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新入り

 この世界に来てようやく寝泊まりするところが決まった。

俺が入ったギルドの屋根裏部屋らしいが。

俺は早速背負っていたリュックを放り投げ大の字になって寝転がった。

とにかく凄く疲れた。(精神的に)

今すぐにでも寝たいぐらいだ。


 しかし、いつになっても眠気が襲ってこない。

精神的に疲れていても肉体的には疲れていないからだ。

それにこの世界に行く前、あの神様が我々は睡眠が出来ないと言っていた。

さて、そうするとどうやって朝まで時間をつぶそうか。

そういえばあの神様が言っていた。

眠ることが出来ない代わりに頭の中にアーカイブ(図書館)を作っておいてやると。

そこにアクセスすれば暇つぶしにはなるだろう、そしてその様子は傍目には眠っているように見えると。


 俺は早速そこにアクセスした。

そこには元いた世界のあらゆる著作物が存在しているらしい。

外国のものもちゃんと翻訳されているらしい。

そこには本や映像作品、ゲームなどが置いてある。

俺はその中からネットゲームを選んだ。

簡単なパズルゲームや経営戦略ゲームをやってみた。

もちろんオフラインなのだが無課金でいくらでもパワーアップできる。

ストレス無くゲームを進めることが出来るのだ。

なるほどこれで朝まで時間をつぶせる。

そうこうしている間にどうやら朝が来たようだった。


 「早く起きなさい!! 新入り」

エグザのその声に俺は目を開けた。

「新入りがいつまで寝ているの!!

もう朝の5時だからね」

エグザはずいぶん不機嫌そうだ。

しかしまだ朝の5時、早すぎやしないか。

エグザは

「本当は新入りは寝る権利はないの!!

でも人間は寝ないと死んじゃうから仕方なくな寝させてあげてるのよ!!

感謝しなさい」

どうやらこのギルドはとんでもなくブラックのようだ。

幸い俺は寝ることが出来ないからちょうど良いかもしれないが。


 それからいろんな下働きをさせられた。

薪割り、料理の下ごしらえ、重要資料の作成など。

どれも初めてのことだから手つきがおぼつかない。

エグザがその様子を見て思いっきり僕をどやしてくる。

一応10歳の子供のはずなのだが。

全然手加減をしてくれない。


 午後になってエグザが突然語り始めた。

「え〜と、午前中の試験はこれで終了。

よく頑張ったわね」

初耳である。

いつ試験を行ったのかも疑問だ。

エグザは続けて

「午前中あなたのオーラをずっと見ていたわ。

あなたは治癒士向きのオーラを持っているわ。

もちろんシェルパとしての才能もね。

ダンジョンの道案内人としてあなたの才能は最適なの。

そこでケガした人の治療も出来るしね。

午後からはこの世界のダンジョン、そして治癒士としての基礎を教授するわ。

これでも私は何でも超人よ。

基礎中の基礎は今日中に全てたたき込むから」

思わずぞっとしてしまった。

一体どれぐらいの勉強量になるのか。

エグザは続けて

「今日1日で教える内容は最低一週間、普通なら1ヶ月かかる勉強量。

それを私ならたったの半日で教えることが出来る。

要は要領が良いのよ。

ただし、今日は眠れないから覚悟してね」


 ここから地獄の半日が始まった。

まるで一週間、いや1ヶ月過ごしたような半日。

とにかく中身が濃い。

そこで分かったことはこの世界には様々なダンジョンがあること。

炎、氷、水,雷、風のダンジョンが存在すること。

そこにはそれぞれそこに定住する魔物がいること。

我々の探検は新種の魔獣を見つけることや既存の魔獣の習性を観察することに重きを置いていること。

そして何よりも魔獣の殺生が禁止されていることを学んだ。


 そして、近くにあるいくつかのダンジョンを全て暗記させられた。

総ページ数100ページ以上ある地図を全てだ。


 次に治癒魔法の基礎とやらを学んだ。

確かに何でも超人と言うだけ合って治癒魔法も凄い威力だ。

エグザの眼鏡にかなうレベルに達するまで練習させられた。


 気がつくと朝になっていた。

エグザは

「これで基礎練習は終了。

よく頑張ったわね。

今日からあなたは一人前のシェルパとして働いてもらうわ。

早速で悪いんだけど適当にダンジョンを選んでそこの入り口でお客さんを待っていてくれるかしら」

やっと基礎練習が終わった。

しかし、本当に半日の出来事だったのかと疑問に思うほど内容が濃かった。

ていうか本当に半日だったのか!?

治癒魔法の基礎を習得するのにも体感では1日以上かかったような気がする。


 この後シェルパの仕事が待っている。

俺が人間だったら絶対にぶっ倒れると思う。

しかし、この体、不思議と疲れを感じない。

便利な体だ。

そしてなぜかエグザもそれを知っているかのような雰囲気だった。


 俺は取りあえず何の属性も持たない普通のダンジョンを選んだ。

エグザは

「意気地なしね。

このダンジョンは初心者用のダンジョン。

何の面白みのないダンジョンだわ。

どうせだったら、最難関のダンジョンを選んで欲しかったわ」

無茶苦茶なことを言うなと思った。

そして無理やり炎のダンジョンに行くように命じられた。

始めから決まっていたのなら選ばせることをしなければ良かったのに。

俺はそう思った。

エグザ曰く俺がどのくらい度胸があるか見たかったみたいだが。


 なんだかんだで俺は炎のダンジョンに向かうことになった。





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