実家に帰らせてもらいます
タイトルは気にしないでください。
家から高速で二時間、そして高速を降りた場所からさらにだんだん都会の風景から緑豊かになっていく国道を1時間をほどを走ってその途中で山道に入って30分ほど登り、さらに駐車場から約10分ほど石段を登った山の中にある古い神社それが母さんの実家であるこの<鬼姫神社>だ。
「…はぁ……はぁ……はぁ……きついっ!」
男のとき、えぇと最後に来たのは今年の正月のときでさえきつく感じたこの無駄に長い石段、女になったせいでさらにきつく感じる。だからあまりの息苦しさに俺は手すりにつかまり立ち止まる。
「情けないわね、このくらいなんてことないじゃない」と先を歩いていた母さんが俺の方を振りかえってそんなことをいってきた。
「……はぁ、なんでそんな余裕なんだよ?」と荒い息を吐きながら俺は母さんに視線を向ける。こっちの苦労も知らないで涼しそうな顔しやがって。
「お母さんは昔ここを毎日のように上り下りしてたからね。まぁ慣れってやつ?」と苦笑しながら母さんは答えた。
「慣れね……」慣れてるからってその年(〇十三)でこの石段を息ひとつ切らさずに登れる理由わからない。本当に母さんっていったい何者だ。まぁ口に出していったら文字通り半殺しにされるあら黙って「気のせいかな、今誰かが母さんの年齢に触れた気が……」
「き、気のせいだっ!」
なんと言うエスパー。
それからしばらく石段を登っていると薄暗かった視界がだんだん明るくなっていく。そして一気に視界が明るくなる。
「やっと、ついた……」
目の前に現れた額束に<鬼姫神社>と書かれた大きな木製の鳥居にもたれかかりながら俺はそうつぶやいた。そしてその鳥居から本殿へと続く参道を竹箒で掃き掃除している作務衣姿のがっしりとした熊のような大男が目に入った。
そしてその熊のような大男が俺と母さんの存在に気がついたようでこちらに近づいてきた。そしてその大男は俺たちの前で立ち止まる。
「ただいまお父さん」と母さんは目の前にいる大男に笑顔で言う。
「久しぶりだなじいちゃん」と俺も母に続いて挨拶をする。
「おお良く来たな。ってお前雅斗か?」と目の前の熊は俺の姿を見てポカーンとしている。
「あぁ、残念ながら」と俺は苦笑しながら目の前の熊こと俺のじいちゃん<姫神 十三>に返す。
「いやぁ、電話ですごいことになったと聞いていたがえらく可愛なったな雅斗」と見た目にジャストフィットした豪快な『ガハハ』という笑い声を上げながらじいちゃんは母さんのほうに目を向けた
「でしょ?私もここまで可愛くなるとは思ってなかったけどさ」
「いやぁでもお前に似てるんじゃないか?ほら顔とかいろんなとこr「おい今なんで視線を一瞬だけ気持ち下に向けたクソ親父?」す、すまんっ!」
うわぁ、今俺の目の前には美人さんに胸倉つかまれて宙ぶらりん状態の熊がいます。なんというカオス。ていうか母さんって今の俺とぱっと見大きさかわr「………」無言の圧力を受けたのでこのことはこれ以上触れないでおこう。
「まぁ、立ち話もなんだから家の中はいりましょ」とじいちゃんを地面に落とした後何事もなかったかのように母は俺たちに向かってそういう。
「「は、はい」」
恐怖のあまり見事な葉守を見せた俺とじいちゃん。あれだきれいな人の笑顔と無表情って時として本当に怖いんだよ。
俺たちは今長い参道を歩いて本殿の横にある母屋を目指して歩いている。
「鳴海君はどうした?」じいちゃんが今ここにはいない俺の親父のことを母に聞く。
「出張で今はロスにいるわ」とじいちゃんの問いかけに母は答える。
「相変わらず忙しいのか」
参道を歩きながら普通に実家に子供つれて帰ってきた娘と親の会話をしている二人を後ろから見ながら俺はあることを考えていた。
なぜこの二人はこのとんでもない状況になっているのにこんなに落ち着いているのか?てか息子や孫の性別が換わったって下手したらとんでもないレベルの大問題じゃないか?なのになぜこんなに二人はこんなに普通に会話できるのだろうか?
やっぱり、今朝母が言ってた俺にはなさいといけないことに関係があるのだろうか?それともあれかこの家系には結構頻繁に俺に起きたようなことがおきているのか?
確かに今この場にはいない俺のばあちゃんと母さんの姉は少しだけ ア レ なんだが。
いや、そんなことあるわけがない。そんなことあるわけがないといいたいが現に俺はこんなことになっているので………
まぁ、考えても今は無駄か。とりあえず家の中に入ろう。
次くらいに原因がわかる……と思います。