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砂漠

 俺はまた旅に出ている。

そう、エグザの命令だ。

今回から修行も兼ねて俺1人だ。

つまり、仲間はいない。

俺1人の孤独な旅。

話し相手もいない。

って言っても普段から無口なのだが。


 今回は風の竜人りゅうじんを尋ねに行く。

いつものように険しい道。

それにしても竜人たちはなぜこんな険しい環境で暮らしているのか。


 今回は前回までと違うことがある。

それは直接、竜人たちの村を目指していること。

今までと格段に段階が違うのだ。


 それにしても今回の龍人はどういう人たちなのか楽しみだ。

そう思い砂漠の中を一週間、彷徨さまよっている。


 なるほど、人間たちがいて行ったら間違いなく死ぬ環境だろう。

恐らく俺はこれからそう言う場所を尋ねなければならない。

かなり大変なことだ。

幸い俺は寝ることも食べることも必要としない。

転生してから疲れも知らない。

気温を見ると昼間は50℃以上、夜はー20℃以下になる。

俺はどうやら温度を感じない体らしい。

つまり、暑さも寒さも感じない。

そう言う意味では道に迷っていること以外困っていることは無い。


 それにしても俺の持っているこの地図、本当に役に立たない。

何せ今は砂漠のど真ん中。

地図を頼りにしたくとも目印になるものが何も無いのだ。

しかも地図自体かなり難解。

町中で俺は道を聞いたのだが誰1人この地図を理解するものはいなかった。

もちろん、この地図は俺の頭の中にもインプットされている。

でも俺を含めてこの地図を理解できているものはいない。

エグザも意地悪なものを持たせたものだ。


 じゃぁ、どうやって道を進んでいるのかと言うと答えは簡単、勘だ。

なぜか俺にはその場所の方向が分かるのだ。

大体ではあるが。

でもここら辺であるのは間違いないのだが一向に村が見えない。

本当に困っている。


 しばらくすると砂漠のど真ん中に女の人が立っていた。

恐らく女性だ。

イスラムの人たちが来ているニカブというものに似ている服装をしていた。

ニカブとは目以外の全てを隠している服装です。

その女性が

「本当に勘の鈍い人ですね。

私は一週間前からあなたを観察していました。

あなたが何者なのかを。

あなたは人間ではありませんね。

見た目は人間ですが絶対に違います。

それにエグザさんから聞いた人相によく似ています。

あなたはコバル(俺)さんですね。

よくいらっしゃいました。

ようこそ私たちの村へ」

俺は

「え〜と、その村は何処にあるのですか。

何処にも見当たらないのですが」

と俺は聞いた。

その女性は

「だからあなたは勘が鈍いんです。

ここは風の多い地域、しょっちゅう竜巻が発生します。

あなたが迷っている一週間はたまたま竜巻が起きなかっただけです。

こんな所に地上に村を作るでしょうか。

村は地下にあります。

私が村まで案内しましょう」

なんか釈然としな言い方。

俺は憮然としながら彼女に連いて行った。


 入り口はダンジョンのようだった。

ていうか、ダンジョンそのものだった。

俺たちは数々のトラップにあった。

それを俺たちは無難に攻略していった。

でも彼女はかなり不満で

「こんなに勘の悪い人は初めてです。

あなたは人間ではないのでしょう。

人間で無ければトラップぐらい見極めてくださいよ。

大体、何で私が注意をする前にトラップにはまっているんですか。

あなた本当にエグザさんの仲間なんですか。

本当にいい加減にして下さい」

と怒られてしまった。


 ダンジョンは通常1日で攻略するところ結局一週間もかかってしまった。

彼女は

「人間以外でこんなに勘の悪い人は初めてです。

人間だったら初日で死んでますよ。

その点、あなたが人間で無いことは分かりました。

でも、この村でしばらく修行です。

これではエグザさんに合わせる顔がありません。

それからあなたたちの街に行くことにします」

彼女はニカブを脱ぎ怒った顔で俺に言い放った。


 彼女は

「言い忘れていましたが私がこの村の長のウィーズです。

あなたの面倒を見ることをエグザさんに言われています。

もう既に2人の竜人に会ったとか。

私が人間のことを理解する前にあなたを鍛えます。

良いですね」

顔はカワイイ顔をしているくせにかなり手厳しい。


 この村は風の能力を持った(竜)人たちが住んでいる地域。

よく見ると子供たちもかなり凄い力の竜巻を発生させて遊んでいる。


家はもちろん風耐性の家。

それでも地上には建てられないそう。


 それにしても村は異常に明るい。

地下にあるのに地上と変わらないぐらい。

その理由は人間にも劣らないぐらいの科学技術。

それを明かりに全集中しているせい。

そのため生活はみすぼらしいものとなっている。


 しばらくは村の長である彼女の家に居候することになった。

彼女は

「それにしても便利な体ね。

ものを食べることを必要としないって。

太ることを心配することも無いし。

成長しないことを除いて本当に羨ましい。

見た目は子供のままだけどね」

余計なお世話だ。


 俺はしばらくこの村に滞在した。

俺の能力が一定レベルにアップするまで。

その期間は半年に及んだ。

そして約束通り、今度は彼女を人間の街に招待する。

毒舌である彼女がどういった反応をするのか今から楽しみである。






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