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偽りの気持ち

「サーシャさんサーシャさん」

「何よリーシャっ!今私はレンブラントに聞いているんですけどっ!?邪魔しないでくれるっ!?」

「いや、そのレンブラントである私のご主人様が首を絞められ泡を吹きながら窒息して気絶しているんですけれども………。一応私のご主人様でもあるので死なれては困りますのでここら辺でその襟首掴んでいる手を離して頂ければと思うのですけれども………?」

「………え?あっ、レンブラントッ!大丈夫レンブラントッ!?一体誰がこんな酷い事を」

「貴女ですが?」

「死んじゃ嫌だよっ!!」

「いや、だから貴女のせいでしょうに」


薄れ行く意識の中、愛しき奴隷とサーシャの漫才を聴きながら、俺は意識を手放すのであった。





「それで、宮廷魔術師様であるサーシャさんが私のお師匠様の首を絞めて殺しかけた事は分かりましたけど、何でそんなにベッタリとお師匠様にくっ付いているのですか?」

「失いかけて初めて分かる気持ちって、あるよね?」

「ほっとけ。麻疹みたいなもんだ。頭冷えればこの気持ちが単なる吊橋効果であり偽りの気持ちだと気付くだろう。それよりも藪を突いて怒り狂ったゴリラが出てきても困るから触らないで欲しい」

「ゴ、ゴリラが何なのか分からないのですが、お師匠様が言うのでしたら分かりました」

「ご主人様を愛する奴隷としてはこの唐変木っぷりはありがたいのですけれども、ここまで来れば逆にサーシャさんが不憫でなりません」


そんなこんなで何とか黄泉の国から蘇る事ができた俺は、本日は実技の為に闘技場まで来ていた。


その間何故かサーシャにベッタリとくっ付かれて歩き辛いわ胸が当たっていて幸せだか、辛いと幸せとで感じで見てもどっちか分かりにくい感情を持て囃していたのだが、下手にその事を突くとまた死にかねないので弟子であるレヴィアにもその事については触らない様にと釘を刺す。


レヴィアはレヴィアで納得いっていない様な表情をしているのだが師匠である俺の言う事であるのならばと引いてくれるみたいで一安心である。


そもそも俺自身今この状況に納得していないのだから、色々と察して欲しい。


「それで今日は何をするのですか?」

「何って草の除去だが?」


そしてレヴィアがキラキラした目で今日何をするのかと聞いて来るのでそのまんま草の除去だと告げると、(実技)を奪われた犬の様に分かりやすくしょんぼりして行く。


「草の除去って、一週間前にやったじゃないですか……」

「そう言うな、闘技場を見れば分かる」

「闘技場を見ればって………あっ!私が切った根元から新しい葉っぱが伸びて来てるっ!!」


そう、地面を見ればレヴィアが言う通り刈り取った後からも草は力強く葉を伸ばして来ているのが分かる。


「そうだな。そして俺は前回も今回も草の除去とったのだが、コレは除去出来ていると言えるか?」

「言えません………」

「そうだな。では俺が一度手本を見せるから真似してくれ。草の特性と今回教える魔術で何故草が生えなくなるのかは翌日教える」

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