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氷の村

 そこは人間の街と同じように活気がある村だった。


 俺らは氷の村にいます。

詳しく言うと氷属性の竜族の村と言ったところです。


 村は氷の結界に閉ざされていて普通の人間には進入不可。

まさに北極ならではの村。


 例のごとく付いてきた3人の人間は竜族の偉い人たちに訓練づけられている。

俺はと言うとこの村の観光と言った感じだ。


 氷竜属のアイーゼはとても優しい。

俺に対しても非常に親切だ。

いつも快く村の案内をしてくれた。

コミュニケーション能力も非常に高い。


 この村の平均気温は平均ー30℃。

俺にいてきた人間たちは普通に生活するのも大変そうだ。

だから僕は出来るだけ彼らに防寒グッズをあげている。

何しろこの寒さだ。

死なれたら困る。

しかも僕があげている耐寒性の服や下着はかなり優れていると彼らは言っていた。


 俺はと言うと別に暑さ寒さを感じないのでなんとも思わない。

この村の子供たちを含める人たちも僕と同じようにへっちゃらなようだ。

北極なのに薄着率が多いこと。

僕でさえもビックリだ。


 アイーゼもこの村では半袖短パン。

見た目は美少年紳士なのになぜかよく似合っている。

初めに会った時はかなりの重装備だったがこの村では全然様子が違う。

今日の気温はー20℃ぐらいだが彼は「今年の冬は暑すぎる」とぼやいていた。

俺らとは温度感覚が違うようだ。


 アイーゼは

「今年は本当に暑い年だった。

夏なんか死ぬかと思うぐらい。

私たちは暑さに弱い。

だから対暑用の服が必要なんだ。

ちょうど君たちと真逆なんだよ。

君たちは寒いと厚着をするだろう。

僕らは暑いと厚着をしなければならない。

君たちと会ったところは僕らにとっては非常に暑いところでね。

あそこでは厚着は必須だよ。

君たちも厚着をしていたけれど」

と言っていた。


 ある日、俺はアイーゼにこの村の心臓部を紹介された。

アイーゼは

「君は神の使いだろう。

他の人たちとは明らかにオーラが違う。

何のためにここまで来たかは分からないけれど神の使いである君に見てもらいたかった場所がここなんだ」

と僕にその場所を見せてくれた。

アイーゼは

「ここは村の中でも限られた人たちしか入れない神聖な場所。

だからくれぐれもここを壊さないでくれ。

これは私からのお願いだ」

この台詞は前にも言われたことがあるが俺はそんながさつではない。

もちろん壊せるだけの力も無い。

はっきり言って杞憂だと彼に伝えた。


 そこはものすごく荘厳な場所だった。

氷の洞窟の中の大きな氷山。

その頂上はここからでは視認できない。

そのぐらい高い氷山が洞窟の中に封印されているのだ。

洞窟自体も普通の洞窟ではなく視認できないように封印されている。

その洞窟を彼の案内で半日歩くとその場所に着く。

まさに氷に閉ざされた場所だ。

その洞窟もいくつもの分かれ道があり彼の案内なしでは辿り着くことは不可能であろう。


 俺たちがその氷山の麓に到着するとそれは急に光り始めた。

初めは真っ白な閃光だった。

恐らく普通の人間だったら目がつぶれてしまうほどの閃光。

それが10分ぐらい続いた。

その後、メチャクチャ高い音とメチャクチャ低い音の轟音が交互に鳴るのが10分間続いた。

今度は人間の耳をつぶすほどの轟音。

その後、何事もなかったかのように静かになり氷山が七色に光り出したのだ。

それはとても静かで幽玄なものだった。

もちろん、俺たちは人間ではないのでそれを静かに感じていた。


 ちなみに俺たちはテレパシー能力を持っている。

だから轟音の中でも一応は会話は出来る。

俺が轟音に驚いていると

彼は

「これは村の宝を守るセキュリティです。

閃光も轟音も20分ぐらいすれば終わります。

そうすればこの村の宝の本当の姿が見れます。

この宝には決して触れないようにして下さい。

この氷山は触れたものを中に取り込んで栄養にする性質があります。

スライムの氷版みたいな。

と言っても生きている訳ではありませんが。

それにあなたの力は強すぎるので崩壊する恐れもあります。

この宝がなくなったら村は崩壊し私たちは生活することが出来なくなります。

だから決して触れないで下さい。

柵の内側には入らないで下さい」

とテレパシーで注意された。


 村の宝の氷山は洞窟に封印されているとは考えられないぐらいとてつもなくでかい。

氷山はただの氷の塊ではない。

本当に山のようにでかい。

ていうか1つの山と言っても過言ではない。

俺が見ているところからでは全く全貌が分からないぐらいだ。

しかも透明。

向こう側が透けて見えるぐらいだ。


 今の気温はと思い俺は温度計を見てみた。

自分では気温が分からないからだ。

気温は−100℃。

メチャクチャ低い。

彼はというとテンションが高い性なのか全く寒さを感じていないようだ。

俺と同じように。

彼にそのことを聞いてみると

「何を言っているんですか。

私たちにとってこの環境は非常に過ごしやすい。

ずっとここにいたいぐらいだ。

まぁ、そういう訳にもいかないのでそろそろ地上に向かいますが」

と言って彼は名残惜しそうに俺と一緒に地上に向かった。


 次は彼を俺たちの街に連れて行かなければならない。

彼はどんな反響をするのだろうか。

どんなリアクションを。

俺たちはそのことが楽しみです。

あぁ、言い忘れてましたが俺が連れてきた人たちはちゃんとレベルアップしているのであしからず。




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