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刹那の記憶  作者: りりぃ
第4章 食事
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へんか。

ー誰かの声がする…その声を聞こうと耳を澄ます。



「***が***でも、僕がすぐそばにいれば怖くないだろう?だって手を伸ばせば僕がこうやって***の手を握ってあげるのだから。」


何処かで聞いたことがあるような随分と懐かしい声だった。

彼はクスクス笑って手を握っている。


(ああ、この人は誰だっけ?)


もう少しで出そうな気がしたが出てこない。




ガバッと体を起こす。部屋の中は暗かった。


(あれ?ここどこだろう。私の部屋じゃない。)


寝ぼけた頭で考えていたら、コンコンと部屋をノックする音がした。


「だあれ?」


私が聞くと少しためらうように声がした。


「私です。ユリウスです。」


そういえば、ユリウスとアルムに城に連れてこられたんだっけ。


考えているとまた扉の向こうで声がした。


「怜様にお話があります。」


また、ためらうような声だった。

私は扉を開いて迎え入れた。


「中にどうぞ、椅子にかけてお話ししましょう。」


ユリウスはおそるおそるといった感じで椅子に座った。


「で、話って?」


私が尋ねると彼はビクッとして顔を(うつむ)かせて言った。


「先ほどはご無礼な振る舞い、誠に申し訳ありませんでした。

アルムにはああやって振舞っていろと言われておりましたが、私にはもう耐えられません。」


たいして変わってないと思うが本人は相当気にしていたようだ。


「あの…別に前みたいな喋り方でいいよ。どうしてアルムはそんなこと言ったの?」


彼はバッと顔を上げて涙目で喋り始める。



「いいえっ…そんな恐れ多いことです。こんな喋り方では尚更私たちが怪しく見えると…もう少し気さくな感じにしろと言われたのです。」


たしかに気さくな感じの方が親しみやすいが、さほど変わらないし別にいいのに。


「それならそれで別にいいけど。」


私が答えると彼は笑顔になった。


「ありがとうございます。それと、夕食のお時間なので行きましょう。」


そういえば寝たせいでもう夜になっていたのだった。


「うん、行きましょうか。」


私は彼の後について廊下を歩き出した。


城には様々な人がいるようだ。

すれ違うたびに挨拶をされる。



ユリウスがチラッとこっちを見た。


「この部屋です、どうぞお入りください。」

ユリウスが部屋の扉を開くと、そこはとても華やかな明るい部屋だった。


もう花織や尚が席についていた。

ユリウスが椅子を引いて座らせてくれる。


(これはマナーが必要なのだろうか。)


あまりに豪華なので気が引けた。

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