何より家では美人奴隷がご飯を作って待ってくれているだろう。


途中でお預け状態だったから早く帰って続きをしたいという欲もある。


「待ちなさいっ!さっ、再戦を希望しますっ!」


そして何ごとも無かったかの如くそそくさと帰ろうとする俺をレヴィア・ド・ランゲージが呼び止め、あろうことか再戦を申し出る。


どこまでも青臭く、空気の読めない、しかしまだ未成熟故に許されるこの甘さ。


それを苛立ちのままに頭からねじ伏せる。


「お前、大人を馬鹿にするのも大概にしろ。お前だって言いたくない過去の一つや二つあるだろうが」

「ひぅっ……」


いきなり放たれた殺気と攻撃的な言葉と声音にレヴィア・ド・ランゲージは一瞬小さく悲鳴を上げ萎縮するのが見える。


これでレヴィア・ド・ランゲージには教育という名の躾が出来たと踏んだ俺は一転、柔らかな雰囲気にシフトチェンジするとレヴィア・ド・ランゲージに近づき頭を乱暴に撫でてやる。


「分ったんなら大人をあんまりからかうもんじゃないぞ」


そしてこの件については終わりというニュアンスを含ませた言葉をやさしく投げかけてやる。

 

そして俺は悔し気な、しかしどことなく顔を赤らめている彼女を闘技場に残し今度こそ家路につく事にする。


学園を出て徒歩二十分。


自転車があれば十分、車であれば五分もかからない距離なのだが歩くと意外と遠い距離を寄り道をすることもなく真っすぐと家路につく。


この一年少しづつではあるが貯めてきた貯金を使い夏が来る前に馬でも買おうか、買うとすればどんな馬を買おうか、今年の夏は我慢するとして飼いならす為に仔馬を買うか、調教の必要のないすぐ乗れる若い馬を買うか、扱いやすい歳をある程度とった馬を買うか悩みながら歩を進めいると、気付けば大枚はたいて買った築40年の木造で創られた二階建ての我が家が視界に見えて来る。




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