表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/108

知らない予告状

2026年 9月1日 火曜日 20:45


「……すっかり、遅くなっちまったな」


「そうだね、皆には一応遅くなるとは連絡してはあるけど……ちゃんと謝らないとね」


 誠の自宅の前で、誠と晶の二人は互いに横に並びながら家を見上げていた。

 壁の所々には亀裂が走り、ビルとビルの間の路地の更に奥まった場所にある秘密基地同然の家。

 それを見て、晶は隣に立つ誠の顔を見た。


「改めてだけどよ……その、今日は助かった、ありがとな」


「そんな、俺は別に何も」


「お前がそう思っててもアタシは助かったんだよ、だから……ありがとな」


 頭を下げる晶を見て、誠は少し困惑をした後笑った。


「んだよ、何笑ってんだよテメェ」


「はは、なんか晶からそうやってお礼を言われる日が来るなんて思ってなかったから……ごめん」


「ドッペルゲンガーの時だって礼は言ったじゃねーか! クソ、やっぱ今のは無しだ!」


「ははは、ごめんごめん……その、俺も晶の力になれて嬉しいよ、今後もよろしくね」


「~~ッ! 知るか!」


 怒る晶に誠は笑いながら頭を下げると、彼女は少しだけ頬を赤くしながらそっぽを向いて玄関に向かって歩き始めた。


「でだ、誠……玖珂ちゃんと一線は超えたのか?」


 自宅に集まっていた他のメンバーと二人は合流した所で、三木が神妙な顔で言葉を切り出した。


「帰ってきて早々、いきなりセクハラかよオッサン」


「三木おじさん最低」


「ちょっと倫理的にどうかと思います三木さん……」


「流石にそれはちょっと……酷いっスね」


「いい歳をした大人の発言とは思えんな、恥じ入るべきだぞ」


「悪魔よりも下劣だなミキ」


 だが三木の言葉にその場の全員が嫌悪感を露わにした表情をする。


「え、こういうの今は駄目なのか!?」


「警察が何でこういうセクハラとかの話題に疎いんスかねぇ」


「警察って中身体育会系だからな……割と中ではこういう会話まかり通ってたんだが……そうか、ダメなのか……すまん」


 落ち込む三木を横目に、全員が一斉に円卓を囲んだ状態で向かい合った。


「オッサンは置いておくとして、その、今日はアタシのせいですまなかった皆」


「それには及ばん、私も言い過ぎたし大人としてあるまじき態度だった」


「自分もそう思うっス、ごめんなさいっス」


「私も……玖珂先輩、すみませんでした!」


「お前等……いや、そうだな、今後はアタシももっと気を付ける」


 頭を下げる晶と、それ以外の三人を誠は微笑ましそうに見ると次の話題を繰り出した。


「それで今日は見学で疲れてるところ集まってもらってすみませんでした、ただおじさんが何か情報を掴んだんだよね?」


「ミキと我が、だな」


 アモンは円卓の上で勝ち誇ったような顔をしながら、胸を前に突き出し威張った。


「ってわけだからおじさん、そろそろ落ち込んでないで復活してもらっても良い?」


「あ、あぁ……すまんすまん」


 円卓に前のめりに寄りかかり、うつ伏せになっていた三木が上半身を起こす。


「まず情報元なんだが……誠、お前飯田って名前に聞き覚えは?」


「飯田……? えーっと、確か……帝都放送の人、だったかな?」


「そうだ、飯田徹子34歳、最近は帝都放送の看板キャスターとして連日連夜テレビに出ている女性だ」


「我等はお前達が工場見学をしている間にそのイイダと出会った」


「その飯田と色々と世間話をしていて……まぁ互いに世間話をしてたんだがその時にデアデビル、つまり俺達についての話になってな」


 三木はその時の光景を思い出しながら、言葉を続けた。


─────────────────────────────────────


「やっぱり、山城ちゃんが送ってきてくれた梟ちゃんね! やだ、可愛い~!」


「ぬ、や、やめろ! 我を誰だと……ぐわっ!」


 時は巻き戻り、午後。

 誠達が工場見学をしている最中、その工場を外側から観察していた三木とアモンの元に突如飯田が現れた。

 人気のないビルの屋上に現れた彼女は、アモンを見るや否や走りよると彼を抱え上げる。


「ミ、ミキ……貴様、黙って見ていないで何とかしろ……!」


「お、おぉ、わりぃ……えーっと、お嬢さん? そいつはうちの息子……みたいなもんのペットでしてね、すみませんが放してもらえるとありがたいんですが?」


「あら、ごめんなさい! あたし可愛いものには目が無くって……」


「すみませんね、こっちも預かってるだけなもんでね。 息子が帰ってきたらその時はあいつに聞いてください、多分貸してくれると思いますよ」


 アモンの言葉が分からない飯田は、自らの胸元で暴れるアモンを意にも介さない。

 だが流石に同じ人間である三木の言葉を聞き我に返ると、アモンを離した。


「それじゃああなたの息子さんが帰ってきたら是非一日、いえ三日、いえ……一週間はその梟ちゃんをお借りするわね!」


「くそ、何と言う無礼な女だ……我に無断で触れるなどと」


 飯田から解放されたアモンは、近場の手すりに飛び乗ると胸元を自らの羽で払う。

 その動作を見て、三木は苦笑する。 


「っと……ところでさっき、山城って名前を言ってたような気がしたんだが」


「もちろん言ったわよ、あなたあれでしょ? さっきの言いぶりからすると山城ちゃんの彼氏さんのお父さん……よね?」


「まぁ父親……みたいなもんかな、しかし誠に彼女が居たってのは初耳だぞ」


「今時の子だもの、親御さんには隠しておきたいんじゃない?」


「単にハナが見栄を張っただけな気もするがな」


 花が誠の彼女と言われ、三木は思案する。

 誠と花が恋人同士であるということは聞いていなかったので、意外そうな顔をするが飯田はそんな三木を見て頷いている。


「そんなもんかねぇ?」


「そんなものよ、ところでえーっと……」


「自己紹介が遅れたな、閼伽井源一郎だ」


「源一郎さんね、あたしは飯田徹子、よろしくね!」


「あんたの名前は聞いたことがある、確か帝都放送でキャスターやってるよな?」


 三木は目の前に立つ飯田をつま先から髪の毛一本までジッと観察し、そう切り出した。


「えぇ、新宿の事件以来ちょっとずつ局の放送を任され始めてね、ほんとデアデビル様々って感じ」


「デアデビルって言うと……今話題になってる連中か」


「ククク、我らが正しくそのデアデビルなのだがな」


 自らがそのデアデビルの一員であることを隠し、三木は白々しく言った。


「そう、そのデアデビル。 あたしが入手した情報じゃリーダーのキングって人物は大学生くらいで、社会に対しての正義感で動いてるって話よ」


「正義感ねぇ……まぁあながち間違ってないのかもしれないな」


「きっとそう、だって彼らはあたしを暴漢から助けてくれたわけだし……彼らは今の世に現れた義賊なのよ!」


「義賊……かどうかは分からんがまぁそうだといいな」


「えぇ、ネットでも毎日話題に上ってるし正直今デアデビルを知らない奴はモグリね」


 ヒートアップしていく飯田を冷めた目で見ながら、三木は適当に相槌を打つ。


「そーいや何かネットでも色々あるらしいな、グッズがどうとかファンサイトが出来たりとか」


「そうそう、その中でも特に今は標的サイトが流行っててね」


「標的ぃ? デアデビルが次に狙う標的を賭けるとかか?」


「いえ、そうじゃなくて……簡単に言うと私刑リストみたいなものよ、こいつが気に入らないからこいつを何とかしろとかそういう要望がランキング形式になってるのよ」


「あー、そりゃなんつうかって感じだな」


 呆れた顔をしながら、三木は興味本位でそのサイトを検索する。

 すると直ぐにそのサイトが現れ、三木は更にげんなりした表情をした。


「何々……現職の総理が一位? その次が芸能人って……なんだこりゃ」


「ククク、人間の愚かさが垣間見れるな」


「願望垂れ流しって感じよね、って大事なのはそのランキングじゃなくてそのサイトなのよ」


「サイト? このサイトがどうかしたのか?」


「えぇ、実は……そのサイトにデアデビルから予告状が届いてるらしいのよ」


 飯田の言葉に、三木は疑いの表情を向けた。


「はぁ? 偽物じゃないのか?」


「かもしれないけど、判別の方法がないじゃない? それにそのサイトだけじゃなくてインターネット上のあらゆるファンサイトにばら撒かれてるのよね、予告状」


「……そんな予告状の話など我は知らんぞ」


「愉快犯とか模倣犯の可能性は大いにありそうに感じるな、因みにその予告状にはなんて書いてあったんだ?」


「そのサイトのランキングの下のページに載ってるわよ」


 飯田に言われ、三木は不慣れな手つきで携帯を操作しそれを見た。


「えーと何々……極悪人、日本国総理大臣阿部雄二殿」


「貴殿は国民の血税を貪り、国を荒廃させる悪鬼である……? ククク、悪鬼と来たか」


「よって我々正義の使者デアデビルが汝を処刑する、キングより」


 アモンも三木の携帯を覗き込み、二人は同時にそれを読み上げた。


「なんだこりゃ」


「ククク、いつもの予告状もセンスを感じないがこれはいつも以上に酷いな」


「俺もそう思う、偽物じゃないのかこれ?」


 二人は同時に携帯から顔を上げると顔を見合わせ、続いて飯田の顔を見た。


「だから判別の方法がないって言ってるでしょ? とりあえず暫定で本物ってことで行動しようと思って今日はここに来たの」


「なるほどねぇ……警察と同じでキャスターも足が大事って訳か、しかしこんな場所に来たって見えるのは工場位なもんだろう?」


「ちっちっ、分かってないわね素人は~。 実はここだけの話なんだけど……近々あの工場に総理が視察に来るらしいわよ」


「あの工場って……リープリヒ製薬のか? 現職の総理が何で製薬会社の視察に来る?」


「さぁ……何かあるんじゃない? まぁそれも含めてまずは遠方からの偵察に来たってわけ!」


 最後にふわふわとした言葉を言いながら、飯田はその控えめな胸を張った。


「ところで彼氏のお父さんはどうしてここに? あっ、もしかして同業者!? やばっ、もしそうなら今のは聞かなかった事に……」


「あー違う違う、俺は……実は今は無職でね、散歩が趣味なんだ」


「あ、あー……どうりでその……格好が何かそれっぽい……」


「えっ、スーツってそんなに無職っぽく見える?」


 雑にはぐらかしたつもりだったが、逆に飯田に納得され三木はショックを受けた表情をしながらそのまま二人の雑談は続いた。



─人間関係─

玖珂 晶 コープランク5←New!!   

山城 花 コープランク2 

古森 大洋 コープランク1 

峰 京子 コープランク1 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ