ひめみこ。
ユリウスが喋り終わり、紅茶を一口飲む。アルムが代わりに話し始めた。
「伝記の他に姫巫女の手書きの日記のようなものには、こうつづられていたですぅ。
『たくさんの記憶をあちこちにばらまいてきた。
あの様なことが再び起こってしまってはいけない。
真王、いやショウの魂の一部が別の世界へ旅立って行った。
元々、真王の魂は人より大きいが一部が旅立つ事例は聞いたことがない。
無事なことを祈る。
私たちはみな生まれ変わって再び生まれてくる。
その度に賭けよう。
希望を未来を世界の命運を。』と。」
あまりに大きな話に話についていけない。
花織は変わらずニコニコと話を聞いていた。
尚の方はどうだろうかと気になり見てみたら、驚いたことに寝ていた。
あまりに呑気な様子に怒りを覚え殴る。
「いっっってぇーー‼︎」涙目で立ち上がり、こっちを睨みつける。
「なんで寝てられるのよ‼︎」
いつも通り口喧嘩が始まる。見兼ねたように花織が間に割って入る。
「はいはい、喧嘩しないの。」
仕方がなく大人しくソファーに座る。
「で、いきなりこういう話をするのもどうかと思うけど…
実は君たちが伝記に出てくる生まれ変わりなんだ。」
ユリウスはまた真剣な面持ちでそう言った。
「はぁ⁉︎」
私と尚が立ち上がってユリウスに詰め寄る。
「ほらね、君たち絶対そう言うと思った。」
(信じられない。いきなり何を言い出すんだ。)
「じゃあ怜、さっき武器を出したよね?それをやってみて。」
そんなこと言われてもできるはずがない。
「どうやるかなんてわからないわよ。」アルムが私に近づく。
「あの時何を思ったですぅ?何を願ったのですぅ?」私の顔を覗きこみ、尋ねた。
あの時…確か私は…
「守りたいと思った。尚を守らなきゃって思った。私が命をおとしてでも助けなきゃって……。」
アルムもユリウスもうなずいた。
「「それが君の、いや、姫巫女の力の本質、彼や仲間を守りたいと願うほどその力は大きくなる。」」
アルムが立ち上がった後に続いてユリウスも立ち上がる。
「まあ、唐突に君たちの世界じゃありえない話をしたからね。部屋を用意させてある、今日はゆっくり休んで。夕食の時に部屋に迎えに行くから、それまで自由にしてていいよ。」
そう言って部屋を出て行く。
「また後でですぅ〜。」
アルムもあとに続いて出て行った。
私たちはそれぞれ部屋に案内され、私はそのまま頭を休めるために眠った。




