一時保存
「余は、予言されていた、…“カコビト”成らざる者か?」
カコビトと言う言葉は、学校で習っていなかったので知らなかったが、猫神さまが人語を話すホワイトタイガーって言う驚きの方が大きかったので、“カコビト”と言う言葉には、何の印象もなかった。
「カコビトって何ですか?この世界では、私のような人間を“カコビト”と言うのですか?」
と失礼だが、質問を質問で返してしまった。
「猫神さま、お言葉ですが、このカコビトと思われる人間は、何も知らないと思います」
「そうだな。聖石にも、“カコビトは自分の事を何も知らない”とあったからの。よし、我が、暦猫書に載ってある全てを今から、余に教える」
何か、意味が分からない単語ばっかり出てきて困ったが、一応、この世界のこともしっておかないといけないとおもったので、素直に聞こうと思った。
「はい、ありがとうございます」
「西暦2011年、11月20日、地球上の保健所にいる猫たちが暴れ始め、西暦2012年、12月20日、猫と人による戦争が行われた。そして、西暦2012年12月31日。猫は人に勝ち、人間は全滅した。そして、猫がこの地球を手にしたのである。だが、何かの影響によって、猫は変化してしまった。そして、西暦2222年、2月22日、2時22分、22秒、過去から来た人間が現れる。その人間は、“カコビト”と呼ばれるだろう―――と、載ってあるのう」
此処は、異世界ではなく…未来の地球…?じゃあ、どうして、私は未来にいけたの?と色々、混乱してきた。
それに、人類が滅亡するとは、思っていなかったからだ。
「暦猫書には、“カコビトは、我々の未来を奪うだろう”とも載ってあるのう」
「そうなんですか…何か、すみません」
“我々の未来を奪うだろう”と言う言葉が、私の気持ちを動揺させた。もしかして、私が猫たちを滅ぼしてしまうんではないかと思い始めた。
「まぁまぁ、そう落ち込むでない。久しぶりの客だ。みっけよ、そのカコビトのために、街を紹介してくれんかのう?これから、しばらく住むことになるからのぅ」
「私が、ですかぁ?」
「うむ」
みっけと言う少女はいかにも嫌そうな顔をして、猫神さまを見た。
「ベイにやらせば良いんじゃないですか」
「嫌だ。ベイは、最近、メス猫どもに人気があるから嫌だ」
「仕方ないですね。私がやれば良いんでしょう。私が」
みっけは、眉間にしわを寄せて、プイッとソッポを向いて、猫神さまから立ち去ろうとした。町を案内されると思ったので、私は、みっけについっていった。
「おい、カコビトよ、名は何と言う?」
私は、後ろを向いて、猫神様に聞こえるように大声を出した。
「宮野寧々子です」
「良い名だ」
「ありがとうございます」
大声で返事した後、みっけの歩く速度が速いので、追いつくのに大変だった。
みっけは、この神社に居たくなかったのか、早歩きをしていた。そして、神社を出たとき、みっけはあくびをして、少し、緊張がほぐれたように見えた。
“ベイにやらせれば良いんじゃないですか?”の言葉にひっかかった。どうして、ベイがこの年代にいる?今は2222年。猫の平均寿命は15年くらい…。2009年に産まれたベイが2222年まで生きることが不可能だろう。
そういえば、まだ、みっけに名前を教えていなかったので、自己紹介しようと考えた。
「宮野寧々子です。これから、よろしくね」
「ふん。人間なんかがアタシに気安く仲良くなろうと、しないでよね」
人間が嫌いな猫もいるんだなぁ…と心寂しく思ってしまった。
この後、どうしようか…と考えていたら、神社の入り口から、見たことがある人、いや、猫が見えてきた。
「あ、さっきの人間さん。それにみっけ。どうしたんだ?」
「べっつに~アタシはカコビトをつれて来ただけよ。町案内してって言われたけど、人間嫌いだからしたくないし…」
みっけは不機嫌な顔をして、さっき、街の門まで送ってくれた猫耳青年を見た。
「まぁまぁ。僕も今から、今日の収穫(猫じゃらし)を猫神さまに渡しに行くところだったし、先に家に帰っても、良いよ。後は僕が何とかするから」
「ありがとう。ベイ。それじゃ」
みっけは、ベイに手をふって走って、神社の入り口に向かった。
「じゃあ、収穫(猫じゃらし)を収めに行くから、そこで待っててくれないかな?」
「うん」




