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別の問題である

しかしどこの誰かまでは分からないし、私は私だから関係ないと過ごして来たのだが中等部最後の試合、その決勝で負けた時『万色ならば勝てた』と周りの大人たちが言っていたのが聞こえたので気になって、もしかしたらと唯一映像だけ残っている高等部の試合映像を学園内で探してみれば、一個だけ『万色』の試合映像が残っていた為観てみると、あの『絶色』のダグラス相手に私の想像もできないような魔術の数々とその多さで終始試合の主導権を握り立ち回る姿に圧倒され、そして何故『万色』と呼ばれているのかが分かりました。


そして、それと同時に独学ではこの『万色』には遠く及ばない事を悟り、もし会う事が出来たのならば何が何でも弟子になると心に決めたのです」



そう熱く語る彼女の眼は、正にあの頃の俺と同じ目をして、この俺を見つめている。


その目を見ていると、そしてそんな彼女の話を聞いていると、何故だか俺の中の、そのまた奥に閉じ込めていた感情がチリついてしまいそうになるのをグッと堪える。


もしかすれば彼女であれば。


そんな事を思いそうになる。


しかしそれは彼女を俺の道具として使おうとしているだけだ。


彼女には彼女の目的や夢がある。


当たり前なのだが俺と彼女は違う人間だ。


それは自分の子供の気持ちを無視して親の夢を押し付けるのと何が違うと言うのだ。


そして俺はレヴィァの動機は聞いたが『強くなってどうなりたいのか』とは結局最後まで聞く事が出来ず、明日の放課後から本格的に教えていくと約束して本日は解散とする。


「すみません、奴隷の分際で本日は出過ぎた真似をしてしまいました」

「いや、あれでいい。間違いを間違いと指摘してくれる者が身近にいる事程安心できるものはないからな」

「では、わたくしめに今夜ご褒美をくださいまし」


そして俺は察しのいい奴隷にこの気持ちを見過ごされ、慰めてもらうのであった。





「失礼しますっ!!」


そう意気揚々とこの寂れた学園端っこにある教室へと入室してくるのはレヴィアしかいないだろう。


分かっていた事ではあるし、自分の意思で引き受けると言った事も覚えているのだが、それはそれとして面倒臭いと思ってしまうのは別の問題である。


昨日まで自堕落に過ごして偶に授業をして帰るという生温い生き方ができなくなったのだが致し方ないだろう。


教師としてどうなのだ?と問われれば言い返す事は出来ないのだが、だから何だと言うのだ。


人間、天職と呼べる職業に就ける者の方が少ないのだから俺みたいな人間が教師をやっていても何ら不思議ではない。


むしろ多いのではなかろうか?

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