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転生

 俺の転生した場所はだだっ広い草原だった。

しかし、この日は運が悪かったのか風がえらく強い。

自分の姿を見てみると、なるほど、あの神様の言うとおり俺は10歳前後の少年になっていた。

そして俺はあの神様からこの世界での名前、コバルと言う名前を授かった。


 あの神様、つまりブノーさんとの日々はとても懐かしく思った。

ブノーさんは俺がこの世界で暮らしていけるように既に手配していると言った。

取りあえず街まで行きなさい、そうすれば全てがトントン拍子にことが進むとも言っていた。

しかし、ここから町までどのぐらい離れているのだろうか。

人っ子1人いやしない。

そういえば必要な情報は頭の中にインストールしとくとブノーさんは言っていたな。

つくづく神という世界は便利で何でもあるのだなと思ったが頭の中でごちゃごちゃやられても困るなと思いリュックに手を伸ばした。

このリュックは中に手を入れ欲しいものを願うとそのものが出てくるらしい。

ただし悪用は厳禁。

俺はそれでこの世界の地図を手に入れた。


 地図によるとここは森の中の草原、街までおよそ100キロ、大分離れているみたいだ。

だいたい歩いて1日以上かかるだろうか、幸い眠れない体だ。

取りあえず暇つぶしにでも歩くしかない。

この地図には安全なルートが書かれている。

ゲームじゃあるまいし安全な道を歩くに越したことはない。

ここにいても仕方が無いので俺は街まで進むことにした。


 歩いてしばらくして気づいたのだが、ここは標高1000メートルぐらいの山みたいだ。

俺はその山をずっと下っていた。

なぜ急に山の標高まで分かったのかというとなんとなくとしか言いようがない。

そう言うのも俺が一歩ずつ歩くたびにこの世界の情報が頭の中にインストールしているみたいで1時間もするとこの世界のだいたいのことが分かってきたような気がしていた。


 眠れない体というものはとにかく便利だ。

もう真夜中になってしまったが一切眠くならない。

それどころかこの体は疲れも感じないようだ。

元来暗いところは苦手だが、真夜中でも視界ははっきり見える。

全く怖くない。

そういえばこの世界に転生してから何も口にしていない。

と言うより何も口に出来ない体だ。

不思議と空腹感もない。

それでいて体は元気だ。

そして何より頭の中にインストールされてくる情報が面白いのだ。

退屈のしようが無い。

知らないことを知ると言うことがこんなにも面白いのかと生まれて初めて知った次第だ。

恐らく今インストールされている情報の中にはこの世界の情報だけではなく元いた世界の情報も含まれている。

頭の中で知らない物語を読みながら楽しく街へ向かっているのだ。

こんな娯楽今までに味わったこともない。

そんな楽しい思いをしながら街へと着いた。


 街についた頃にはもう朝方になっていた。

この世界に転生したのは昨日の朝方。

丸1日を費やしたことになる。

出来るだけ速く街に着きたくて早歩きできたのだが、不思議と疲れていない。

何よりこの世界にきて初めて人に出会えたのだ。

その感動は計り知れない。


 さて、この街に来て何をすべきか考えた。

そういえばギルドという場所に最初に生きなさいとブノーさんは言っていた。

俺は近くにいた人にギルドという場所を聞いてみた。

そうすると案外近くにあったのでそこに行ってみた。


 その建物に入ってみると1人の女の子が声をかけてきた。

「あなた、見ない顔ね。

こんな所に子供が1人。

ここは子供の入る場所じゃないの!!」

といきなり注意された。

俺は

「君だって僕と同じぐらいの子供じゃないか」

と反論してみた。

そうするとその女の子は

「失礼ね!!

これでも20歳のレディなのよ」

と反論してきた。

僕が驚いているとその女の子は

「これでも私は10歳の頃からここで働いている職歴10年のベテランよ。

ところであなたの名前は?」

聞かれたので俺は自己紹介をした。

そうするとその女の子は

「あなたがコバルなの!?

ていうか子供じゃない!!

このギルドにとって有望な人が来ると聞いていたけどまさか子供だなんて。

まぁいいわ、親方からあなたのことは聞いているわ。

あなたは明日からシェルパとして働きなさい。

親方からそうするように言われているの。

シェルパとはダンジョンの道案内人。

あなたはダンジョンに詳しいらしいから冒険者の道案内人として働きなさい」


 いやいや、そんなことは聞いていない。

この世界にダンジョンがあること自体知らなかったのに。

そう困っているとその女の子は

「一応言っておくけどこの世界ではダンジョンの魔獣の殺生は禁止。

冒険者は魔獣の保護と観察が目的なの。

それにこの世界はいろんなタイプのダンジョンがあるからめいいっぱい楽しんでね」

俺は彼女のこの言いぶりになぜか違和感を持った。

が彼女はそれにかまわず続けて

「それと私の方も自己紹介。

私はエグザ、このギルドの仕事の斡旋係兼体術の師範。

強くなりたかったら私の道場に入門しなさい。

安くしとくからね

それと言い忘れていたけれど今日から屋根裏部屋で悪いけどそこで寝起きをしてもらうから必要なものは全て屋根裏部屋に持って行ってね」

必要なものはこのリュック1つだけなのだが。

どうやら明日から波乱の1日が始まりそうだ。


 





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