Part.03…END
「…別の世界?」
目覚めた麻奈美が話してくれたのは…まさにファンタジーの物語。
「…夢ってことはないの?」
「ううん。あれは…あのぬくもりは、あの感覚は…夢とは思えないくらい現実的で…
…あの子。火蓮ちゃんは…」
「火蓮ちゃん?」
「ああ、えっと…向こうにいる時、三歳年下の女の子がいたんだけど…その子、文月火蓮っていうんだけど…。
えっと、7月の文月に、火炎の火に…紅蓮の蓮って書くの」
…文月火蓮…。
ん?まてよ…
「…麻奈美。お前もしかして、『睦月蓮花』って名乗ってたか?」
「…そうだけど」
…まさか…いやもしかしたら…
「これ、今朝ポストに入ってたんだ」
「手紙?……睦月蓮花…さん!」
麻奈美は手紙の封筒を開けると、読み始めた。
…昔から声に出して読むクセ、治ってないんだな。
「…蓮花さん。いえ、麻奈美さん。の方がいいですか?でも、私は蓮花さんの方がなれているのでそう呼びますね。
あれから、一度だけダイアモンド・ファイアに戻ってみました。そしたら、パートナーに泣かれました。そういえば蓮花さんには話しましたっけ、チームにどんな人がいるか。
先輩のことはもちろん聞かれました。ちゃんと、話しました。自分の口で。
話せばちゃんと、みんな分かってくれるんですね。しばらく離れることも許可してくれました。
蓮花さんがいなくなったあと、私が蓮花さんの代わりをすることになりました。月夜美いわく、似てるから...だそうです。
あなたがいなくなって、少しさびしいですが、あなたが前を向こうとしたこと。そのおかげで私も前を向けた気がします。
...それから、最後に。〝姿変われど魂同じ〟って言葉。知ってますか?
なんでも、簡単に言うと生まれ変わり。ということらしいです。
そういうことは、私にはよく分かりませんがね。
睦月火蓮こと、文月火蓮」
…ダイアモンド・ファイア。噂でそんな組織があるとかないとか聞いたことあるが…まさか。
「…火蓮ちゃん……前を、向く…」
麻奈美の見たことないような、優しく笑った顔は…俺よりもずっと、成長したように感じた。
「……兄ちゃん。マコ兄」
「…?」
「…私。やりたいことが出来た」
「…やりたいこと?」
「それって、どんなこと?」
「…将来の夢。ともとれるけど…
──作家。漫画家でもいい…物語をつくる人になりたい」
「…お前なら、出来るさ」
「…そうだね」