基礎の問題
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「で、本日は何をするのですか?教室で出来る事など限られていると思うのですけど」
そう言うレヴィアの顔は「早く実技がしたい」という表情をしていた。
その気持ちは分かるし、俺だってレヴィア程の歳であるのならばそう思っていただろう。
だからこそ、基礎をしっかりと教える必要があると俺は思う。
生徒がやりたい事をただやらせるだけの者もおり、そういったものは比較的生徒から好かれている傾向があるのだが、逆に生徒の大会成績はそこそこといったレベルである。
自主性を重んじ伸び伸びやらしていると言えば聞こえは良いし、確かに偶に恐ろしく伸びる子供達がいるのも確かなのだが個ではなく全体の平均値から見るとやはり低めである。
そして俺はというと、基礎をしっかりと教えるタイプだったりする。
そもそもの話、俺が教える事ができるのははっきり言って基礎部分だけであり、所謂前世の知識を教えるという事だけである。
と、いうわけで実技をしたいというレヴィアには申し訳ないのだが今日から普通に黒板を使った授業をしていく。
「そうだな、今日から恐ろしく殆どをこの教室で魔術の基礎を叩き込んで行くのでそのつもりで」
「魔術の基礎でした全ての属性の基礎は頭に叩き込んでいるので大丈夫だと思いますが?」
そして想像していた通り生意気な事を言い始めるレヴィア。
きっと授業でも同じ様な事を言って格属性の先生方を困らしている事だろう。
その光景が容易に想像できる。
「ほう、言うじゃないか。ならば俺が今から言う基礎を全て答える事が出来ればコレからは外で実技の授業をしよう」
「望む所です」
フフンと胸を反るレヴィアに俺は魔術の基礎、そのまた基礎の問題を出す。
「では炎属性の基礎から。炎はどの様にして燃えているのか分かるか?」
「そんな事など簡単ですね。魔力を媒介にして与えられた魔力と威力を定められた術式によって炎の威力と持続時間が決まりますっ!」
そしてレヴィアは自信満々に答えるのだが、やはり良くも悪くもこの世界での思考で模範的な回答を答えて来る。
「確かに正解ではあるな」
「そうでしょうとも。これでも私、勉強もかなり───」
「しかし俺の出した問題では間違いである」
「なっ!?私の回答の何処が間違っていると言うのですかっ!?」
「まぁ今から何処が間違っているのか教えるから落ち着け」
そして何処が間違っているのか教えろと迫って来るレヴィアを落ち着かせ着席させると俺はズボンのポケットからタバコを取り出すと指先に魔術で火を出してタバコに火をつけてひと吸いし煙を燻らせる。




