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 今、俺は海のど真ん中にいます。


 先日、エグザからまたもや指令がおりました。

新たな竜人を探しに行きなさいと。

ついこの間風の竜人を街に案内したばかりなのに。


 この前の竜人ははっきり言ってわがままで困った。

彼女のために俺は振り回されてばかりだった。

ようやくその竜人から解放されたばかりだって言うのに俺の上司はどれほどブラックなのか。


 しかもその竜人は海のど真ん中にいるという。

正確に言うと海のど真ん中の無人島らしいが。


 エグザが言うにはそこへの交通手段がまるでないのだとか。

エグザは

「泳いでいってもいいんだけど、それじゃぁあまりにもあなたがかわいそうだから私の船を貸してあげるわ。

有り難く使いなさい」

と言っていた。

でもまさかの手漕ぎボート。

正直恨みしかない。


 しかし、神様からもらったこの体は便利なもので疲れを知らない。

眠ることも必要としない。

食事も要らない。

おかげで昼も夜も休むことなく進むことが出来る。

それに何せ海上だから他にやることもないし暇で暇でしょうがないのだ。

だから一生懸命漕いでいる。


 それにしても街を出て半年、どれだけ遠いのだ。

一応ナビとやらが付いているからそれに基づいて漕いではいるが一向に陸地が見えない。

本当にあっているのだろうか。


 それから3日経った頃空の様子がにわかにおかしくなってきた。

あっという間に真っ暗になったのだ。

昼間なのに夜のような暗さに。

そして僕がその様子に慌てていると突然陸地が見えてきた。


 それからのことが急だった。

陸地が見えたかと思うと急にボートの速度が上がったのだ。

漕いでもいないのに。

時速100キロに到達しただろうか。(体感で)

とんでもないスピードで島に引きつけられた。

そして島にぶつかると俺の体は勢いよく宙を舞い地面に叩きつけられた。

ちょっとした事故である。


 「悪い悪い。

エグザの弟子が来ると聞いていたから少々無理をしても大丈夫だと思っていたわ」

そう言い、奥から女性がやって来た。

「お、無傷みたいね。

さっすがエグザの弟子。

自己紹介するね。

私はサンドラ。

この島の主だ」

と俺に話しかけてきた。

俺はと言うとあっという間の衝撃に頭が付いてこず以前寝転がったままだ。


「えっと誰だっけ。

ちょっと待ってね。

あ〜、コバル君(俺)か。

話さなくてもいいよ。

私は君の心が読めるから。

ていうか竜人全員が読めるんだけどね。

でもあえて使わない人たちもいるか。

そんなことはどうだっていい。

君はこれから私の弟子になるんだ。

鍛えるからね。

でないと親友のエグザに顔向けできないからさ」

こっちが何も理解できないうちにどんどん話が進んでいく。

俺は起き上がってすらいないのに。


「そうと決まったら起きた、起きた。

一秒だって無駄にはしたくないんだから」

なんか脳筋ぽい感じもしてきた。


 それから息つく間もなく修行が始まった。

彼女は雷の竜人らしい。

雷の修行を俺はすることになった。


 雷の修行はかなり厳しかった。

ビリビリが凄いのだ。

かなり痛い。


 所で俺はあらゆる属性に耐性があるはずなのだがなぜ雷属性だけ無効になっているのか。

サンドラは

「それにしてもエグザは凄いものを発明したね。

あのボート。

短時間だったら影響はないけれど長いこと乗っていたら雷属性は0になるボート。

しかも早く着かないようにボートは時速1キロ以上は出ないようにしてある。

君の住んでいた街までそんなに距離はないのに時間がかかったのはその呪いのせい。

君も大変だったでしょう」

そんなことは初耳だ。

だから痛い思いをしなければいけないのか。

エグザは避けな事をしたものだ。


 それから3ヶ月間、地獄のような日々が続いた。

「君は良いよ。

食事を取らなくても良いから。

私なんか1日3食、食事を取らなければならない。

睡眠も。

無駄な時間が多い。

そのくせ君はその必要性がないから24時間修行に勤しめる。

本当に君が羨ましい」

俺にとっては拷問なのだが。


 俺は

「そういえばこの島に来てから一度も晴れた日がありませんね。

いつも雷が鳴ってばかり。

真っ暗な雲に覆われている。

いつになったら晴れるんですかね」

と俺は彼女に聞いてみた。

彼女は

「晴れる日なんて来る訳ないじゃん。

ここは雷の島。

これがいつもの日常。

ていうか「晴れ」って何?」

と彼女は逆に聞いてきた。

どうやらこの島では青い空は見れないらしい。


 修行期間が終わり今度は俺が彼女をを街に連れて行く番。

彼女は

「ボートは勘弁ね。

私が死んでしまう恐れがあるから。

ていうか、君もボートは禁止。

せっかくの修行の成果が台無しになるから。

悪いけど付いたその日に破壊させてもらったわ。

今頃海の藻屑になってると思うわ」


 そんなことを言ったってそれでは俺が帰ることが出来ない。

俺が困っていると彼女は

「あなた、ゲートってものを知らないの?

ゲートさえ有れば何処にでも行ける。

もちろん、行ったことのある場所限定だけどね。

あなたがゲートを開けばすぐに街に帰れるわよ」


 俺はそれからゲートの開き方を学んだ。

習得には半日かかったけれどようやく街に帰ることが出来た。

彼女を連れて。


 彼女は初めて見る青い空に感動していたっけ。

彼女はとても楽しげだった。


 そして、俺は最後の竜人に会うようにエグザに命令された。

俺の最後のミッションなのだそう。

最後のミッションに気合い入れていかねば。

俺はさらに気を引き締めていた。



 

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