表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンストルム・デアデビル  作者: にっしー
誠の一番長い日
99/108

作戦会議

2026年 9月21日 月曜日 11:37


「あんたなんでここに……部屋で大人しくしてろって言っただろ」


「マスメディア関係者が大人しくしてる訳ないじゃない? っていうか、私も命狙われたんだから仲間みたいなものでしょ!」


「だからってなぁ……」


 突如部屋に乱入してきた飯田に、何故彼女がここに現れたのか理解できない誠もまた三木と同じように困惑した表情を浮かべた。


「あの、おじさん……どうして飯田さんがここに?」


「あぁそうか、そういやお前にはまだ成華さんを助けに行った時の経緯を話してなかったな」


「このオバサン、陸自の連中に捕まってたんだよ」


「え? 捕まってた? なんで?」


 誠が疑問を口に出すと、飯田は渋い顔をする。


「あなた達に頼まれて原井って人を病院まで運んだらそのまま取っ捕まったのよ!」


「えぇ……? 捕まったんですか?」


「そうよ! 何か通りすがりであんなところにマスコミが居る訳ないとか言われてテロだのあなた達との関係性だの疑われて捕まったの!」


「んでその後自力で脱獄して、アタシ等が誠のお袋さんを助けてるところに偶然遭遇したってわけだ」


「いやぁあの時はあなた達に会えてラッキーだったわ! 助けてくれなかったらどうなってたことか」


 満面の笑みで言う飯田に、晶は呆れた表情で言葉を付け加える。


「まぁ鼻水と涙溢しながら金切声みたいな声で叫ばれたらな……」


「どっちにしろ助けない訳にもいかんだろ、一応こっちの依頼の結果捕まってるみたいだしな」


 晶の台詞に、三木はやれやれと言った表情をしながらそう答える。


「そうなのよ! 元はと言えばあなた達に協力したから! つまり協力をしたってことは私もあなた達のお仲間!」


「……になるんですか? 峰先生」


「……になるんだろうな、彼女の中では」


「うーん、自分の中で理屈を付けられる人は強いっスねぇ……」


「ってわけであなた達メガフロートへの行き方で困ってるんでしょう? 私はそれを手助けできるかもしれないわよ!」


 飯田を見ながら蚊帳の外に居た三人は互いに話しながら、更に話を勧める彼女を見つめる。


「手助け? 具体的に何をどうするというのだ女」


「えぇ、実は……って梟が喋った!?」


「その下りもさっきここに来るまでに説明しただろ……良いから続けてくれ」


「そ、そうだったかしら……いやまぁ良いわね、うん、それでメガフロートに関してなんだけれど要するに自衛隊に見張られててそこまで辿り着けないって話よね?」


「はい、なのでどうしようかなと」


 アモンが喋る事に驚きつつも、飯田は誠へ質問を行うとその答えを聞き頷いた。


「それならどこか一か所に自衛隊を集めればいいじゃない? って思ったわけ」


「集めるったって……んなことアタシでも思いつくぜ?」


「問題はどうやって集めるかってことっスね」


「それに集めたところでもう一つ問題がある」


「問題ですか?」


 アモンの言葉に花が首を傾げた。


「そうだ、まず敵の戦力だが……東京一帯の陸海空の自衛隊」


「それと連中が使ってたロボット兵器と悪魔、これが目下の所の敵っスね」


「啓……いや、峰の事も忘れるなよ」


「そういやアイツも居るのか……こう考えると数の差やばくねえか?」


「実際やばい、だから俺達が出来るのはヒットアンドアウェイのゲリラ戦法か……」


「もしくは玉砕か……」


 峰の言葉に、その場の全員が顔を顰め周囲に暗い雰囲気が漂う。


「その戦力の差を埋めるのはやはり我とマコトだが、雑魚と戦いながら大門司と戦うだけの余力はない」


「それに、もし仮に敵の戦力を一か所に集めて時間を稼げたとしても大門司を倒すのを手間取ってたら集結されて全員と戦う事になるっス」


「うーん、つまり閼伽井先輩と大門司さんが戦う前と間は自衛隊の人達を近づけない様にしなきゃいけないんですね?」


「そうなるっスね、足止めに関しては考えが無いことも無いっスが……」


「ほう、どんな案だ?」


 渋い顔をして言う古森に、峰が訊ねる。

 すると古森は前置きをしながら、話し始めた。


「自分のはあくまで戦力が増えるとかって話じゃなくて足止めの話っスが……敵を一か所に集めた後にこのカテドラルがある異界に引きずり込むっス」


「引きずり込む? そんなことが出来るんですか?」


「もちろん、誠君が一番最初にアモンと契約した日……自分で異界に入ったっスか?」


「あ、いや……そういえば気が付いたら異界に居たような……つまりそういうことっス、異界への入り口を無理やり広げてその場に居る全員を覆う様に入り口の輪を通せば……」


「なるほど確かに道理に適っている」


 古森の話を聞いていて、疑問が浮かんだのか花が手を上げた。


「はいはい古森先輩! それで自衛隊の人達を異界に引きずり込んでも勝手に出て行っちゃうんじゃないですか?」


「そこに関しては一旦相手を入れた後は出口を封鎖すればいいだけの話っス、当然時間を掛ければ逃げられるっスが開かれるまでの間に倒しきれば問題ないっス」


「なるほどぉ……でももし取りこぼした人達が居て、その人達が外に居る他の部隊と連絡を取ったらどうするんですか?」


「もっと言うなら、そもそも敵が全軍挙げて集まってきてくれることが条件だな。 普通に考えて戦力を全部差し向けたりはしねぇだろ」


「そうなんスよねぇ、つまり自分達は敵が戦力を集めてくれる囮を出しつつ敵の連絡手段を破壊して、異界に引きずり込んだ上で足止めをする必要があるっス」


 そう言って、古森は誠を見る。

 その視線に気づき、誠は自然と顔を彼に向けた。


「あー……なるほど、敵が全軍出してくる囮ですか……」


「ん? 何で誠を見て……ってまさかお前、誠を囮に使うつもりか!?」


「ふむ、確かに我とマコトが出れば敵も戦力を差し向けざるを得んな」


「そりゃ本末転倒じゃねえか? 確かに誠が出てくりゃ大門司も全部を差し向けてくるかもしれねぇがアイツ自身も出張ってくんじゃねえの?」


「いや、それは無い……恐らくな」


 晶の疑問にアモンが首を横に振る。


「奴は恐らくメガフロート内部で星船起動の為の儀式を行おうとしているのだろう、それには我の他のソロモンの悪魔の力が必要だ」


「なるほど、つまり大門司はそれを守る必要があるってわけか……もし仮に誠を倒しに来てアモンを手に入れたとしても先輩……誠の親父さんがしたように他の悪魔を盗まれたら話にならない」


「誠のオヤジさんがやった事が効いてるってわけか、お手柄じゃねえか」


「ってことは囮役としては十分だな、あとは敵の戦力が集める方法と敵の連絡手段を破壊する人員と足止めをする戦力を考えれば……」


「あっ、それなら飯田さんが居るじゃないですか! 集める方法ありますよ!」


 花が両手を打ち鳴らし、会話の蚊帳の外だった飯田を見た。

 突然名前を呼ばれた彼女は目を丸くしながら、自らを指差す。


「はい、飯田さんに閼伽井先輩がここに居ますよって宣伝してもらうんですよ! テレビで!」


「え、えぇ? 私がテレビでって……報道クルーも集めなきゃいけないし……それ凄く危険じゃない? 下手したら死ぬ奴よね?」


「はい、すっごく危険です! 死ぬかもしれません!」


「じゃあ嫌よ! 私あなた達と違って普通の人間なんですけど!?」


 案だけを提案するつもりだった飯田は、ここにきて自らが危険な事に巻き込まれる作戦を提案され首と手を大きく横に振った。

 それを見て、花は静かに立ち上がる。


「飯田さん、さっき巻き込まれたんだから私達は仲間って言ってましたよね?」


「そ、それは言ったけどあれは会話に混ぜてもらう為の方便みたいなもので……」


「じゃあ嘘なんですか? 私、飯田さんのこともっと格好いい人だと思ってました……自立してて、自分に誇れる事をするっていっつも言ってた飯田さんは嘘だったんですね」


「あ、あれはね、嘘じゃないんだけど今回のはそれとこれとは──」


「私達だって、命がけなんです! 閼伽井先輩は死んじゃったこともあるし、玖珂先輩だってお父さんを亡くしました! 皆、皆命を掛けて戦ってるんです!」


 花は、怒っていた。

 普段滅多に怒らない彼女が、目上の女性に対して感情を吐き出していく。 


「古森さんも三木さんも普通の人間です、先生だってちょっと強いだけで普通の人なんです! 私達は皆普通なんです!」


「や、山城ちゃん……」


「私だって戦うのは怖いです……それでも、誰かの為に、自分に誇れることをしていたいから頑張ってるんです!」


「…………」


「だから、だから──そういう軽い気持ちで仲間だって言わないでください!」


 花はそう大きく叫ぶと、目から大粒の涙を溢す。

 飯田はそう言われ、少しの間固まっていたが……泣いている彼女に気付くと直ぐに服からハンカチを取り出すと彼女に渡した。


「……ごめんなさいね、山城ちゃん」


「い、いえ、すみません、何か私急に感情が高ぶって……変な事言ってすみません!」


「いいえ、謝らないでいいのよ。 あなたにそう言われて私も気づかされたわ、あなた達も全員……普通の人間なのよね」


 飯田から受け取ったハンカチで涙を拭い、花は彼女の顔を見る。

 そこには花が好きだった、格好いい女性の顔があった。


「そうね、あなた達の真実……私がしっかり映してあげる!」


「良いのか? 最悪死ぬ可能性もある、あんたは巻き込まれただけで単なる……」


「大丈夫大丈夫、よく考えたら原井を届けた段階でもう連中に目付けられてるんでしょうし、あなた達が勝って事態を何とか納めてくれないと遅かれ早かれ捕まって殺されちゃいそうだし」


 三木の言葉に、飯田はウィンクをしながら返す。

 すると三木は困った様に目線を上に向けながら、頭を掻いた。


「……こりゃ負けられなくなったな、誠」


「はい、絶対勝ちます! 飯田さんの為にも、皆の為にも!」


「それならあとはこのまま作戦を考えるだけっスね、もうひと頑張りするっス!」


「えぇ、やってやりましょう!」


「おぉっ!」


 古森の号令で、全員が一丸となって右手を上げた。

 その後、飯田の参加により細かい作戦の細部や配置が決定され……会議が終了した。

 そして……。


「ふー、んじゃこれでとりあえず本決まりでいいな、お疲れさん!」


「終わったーー! お腹減りました、古森先輩!」


「それじゃあ情報収集がてら、ちょっと現実のコンビニに食料買い出しに行ってくるっス」


「おっ、それじゃあ俺牛丼頼むわ、牛乳付きで」


「では私はたらこおにぎりを五個頼む」


 会議が終了し、全員が解放感に包まれていた。

 誠も体を伸ばしながら、古森に食料を頼もうと思っていた矢先……一人の女性が彼の言葉を遮った。


「オイ、誠」


「あれ晶、どうしたの?」


「ちょっと話がある、面貸せ」


「え?」


 いつもよりも神妙な、怒っている様な彼女の表情に誠は一瞬固まったが……直ぐに頷きを返すと二人はそのまま部屋を後にするのだった。



まだぎりぎり日曜日だな!ヨシ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ