表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

竜族の村

 俺たちは竜族の村に着いた。

とにかく竜族の村に着くまでが大変だった。


 まずは早朝5時に叩き起こされ出発の準備。

俺はなぜこんなに早く起きる必要があるのかと炎竜のフィラーに聞いてみると

「この時間に行かないと今日中の村の到着は無理ですので」

と一言。

「どんだけ遠いんだよ」と心の中で叫びながら他の3人と共に出発した。


 食事は歩きながらした。

前日におにぎりを作っといて正解だった。

俺は食べる必要性はないが連れの3人やフィラーは食事が必要だ。

連れの3人は眠い目を擦りながら歩いて食べていた。


 昼ぐらいになるとかなり3人は疲れていた。

それというのも俺も含めてだがフィラーは疲れを感じないらしい。

だから休憩時間が無いのだ。

フィラーは俺にばかり関心を持ちよく話しかける。

それにフィラーは俺が神様(見習い)であることを知ってからずっと持ち上げるのだ。

それに俺も調子に乗って話が盛り上がる。

結果、連れの3人のことは忘れてしまう。

それで昼には3人が疲労困憊の状態になっていたのだ。


 俺はさすがにフィラーに休憩時間を申し出た。

フィラーは俺の一言でやっとことの重大さに気づいた。


 俺たちは休憩できる場所を見つけてそこに腰を下ろした。

そして豪華なお弁当だ。

とても美味しそうだが俺は食べることが出来ないのでぐっとこらえた。

その後、小一時間彼らのマッサージをし俺はとことん癒やしてやった。


 そんなこんなで夕方ぐらいには村に着いた。

村では盛大な歓迎が待っていて俺たちはそれに感動した。

そして連れの3人はよっぽど疲れていたのか宿泊施設に着くやいなや即、眠りに就いた。


 次の日、俺たちは竜族の村を観光した。

竜族の村は人間の街とそう変わらない。

住んでいる人たちも人間と姿が変わらないので竜族の村だと言うことを忘れてしまいそうだ。

強いて言えばここは人間の世界より少し文明が少し遅れているように見える。

ほんの気持ち程度だが。


 ここで俺は思い出した。

せっかく竜族の村に来たんだ。

連れの3人のステータスは上げられないのだろうか。

俺はフィラーに聞いてみた。

フィラーは知り合いに武術を教えるのが上手い人物がいるのだとか。

もちろん竜族の村でだ。

その人物に教われば1週間で3人のステータスは倍になるだろうとのこと。

俺はその人物に3人を預けることにした。


 次の日、俺とフィラーは火山の探検をした。

その火山はこの村の聖地なのだそう。

そして炎竜の能力の源の地でもある。


 この村の掟としてここで生まれた赤ん坊(つまり炎竜の赤ちゃん)はマグマの中に放り投げられる。

そしてマグマのエネルギーを体の中に入れるのだそう。

もちろん炎耐性が付いているので死ぬことはない。


 そして今、俺はそのマグマの中にいる。

フィラーは

「私たち竜族以外でこの中には入れる人を初めて見ました。

さすが神様(見習い)ですね。

しかしくれぐれもここは壊さないで下さいね。

我々種族の存亡に関わりますから」

俺にそんな力は無い。

それにそんな権限もない。


 しかしこの赤の世界は圧巻だ。

周りがみんな赤く照らされている。

もちろん俺は熱さを感じないのだが(出なければマグマの中には入れない)赤い光のせいかほんのり暖かく感じる。

赤い海の中に入るのを俺は戸惑ったが入ってみるとなかなかいい景色だ。


 洞窟の中には祭壇らしきものが置いてある。

その祭壇も炎耐性が施されているようだ。

その神秘性にも気高さが感じられる。


 しばらくボーッとしていると赤く照らされたフィラーが

「ここは凄くいい場所でしょう。

私は暇さえあればここに来ていた。

ここがこの村で一番大好きなな場所」

そうとびきりの笑顔で言っていた。


 1週間経つと連れの3人が精悍せいかんな趣で帰ってきた。

なるほどステータスを見ると倍以上に上がっている。

たいしたものだと感心した。


 しかし3人は不満があるようで代表してソーキラが俺に

「この1週間、本当に大変な思いをしました。

本当、何度も死ぬかと思ったぐらいに。

何しろ教官は人間の弱さを知らない。

やり過ぎては謝るの繰り返し。

本当、この1週間は地獄に来ているみたいでした」

と愚痴を言った。

その後、

「でも私たちはそのおかげでワンランク上に行けた。

本当に感謝しているのですよ、あなたには」

とお礼を言った。

俺はどういう感情で答えたらいいか分からなくなった。


 とりあえず用事も済んだことだし俺たちは元居た街に帰ることになった。

その時フィラーは

「私も人間のことを今一度知りたくなった。

私も人間に伝の偏見を亡くしたい。

私もいて行って良いだろうか」

俺たちは別に断る理由がない。

だから喜んで承諾した。

あのマグマの感謝も込めて。


 俺たちは明日から街へと帰る。

フィラーも連れて。


 街に帰ったらどんな日常が待っているのだろう。

今までと違う日常に違いない。

それに試練もあるし。


 しかし、フィラーを連れ帰ってくることが試練の答えの1つだと言うことを俺はこのとき知らなかった。

そしてそれが次の試練の課題になることを。


 とりあえずは難しいことを考えずに前に進むのみである。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=915129762&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ