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ダンジョン(氷)

 突然だが、今回は氷らしい。

前回の炎のダンジョンからそう日にちが経っていない。

前回案内した女剣士が目を輝かせてそう話した。

ダンジョン探索のメンバーは替わらない。

何しろ前回は学術的にもかなり貴重な映像が撮れたらしい。

俺はよく分からなかったがこの世界には記録魔法というものがあるらしい。

俺のいた世界では撮影するのに機械が必要だったが、今のこの世界では魔法1つで記録が出来る。

つまり、冒険の際に重い機械を背負わずとも良いのだ。

その分多少無茶も出来るらしい。


 俺は彼女たちにどう思われているのだろうか。

今回のメンバーは女剣士に武闘家の男、そして女勇者だ。

俺は専ら女剣士と会話をする。

女剣士は俺を羨望のまなざしで見ているみたいだ。

聞いてみると俺は彼女たちの師匠に認められた実力者らしい。


 彼女たちの師匠とは俺たちのギルドの案内人でもあるエグザのことだ。

エグザは俺の師匠でもある。

彼女は10年前にこの街に突然現れたらしい。

そして瞬く間に街の実力者に知れ渡るようになった。

彼女が武術の達人であることは身内以外内緒らしいのだがいわば知る人ぞ知る存在なのだ。

エグザは一体何者なのだろうか。


 そして彼女に認められた俺は何者なのかギルドでは持ちきりらしい。

何しろこの街に現れてすぐにダンジョンのシェルパをやるのだ。

普通はそれをやるのに10年以上かかるらしい。

それを見た目少年がいとも簡単にやってのけるのだ。

話題にならないわけがない。


 彼女たちは俺がダンジョンに詳しすぎるのも凄く驚いていた。

俺はただ単に地図を丸暗記しているだけなのに。

聞くとダンジョンの最下層まで記憶しているのはかなり珍しいとのこと。

何しろ最下層にたどり着いた冒険者が存在しないのだとか。

じゃあ、俺が暗記した地図は一体誰が書いたものだろうか。

前回最下層までは行かなかったにしろ俺が行き着いた場所は未開の場所だったらしい。

そこに生息する魔物も都市伝説のレベルの魔物で前回が初めての発見だったらしい。

ちなみにダンジョンの情報も魔物の情報もエグザからの情報だ。

彼女は本当に一体何者なのか、興味が尽きない。


 さて今回のダンジョンはかなり寒い。

なにしろ通常気体である酸素が液体として存在する−200度の世界。

と言っても最初からー200度の世界ではなく入り口は0度の世界、最下層に行くにつれ気温はどんどん下がる。

最下層は絶対0度の世界らしいのだが今回はそこまでは行かない。

ていうか行った人類はいないらしい。

今回行く場所もバッチリ未開の地であることは間違いないのだが。


 ダンジョンに入る前にまずは装備の点検だ。

俺は神様からもらったこの体、体事態にあらゆる対属性を備えている。

もちろん氷属性も。

しかし連れて行く人たちは紛れもないただの人間、装備をしっかりしないと死んでしまう。

もちろん俺も人間ではないことを悟られぬようそれっぽい装備を着て誤魔化す。

そして点検が終わったら冒険の始まりだ。

俺は3人を連れてダンジョンの中に入った。


 ダンジョンの中は思いのほか寒いらしい。

彼女たちはかなり寒そうにしている。

俺は寒さを感じない。

ていうか気温自体、暑さ寒さを感じない体だ。

だからこそ彼女たちの体調に気をつけなければならない。

それに俺も寒そうな演技をしていないと変に勘ぐられてしまうかもしれない。


 とにかくこのダンジョンではいろんな魔物に出会う。

口から氷を吐く魔物、触っただけで氷が出来る魔物、氷の中をスイスイ泳ぐ魔物、見ていて飽きないのだ。

その魔物を見る度に俺はものすごい興奮する。

それを見て彼女たちは不思議がるのだ。

ダンジョンに詳しいはずなのに魔物を見たこのない俺を。

かといって追求されるわけでもないので俺はそんなに心配もしなかった。

ちなみにこれらの魔物は既に見つかっている魔物なので今回の観察対象ではない。

それに俺たちは魔物を殺すことが目的ではなくあくまで観察、研究なのだ。

この世界では魔物を殺すことは堅く法律で禁止されている。

つまりこの世界の魔物は保護対象なのだ。

俺たちの方が魔物に殺されないように気をつけなければならない。


 ダンジョンはたびたび魔物によって立ち塞がれる。

そのたびに魔物の特性を使って退いてもらう。

決して攻撃をしてはならない。

だから剣士たちは魔物が出る度に手懐ける。

さすがにその道のプロ、難なくダンジョンを進むことが出来る。

そして寒さで動けなくなることもしばしば。

そのたびに俺は氷耐性の道具をリュックから出した。

どうやら俺の出す道具はかなりの優秀らしい。

幾度となく彼女たちのピンチを脱することが出来た。


 さて、目的の場所に着いた。

そこには1匹のペンギンがいた。

よく見ると氷の彫刻のペンギンだ。

それが動いているのだ。

俺はその魔物を見てもちろん興奮したが彼女たちはもっと興奮していた。

何しろ都市伝説級の魔物だとか。

今回その魔物はどうやら巣作りの真っ最中のようだった。


 それからの1週間、その魔物に気づかれないようにずっと観察した。

どうやらその魔物は雄であること、そして雌の求愛のために巣作りをしていること。

結局俺たちが観察している間はその一匹しか観測できなかったが、とても有意義な時間だったらしい。

そしてしばらくは魔物の観測に時間が費やされるであろうことを俺は知ったのであった。



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