『旅の僧の速記』
掲載日:2026/02/15
ある村に旅の僧が訪れた。村の外から人が来るのは珍しく、村人たちは、互いに連絡し合って集まり、旅の僧に、村の外の話をしてくれるようにせがんだ。旅の僧は、何から話すか、などと言いながら、暗にごちそうや般若湯を要求し、村人たちは、旅の僧が一はしつけるごとに、一杯飲むごとに、何か話してくれるようにせがんだが、旅の僧は、意に介さず、べろりぺろりと飲み食いするのだった。しまいには、眠くなったと言って、寝ようとするので、村人たちは殺気だって、口々に文句を言うと、旅の僧は、仕方なさそうに、ふところからプレスマンを出して、村人の文句を書きとめて、村の外では、速記というものがもっともおしゃれなのだと教えてくれたので、村人は歓喜して、旅の僧の頭をぺちぺちしたという。
教訓:腹の皮突っ張れば目の皮たるむ。空腹は最良の何とやら。




