始 - 038206259
この世界には誰も知らないものがある。
物でも、生物でも、事実でも。
例えもし
それが惑星だったとしても
誰にも知られず、ただそこに
存在の確証すらなく『有る』__
そんな惑星の存在を知る
たったその星に6人の子供達がいた。
『此処は何処だろう?』
人生において尽きる事の無い好奇心という蜂の毒。
自分達の事も分からぬまま
不完全で曖昧な心を突き刺したそれは
この先に起こる災悪を知ることは無く
この星に気づかなかった人間達のように気づく事も無い。
ここに1つ
ありふれた物語が
また展開されようとしていた____
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「…なんてな。」
ふっと笑って自身の妄想をかき消した。
自分達のこの環境があまりにも常人離れしてっから、こうやってストーリーでも作れば面白いかなと思ったんだよ
ただ、俺はそんなに文才がない。
異世界転生物の主人公が変なとこ飛ばされて、何処だここって言うのも当たり前。
「ま、そう言わない方がぶっ飛んでるけど。」
ふっと笑えば、閉じていた視界をゆっくり開いた。
荒廃したこの世界
ある意味崩壊してきた"地球"の空気とは違う
コンクリートの湿っぽい香りが鼻を撫でる。
そんなこの場所には名前はない、ある訳が無い
普通ならまだ通ってるはずの学校で習う惑星
水金地火木土天海の惑星の中から外された冥王星、そんなハブられた惑星よりも知られていない。
知られている訳のない彼方のこの場所を
俺らは『262010』と呼んだ。
…大した意味は無いんだよ、数字語呂合わせで
『プラネット』だから。
俺…いや、俺らは全員未成年、その中で高度な名前なんて付けれるわけないだろう?
せめて言うなら 未発見型荒廃惑星 か?
それに、カッコつけも俺らは多いからなぁ。
よっこらせ、と自分よりデカい瓦礫に横たわらせていた体を起こす。
サボっていた俺の目の前に広がるは
その瓦礫の山に、数階と天井が崩壊して抜けたビルから見える滅多に晴れることの無い灰色の空。
ガラスやら壁紙のクロスに断熱材、電線やらは床に散らばり
コンクリートビルに空いた穴は鉄骨基盤をむき出しに、今にでも倒れてもおかしくないだろう。
戦争の無いとっても平和な日本じゃ絶対に見れないこの光景
まるで一見、銃火器や大砲でも撃ち込まれたみたいだな?
そろそろサボりすぎでうちの偵察が来そうだと
よっこらせと重い腰をあげれば、服に着いた土埃やら建物の欠片がぱらぱらと音を立て落ちていった
手で適当にその欠片や砂埃を払って
この場に似合わないローファーでそのビルから外に出る。
…勿論
外も、そんな具合だ。
こつこつとローファーがコンクリートの床を叩く
その音が響くのもこのビルがただの空洞と化してるからだろう。
見慣れた外の景色、普通ではないこの風景が
普通になるまで訳2年…
活気があったであろう街並みはその面影もない
今俺がいたビルと同じように崩壊したビルや建物。
倒壊したものに、上半分だけが不自然に壊れたものに
そもそも建物だったものまである。
その建物たちに這う弦や瓦礫を巻き込んで成長した樹木
それらは当然管理されることはなくそこにただ放置されている。
そんなポストアポカリプスと成った終末の世界
「…終末を迎えた、地球。」
ぽつり
そんな言葉が漏れた。
まだ怠けた体が自然と壁に寄りかかる。
…もしかしたらそんな世界なのかもしれない
嫌な妄想かもしれないが…
地球温暖化とか、核とか、有り得る話。
「……はーぁあ。えーと、今日のパトロール区域は~…」
何となくどんよーりした頭の中をリセット
そのために一旦ほっぽりだした自身の目的を思い出すことにした。
居眠りしつつも一応考えてた、ここ最近のあいつらの様子について。
アニメ風に言えば、敵…だろうか?
というかパトロールって言葉がある時点で
何か敵対する者がいるのは確定みたいなもんだけど
ここ『262010』には生命体が繁殖し暮らしているのだ。
ま、色々崩壊してるのを置いとけばほぼほぼ地球とおんなじ気候
雨や曇りやら、嵐に竜巻 雷 雪 霙
滅多にないが晴れることもあるし
そもそも地球で生物と定義されているものが繁殖しないのもおかしな話か。
「…それがまた面倒なことになってんだけどさ」
そしてここで繁殖した人間型生命体の事を考えれば 浮かぶのは苦笑い
ふぅ、とため息まで空中に浮かぶ。
一部の地域には崩壊が少ない地域があって
そこにその生命体は暮らしている。
人型は人型なのだが、人間のような肌の色はしていない
その地帯にしか未だ確認出来ていないため、住む場所によって多種多様な進化の過程が見えることもない。
全員が全員同じ逆三角形の頂点の位置に
白い点の斑点がついて、顔のような役割を果たしているが 通常の感情は見えず
頭部を守るための髪もない、声も相当特殊なやつじゃないとない。
地球人とは違い服などの文明は殆どなく
たまに何処から現れたのか分からない服を纏っているその生命体がいるくらいだ。
知能や性別も…無いんじゃないか。
そして大半はゾンビのように街の決まった範囲をうろちょろと力無く…いや、生気無く歩いている
そんなのがこのボロッボロの街を常に徘徊中。
「地球じゃ まぁ有り得ねーな。」
…ってかそんなのがいることに普通に慣れてたけど普通にこえぇな
慣れが1番人間の怖いとこなのかもしれない…
ふぅ、と息をついた
感傷に浸りながら頭の上の灰色を見上げる
「…はあ~、めんどくさいねぇ~…」
地球よか遥かに楽だが
メリットばかりの上手い話が来る訳ねぇよな。
そんな独り言が口から漏れたその時
『私は貴方を探すのがめんどくさい』
「うお?!」
ふっと鋭い言葉が俺に降ってきた。
急の事に情けなく驚いたが
すぐにその声の主が誰なのか理解する
気配もなくそっと出てくる俺の監視役
「あ~…来ちゃったかうちの偵察さん…」
『何時まで経っても戻って来ない貴方が悪い。』
「へいへーすんませんねー」
軽く冗談で悪態をつきながらその声無き声のする方を見ると、何時も通りの鉄仮面な表情が見て取れた
神曩 零___
うちの仲間の次女。
声を閉ざした彼女はスケッチブックでの筆談と…
意思伝達で会話する。
何故閉ざしたかなんて、そんな野暮な事は聞いてくれるなよ?
サボってた事を誤魔化すようにへらりと笑った俺を他所に、スケッチブックにマジックで書いた文字が見せられる。
『そんな事より、問題発生した』
「問題?どんな?」
『また"アレ"が出た。』
「…へぇ。」
そんな会話は 唐突に
真剣味を帯び、ピリリも重い雰囲気を漂わせた。
そしてその言葉の後
2人の間に、しばしの沈黙が流れる。
胸あたりにスケッチブックを持って、そのままじっと俺を見つめる零。
答えを待つ姿勢。
一見 さらっとした会話だが、その中に
とんでもない事が起こったという事態の重さが
空気に織り交ざっていく。
そう、この事態は…
緊急事態だ。
キャラ説出してから結構後に1話出すってどうよ
まぁゆっくり出していきます_(:3」∠)_