あとつぎに
体を綺麗にして、良い生地の衣装に着替えさせられる。
着替えた後は、椅子に座らされ みんなに拝まれた。
正直言って訳がわからない。
「ねぇ、私は何故こんなに崇められているの?」
私があった中で一番 偉い立場にありそうなお爺さんに尋ねる。
お爺さんは恭しく頭を下げて口を開く。
「我らを導いてくださるのは代々フェルミオン家の当主様です。
先代様はお亡くなりになり、貴女様が今代であらせられる。
当主様は紅い瞳に、創生のフォシスと終焉のフォシスをお持ちですが、終焉のフォシスは先代様以来、行方不明です。」
(つまり私はフェルミオンの当主で、みんなを導かなくてはいけないということね。これで少しは自分のことがわかったわ。)
それからウェスタは、学問をはじめとする、マナーや言葉遣いなど様々なことを教え込まれた。
それだけでなく魔法や召喚術、武術や体術など闘う術を。
舞や楽器なども教え込まれた。
苦もなくスポンジのように知識を吸収して行く様は、身分など関係なくウェルズのものたちにとって誇らしく、誰もが憧れる人物となった。
だが問題があった。
ウェルズの民は子どもたちに
歴史学において、いかに人間が危険で悪しきものなのか
徹底的に人間を憎むよう教育していた。
ウェスタは他の子どもよりも強く、人間は危険だということを学んだ。
そしてウェスタは8歳になった。
順調に育っていく姫の姿にウェルズの民は安堵した。
ところがその平穏も間も無く終わることとなる。
人間界へと続く穴ができてしまっていた。
原因はもちろん 完全にこの世界が安定していなかったからだ。
フェルミオンの先代、つまりウェスタの母君は安定させる途中で捕まったのだ。
その結果、人間が迷い込んでしまうということが立て続けに起こってしまった。
そして、ウェスタの教育は完全に終わっていた。
それはつまり完全に人間が悪だと洗脳されている状態である。
穴を塞ぎ世界を安定させたウェスタは
みんなに内緒でそのまま旅に出た。
人間を皆殺しにしよう。
まずは1番上の人間、全ての人間を統べる真王からだ。
そうすれば私たちは安全に、人間に怯えることなく生きていける。
王都へと出発した後に、ウェルズの国へと帰ってきた人物がいた。
訝しみながら城に戻ると、城内は大混乱だ。
「………何の騒ぎ?」
騒ぎの原因を聞いて青ざめた。
「僕がいない間にウェスタが帰ってきていたなんて………。」
ウェスタと同じ顔をした少年も慌て出した。
紅い瞳が涙に濡れる。
「無事だったんだね、ウェスタ。よかった………僕の可愛い妹。」
双子の妹を探すためにライルは近辺の街まで探しにでたが、見つけることができず 再び国に戻った。
ウェルズの民は泣いて主君が消えたことに悲しんだ。
ライルの耳にも悲しみの声は届いていた。
『フェルミオンの跡継ぎ様はウェスタ様以外にはあり得ない。
ライル様ではお力が足りぬ。我らにも劣るのだから……。』
耳を覆いたくなる事実にライルはふさぎこんでしまいそうだった。
身分こそ高いが、ライルは生まれながらに虚弱だった。
白い肌に白い髪 紅い瞳といえど、それは一族としては違うものであった。
(僕に力さえあれば……)
ライルはフェルミオンの跡継ぎにもなれない自分を恨み、憎らしく思っていた。
(僕がみんなを導けたなら……)
一刻も早く、国にウェスタを連れ戻さなくてはならない。
ライルは決心し、ウェスタが戻って車で 出来ることを精一杯やることにした。




