過去編~In a dream~
「ねぇ、僕らの元へ帰っておいでよ。みんな 君の帰りを心待ちにしてるんだ。なぜそっちにいるの?人間はすぐ裏切るし僕らをいじめる悪い奴らじゃないか。」
なにを言っているの?
あなたは誰?
「ほらおいで、できることなら手荒なことはしたくないんだ。でも………君が僕らを捨てようとするなら ……………君を殺すしかないよね。」
捨てる?
殺す?
どういうことなの?
「一族を 故郷を みんなを 捨てちゃうの? 仕方が無いか、死んじゃうのは悲しいけどそれはそれで喜ばしいかな。」
会話をしている人物の顔がまったく見えない。
一族、ということはウェスタと同じ一族なのだろうか。
話が見えない。
この人は誰?
怖い
だけど暖かく懐かしい
目を覚ますと見慣れた部屋にいた。
こっちの世界に来て与えられた部屋だ。
私が寝ていたベッドの脇には、椅子に座り寝てしまっている人物がいた。
「尚、起きて。そんなとこで寝たら疲れるでしょ。」
私の呼びかけに目を覚まし
寝ぼけているのか私の頭に手をおき撫で、ニコッと笑う
瞳の色は碧眼で尚とは少し雰囲気の違う男性だった。
「おはよう、ウェスタ。」
その瞬間、私は固まった。
状況が理解できずにいた。
尚だと思っていた人物はどこか違う。
「どうしたんだい?僕の顔をずっと見てさ。そんなに僕 格好いい?」
飄々と述べる様子は少し似ているがここまでからかわれたことはない。
いつまでも様子を眺めていると心配になったのか私の額に自分の額を重ね熱を計ろうとする。
「ちょっ、ちょっと‼︎近い‼︎」
私の顔が赤くなるのを見て、くすりと笑い 私をぎゅっと抱きしめる。
……優しく暖かい
突然のことでどぎまぎしたが、嫌ではなかったし 戸惑いながらも抱きしめ返す。
「おいおい、仲良いのも大概にしろよ。」
突然誰かの声がして驚き飛び上がる。
部屋にズカズカと入ってきて私たちを引きはがす。
そしていい仕事した、とでも言いたげな動作で満足そうにする。
「真王の務めはどうしたよ?あとさ俺の目の前で仲良くするのやめろ。昨日キャロルと喧嘩したんだ。」
キャロル?
ということはキャロラインの愛称かな?
そうなると花織と喧嘩したのか。
引き剥がされてもめげずにまた抱きしめられた。
「仕事は押し付けてきたし、邪魔しないでくれるかな。それに喧嘩したとかどうでもいいよ。結局のところ エイン、君が全部悪いんだろ。」
エイン?
花織とどうも仲良いと思ったらそういうことだったのね……
顔を見たくても抱きしめられたままで声のする方向を見ることができない。
それより真王って言った?
真王って…髪の色……もっと白っぽかったはず。
髪の色が違うだけでこんなにも違うんだ…。
まって、考えたくもないけど
つまり、ショウが真王の時代?
明らかにいつもの夢じゃない。
私がウェスタになってしまっている。
いつもと違うことに不安でいっぱいになる。
…………すぐ終わるよね?
うん、きっとすぐ終わる。




