望んでいない弟子
「泣き止めって。これだと俺が悪者みたいじゃないかっ」
「そうですわね。どう考えても今回の件に関してはご主人様が悪いというか大人げないと思うのですけれども………」
そして事の顛末を見ていたリーシャが珍しく俺が悪いと指摘してくるではないか。
「ご主人様は教師で、この者はこの学園の生徒ですわよね?」
「あ、ああ。そうだが………」
「であれば学園の生徒が学園の教師に教えを請うたのならば教えてあげるのが教師という仕事であると、授業だけが仕事ではないと、わたくしはそう思うのですけれども?」
「ぐっ、た、確かになっ………」
そして俺は愛しの奴隷から正論を言われてどもってしまう。
「あぁぁああっ!!分かったっ!!分かったからもう泣くなっ!!ちゃんと俺の弟子として扱ってやるから泣くなっ!!」
「な、泣いてないですっ!!」
こうして俺に、望んでいない弟子が出来たのであった。
◆
「どうして俺の弟子になりたいと思ったんだ?」
今現在俺とリーシャ、レヴィァの三人は俺とリーシャの家へと来ており、テーブルを挟んで椅子に座っている。
弟子を取ったからには、しっかりと俺が教える事ができるこのまごう事無き天才であるレヴィァに教えてやろうとと思うのだが、そのためには何故ここまでして俺の弟子になりたいのか、その動機が知りたくなった。
そもそも、もう一度言うがこのレヴィァは間違いなく天才である。
と、いうのも複数の属性魔術、それも四種類以上の属性を操れる者などこの国ですら両の手の指よりも少なく、更に実戦形式で多種多様な属性魔術を扱える者となると俺を除くと一人もいないといって断言しても良いだろう。
良くて得意な属性魔術のサポートか、戦闘以外で使う位だ。
その事を考えると独学で試行錯誤していくしか無く、即ちレヴィァは独学であそこまで仕上げて来たのだから天才と言わずしてなんと言うのか。
これ程の者なのならば別段師匠を取って弟子とならずとも自ずと自分の力で頭角を現していただろう。
その様な者が何故今更師匠を探して弟子入りするのかが疑問であったからである。
「わ、私が全ての属性が使えると知った時、親からは炎の魔術と水の魔術を重点的に極めるよう勧められました。親には火と水の属性を勧められたのだがどうしても全属性を覚えたくて必死に頑張り、なんとかすべての属性を物にでき始めた頃、周りの大人たちは決まって『第二の万色だ』と言って来たのでこの頃から『万色』という二つ名を持つ者の存在を知り気になってはいました。




